子どもの留守番中、どんなリスクがある? 気をつけておくべき点とは?
ーーー共働きの家庭が増える中、子どもに一人で留守番させる機会は増えていますね。子どもが一人で留守番している時にどのようなリスクがあるのでしょうか。
(田宮さん)やはり宅配業者を装う事件は多いですね。お母さんが事故にあったと言ったり、設備の点検だと言って押し入ろうとするケースもあります。小さい子どもの場合、大人の言うことをそのまま信じてしまいがちなので、注意が必要です。
また小学校の高学年くらいの大きな子でもリスクはあります。親が外出中だとSNSに投稿してしまい、外部の人に一人で留守番をしていると悟られてしまったことが事件に結びつくこともあるでしょう。
子どもの年齢に関わらず、親と子でルールを決めた上で留守番させることが大切です。
子どもに一人で留守番させて良いのは何歳から? 法律上の決まりはある?
ーーー子どもに一人で留守番させて良いのは何歳からなのでしょうか? 法律上のルールはありますか?
(田宮さん)日本では法律上で規定されている年齢はないんです。海外では、年齢や時間まで法律で決めている国があります。日本では、児童虐待防止の法律があり、その中のネグレクトなどが当たる可能性がありますが、さまざまな生活の側面から見て判断されますので、常識範囲内でのお留守番で、それに問われることはないでしょう。
子どもを一人でお留守番させるのは、個々の家庭やその子の特性・発達状況などを見て、一人で留守番できそうか、親が見極める必要があります。
個人差がありますが、小学校に入るタイミングに一人で留守番をさせ始める家庭が多いですね。小学校に入ると保育園のように長く預かってもらえなくなりますし、一人で登下校できるようになる年齢だということもあります。
ゴミ捨てなど短い間なら年長さんでも留守番できるかもしれませんが、目安として15分以上の留守番は小学生になってからの方が良いでしょう。
うちの子は一人で留守番できる? 親の見極め方とは?
ーーーその子の特性や年齢にもよると思いますが、一人で留守番ができるようになったと判断するポイントがあれば教えてください。
(田宮さん)一人で安全に過ごすためには「インターフォンが鳴っても出ない」など親と約束して守れるようになっている必要があります。親子の小さな約束を守れるようになったか、何かあった時に親に報告できるか、など日頃の様子を良く観察しましょう。
留守番中、親と子で決めておくべきルールとは?
田宮さんによると、留守番中、安全に過ごすためには、親子で以下のようなルールを決めておくのが肝要とのこと。子どもが守りやすくするために、リビングなど目立つところに書いたものを貼っておくのも良いそうです。
・戸締まりをする
・インターフォンや固定電話が鳴っても対応しない
・地震や火事など災害時の対応を決めておく
・火や刃物は使わない
【防犯上のルール1】戸締まりや鍵の管理を教える
(田宮さん)昨今の社会状況を考えれば、戸締まりは必ずするよう教えなければならないでしょう。窓も締めておき、夏ならクーラーを付けて、子どもが一人でいることを悟られないようにします。
子どもが学校から帰宅して家に入る時も、周りに人がいないか確かめてから鍵を開けたり、登下校時、鍵を他人から見える形で持って歩くのは危険です。ランドセルの内側などに隠せるキーホルダーなどで付けておきます。
後ろから誰かに尾行されていることもあるため、家に入る時には、家の中に誰もいなくても「ただいま」と言うように教えましょう。
【防犯上のルール2】宅配・来客や電話は基本対応しない
(田宮さん)「インターフォンが鳴った時、相手が誰なのかを確認して、回覧板と宅配は受け取る」など細かいルールを決めている家庭もあるようなのですが、相手が誰であっても対応しない方が無難です。
宅配業者を装って押し入る事件も起こっていますし、玄関越しのやり取りの中で親がいない時間帯を悟られてしまうリスクもあります。
また、同じ理由で固定電話が鳴った場合も取らない方が良いでしょう。親子のコミュニケーションに使いたい場合、携帯電話やナンバーディスプレイにしておいて、親からの電話にのみ対応させるのが安心です。
【防災上のルール】地震や火事などがあった際の対応
(田宮さん)急な地震や火事があった場合、どうするか決めておきます。近所の人に頼んでおいてその人に連絡をさせるのでも良いですし、緊急避難所に行かせるのも良いでしょう。緊急避難所に一人で行かせる場合には、道順を一緒に確認し、実際に一緒に歩いてみるのがオススメです。
夜の留守番の場合には、停電に備えて懐中電灯の置き場所や使い方なども教えておきます。
【過ごし方のルール】火や刃物の扱いだけでない! 身近な危険とは?
(田宮さん)低学年の間は火や刃物は使わせないようにしましょう。刃物を使って手を怪我したり、料理しようとして火事になる事例もあります。
ベランダに出て室外機の上に乗り転落する事故や、ドラム式の洗濯機に入って窒息死してしまう事故も起こっています。家の中を見回して何がリスクになり得るかを親が考え、「ベランダに出ない」「洗濯機に入らない」などルールを決めておくのが大切です。
また、子どもは遊びに夢中だと室温に無頓着になりがちなので、熱中症や低体温症のリスクもあります。温度計を置いておいて、温度をチェックし、冷暖房を付けるよう教えましょう。
最近は暗くなったら自動で点灯するなど、遠隔で操作したり自動で稼働する家電も増えています。こうした便利機器を取り入れるのも良いですよ。
その他、テレビやゲームをやり過ぎないなど家庭によっては過ごし方のルールも必要になります。
「この絵本読んでおいてね」、「この玩具で遊んでいてね」など親が課題を与えて出かけるのもオススメです。お手伝いができるなら、洗濯物を畳んでおいてもらうのも良いでしょう。子どもの方も家族の役に立てると嬉しいものです。
留守番には練習が必要!? 初めての子どもの留守番で注意するべき点とは?
親子でルールを決めたら、いよいよ留守番の実践! 田宮さんによると初めての留守番の前には練習をしておいた方がよいそうです。
「初めての留守番の前に、実際に一人で過ごす時間を10分くらい作ってみましょう。一人で過ごすことに、子どもは意外と緊張するものなので、慣れさせてあげることが大切です。少しずつ始めて、できたら褒めて達成感をもたせてあげましょう(田宮さん)」
また普段から親子で小さなルールを決め、守る練習もしておくことが大切とのことです。最初は守れないことがあっても強く叱らず、できた時に褒めるように意識すると良いそうですよ。
子どもの留守番にはメリットも!? 留守番がもたらすプラスの面とは?
子どもに一人で留守番をさせることを「子どもに悪い」「子どもがかわいそう」と思う親もいるかもしれませんが、田宮さんによると、子どもが一人で留守番をすることは自立に向けた大切な成長のステップにもなり、プラスの面も大きいと言います。
「一人で留守番をできたという経験は子どもの自立心を育てますし、『親に認められている、頼られている』という気持ちは、自己肯定感を高めることにも繋がります。また親が防犯について丁寧に教えることで『自分は大切にされているんだ』と認識するきっかけになります(田宮さん)」
初めての子どもの留守番は親子ともに不安は尽きないものですが、子どもの成長に繋がる良い機会でもあるんですね。
なお田宮さんによると、子育ては時間ではなく質。親子が濃密な時間を過ごせていることが大事なのだそうです。
「親の方も子どもに感謝を伝えることを忘れずに。『◯◯くんのお陰でお仕事を頑張れるよ』と温かい言葉をたくさん伝えてください(田宮さん)」
おわりに
働く親にとって子どもをどうやって一人で留守番させるかは悩ましい問題の1つ。親子で安心して取り組めるように田宮さんのアドバイスを参考にしてみてくださいね。