玉露と煎茶、どう違う?

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玉露も煎茶も緑茶の一種ですが、どのような点が異なるのでしょうか。それぞれの特徴について島巻さんに伺いました。

提供:株式会社伊藤園
玉露と煎茶は、異なる茶葉から作られると思われがちですが、実はどちらも同じ種類の茶葉から作られているそうです。
「お茶には緑茶やウーロン茶、紅茶などさまざまな種類がありますが、原料はどれも同じ『茶の木』の葉です。茶の葉は、摘みとった瞬間から少しずつ発酵が始まりますが、その発酵を止めるタイミングによってお茶の種類が決まるのです。
まったく発酵させないのが不発酵茶といわれる緑茶、少し発酵させるのがウーロン茶、しっかり発酵させるのが紅茶になります」(島巻さん)
玉露と煎茶は栽培方法に違いあり

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不発酵茶の緑茶である玉露と煎茶は、どのような点で違いが生まれるのでしょうか? 島巻さんによると、玉露と煎茶の大きな違いは、栽培方法にあるそうです。
- 玉露:茶葉を摘み取る20日前後から茶園をよしずやわら、寒冷紗(しゃ)といった化学繊維などで覆い、日光を遮って育てる「被覆栽培(ひふくさいばい)」
- 煎茶:日光を浴びて育てる「露地栽培」
玉露のうま味と色は栽培法が決め手
玉露は、煎茶よりうま味が強いお茶といわれていますが、同じ茶葉なのになぜ味が異なるのでしょうか。その理由についても、栽培方法にあると島巻さんは説明します。
「収穫の前に日光を遮る被覆栽培だと、アミノ酸を多く含んだ茶葉ができます。このアミノ酸は茶のうま味成分であり、甘み味の強いお茶になります。そのため玉露は甘み、うま味が特徴的なお茶になるのです」(島巻さん)
さらに、玉露の深みのある緑色も栽培方法によるものだそうです。
「植物は日光を浴びることで光合成をしますが、被覆栽培で日光を遮ると、少ない日光の中できるだけ光合成をしようとして、その結果、緑色が濃くなります」(島巻さん)。
煎茶は玉露よりカテキンが豊富
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お茶には抗酸化作用のあるカテキンが含まれていることが知られていますが、玉露と煎茶では、煎茶の方がカテキンの含有量が多いのだそうです。
「茶の葉に含まれるアミノ酸(うま味成分)は、日光を浴びること(光合成)によって渋み成分であるカテキンへと変化します。そのため被覆栽培をしない煎茶の方が、カテキンを多く含むようになるんです」(島巻さん)
玉露と煎茶の製造工程

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島巻さんによると、玉露と煎茶では栽培方法は大きく異なりますが、葉を摘み取った後の製造工程には大きな違いはないのだそう。
どちらも茶の葉を摘み取った後、できるだけ鮮度が高いうちに蒸す工程、もむ工程を行って加工します。「蒸す工程」では蒸し時間の長さによってお茶の味、香り、水色(水の色)の基本的な性格が決まります。
- 蒸し時間が長い(深蒸し):味や水色(水の色)も濃く出る。淡い香りが特徴。
- 蒸し時間が短い(浅蒸し):すっきりとした味わいと澄んだ淡い水色(水の色)、強い新鮮な香りが特徴。
「浅蒸しで作られたお茶は香りを楽しむことができます。一方で深蒸しは、形状が細かく成分が溶け出しやすいので、味が濃くなり、水色(入れたお茶の色)も濃くなります。お茶の有効成分も多く取れるので、最近は深蒸しのお茶が主流となっています」(島巻さん)
玉露と煎茶では味わいを生かす湯温が違う
玉露や煎茶を楽しむ際には、お湯の温度はとても重要だと島巻さんは話します。
「お湯の温度によって、抽出される成分が違います。湯温が低いほど渋みや苦みは抑えられ、うま味を味わうことができます。一方、高めの湯温では渋み・苦み・うま味のバランスが取れた味わいになります。そのため玉露の豊かなうま味を楽しむには、低い湯温が適しています。煎茶は玉露よりも、少し高めの湯温で入れると渋み・苦み・うま味のバランスの楽しむことができます」(島巻さん)
同じ茶葉を使っても、お湯の温度によって味わいが大きく変わるのも、お茶の魅力のひとつですね。
おいしいお茶の入れ方については、以下の記事で詳しくご紹介しています。参考にしてみてくださいね。

プロが教える! お茶の入れ方【緑茶の極意を完全解説】
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玉露や煎茶の楽しみ方は?

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緑茶は日本人にとって身近な飲み物ですが、どのような料理やお菓子に合うのでしょうか。また、玉露と煎茶それぞれのおすすめの飲み方について、島巻さんに伺いました。
「お茶は嗜好(しこう)品なので、これが正解という飲み方はありません。ご自身のお好みで楽しんでいただくのがよいかと思います。どんな種類のお茶でも食事や菓子には合います。玉露も煎茶もお好きなシーンで飲んでいただきたいですね」(島巻さん)
また、玉露と煎茶の飲み方について、島巻さんは次のようにアドバイスしてくれました。
「煎茶は食事に合わせてゴクゴク飲むことが多いかと思いますが、玉露はうま味が多いお茶なので、お茶そのものをじっくり味わう飲み方がおすすめです。そのため、味が濃い料理やお菓子と合わせると、玉露のうま味が感じにくくなることもあるので気をつけてください」(島巻さん)
玉露や煎茶を味わうのにおすすめの時間は?

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玉露や煎茶を味わうのにおすすめの時間帯はあるのでしょうか。
「お茶は、お好きなときに楽しんでもらうのがよいと思います。ただ人によっては、空腹時に飲むと胃腸の調子がおかしくなったり、夜飲むと眠れなくなったりする場合がありますので、個人の状況に合わせて飲んでください」(島巻さん)
お茶にはカフェインのほかにも、テアニンという成分が含まれています。テアニンの効果について、島巻さんは次のように説明します。
「お茶に含まれるテアニンには、リラックス効果や睡眠の質を向上させる働きがあります。そのため、寝る前に低温で入れたお茶を飲むことで、睡眠の質が向上する場合もあります」(島巻さん)
また、お茶を飲むことで体脂肪を抑える効果も期待できるのだそう。
「お茶に含まれる茶カテキンには、脂肪の吸収を抑える働きがあります。体脂肪が気になる方は、食事時に一緒にお茶を飲むとよいでしょう。カテキンは高い温度のお湯で抽出されるので、カテキンたっぷりのお茶を飲むのであれば、熱湯で入れるのがおすすめです」(島巻さん)
おわりに
玉露と煎茶では、栽培方法が違うこと、また、それぞれの風味を生かした味わい方などを島巻さんに教えていただきました。それぞれの個性を知って飲み比べてみることで、お茶本来のおいしさをより一層楽しむことができるでしょう。風味豊かな玉露や煎茶を、ぜひ日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。