【卒乳の方法】卒乳のメリット・デメリット
授乳中の赤ちゃんはとても可愛く、泣いていたのが泣き止んだり、安らかに飲んでいるのを見ると、ママも嬉しいですよね。
でも一方で、授乳の期間が長く続くと、ママの身体の負担になったり、拘束時間が長くなったり、夜何度も起きてしまったり・・・と、大変なこともたくさんあります。
そんな中「卒乳」というのは、一方的に授乳を中断するのではなく、赤ちゃんが自分から母乳をやめるのを待つか、なるべく自然に授乳をやめる方法です。
メリットとして、赤ちゃんにとっての精神的・肉体的負担が少ないのはもちろん、ママもおっぱいが張りすぎて乳腺炎になるようなことが少なくなります。
一方デメリットとしては、卒乳は赤ちゃんのペースにあわせてタイミングを待つので、いつやめられるのか分からない面があります。
その間、行動が制限されたり、次の妊娠がしにくかったりもします。
【卒乳の方法】卒乳の時期
1~2歳が一つの目安
離乳食が3回食になり、食事から栄養をしっかり取れるようになったら、母乳からの栄養がなくても大丈夫と言われています。おおよそ、1歳を過ぎた頃です。
一昔前は、1歳過ぎたら断乳するよう指導がありました。
しかし2002年4月に、母子健康手帳から「断乳」という言葉が削除されています。母子のスキンシップなどの観点から、1歳以降も無理に母乳をやめさせる必要はないとする考え方が主流になってきているというのが、当時の厚生労働省の見解のようです。
一方WHO(世界保健機関)は、2歳までは欲しがるだけ母乳をあげた方がよい、と推奨しています。
母乳には栄養だけでなく免疫成分が含まれるため、子どもの免疫機能がしっかりしてくる2歳ぐらいまでは母乳を続けたほうがよい、というのがその理由だそうです。
ただし、WHOの指導は、世界中の発展途上国の状況も踏まえてのことです。衛生的で栄養も豊富な日本で、2歳前までに母乳をやめたからといって、大きなデメリットはないと考えられます。おおよそ1~2歳を最初の目安にして、タイミングを探るとよいかもしれません。
また、2歳以降になっても問題はありません。詳しくは、次々章の「2歳以降も授乳を続けて大丈夫?」で書きますね。
参考:WHO「補完食 母乳で育っている子どもの家庭の食事」
【卒乳の方法】なるべく自然に卒乳してもらうには?
卒乳のポイント
基本的には、「赤ちゃんが自分から飲むのをやめるのを待つ」のが卒乳の考え方です。
でも、ちょっと赤ちゃんを促して、なるべく自然に授乳をやめられるよう導く方法もあります。
大切なポイントは、以下の3つです。
●おっぱいをやめることをイメージさせてあげる
●赤ちゃんに心の準備をさせてあげる
●もし何日も泣いて嫌がるようだったら、時期を改める
具体的な方法
具体的な方法は以下です。
1. 卒乳を目指す日を決める
2. 卒乳の絵本を読むなどして、「おっぱいをやめる」という意識を持たせる
3. 1か月前からカレンダーを見せて「このときまでにおっぱいバイバイしようね」と伝える
4. 授乳時間を減らし、それに慣れたら授乳回数を減らしていく。
5. 「あと○日でおっぱいとバイバイね」と毎日繰り返し伝えて、赤ちゃんに心の準備をさせてあげる
6. 卒乳の日になったら母乳をやめて、おもちゃやお散歩で気を紛らわせる
もし、卒乳の日を過ぎて3日以上経っても、毎回泣いて欲しがるようなら、まだその子にとって卒乳は早すぎるのかもしれません。
時期を改めて、次のタイミングを待ちましょう。
一度やめたものをまた再開するのは不安かもしれませんが、やり直したって大丈夫。
周りを見て焦ることもあるかもしれませんが、子どもによって、おっぱいへの執着度合いは全く違います。
できるだけ、その子のペースに合わせてあげられるといいですね。
避けるべきタイミング
この前後で卒乳を促さない方がいい、というタイミングがあります。
例えば、以下のようなときです。
□ 引っ越しの前後
□ 入園、転園の前後
□ 体調が悪い、病み上がりのとき
おっぱいには精神安定剤的な役割もあります。
環境の変化や、情緒不安定になる出来事にかかってしまうと、なかなか卒乳しにくかったり、一度できるようになっても、また戻ってしまうことがあります。
子どもの様子を見ながら、タイミングを計ってみましょう。
【卒乳の方法】2歳以降も授乳を続けて大丈夫?
おっぱい大好きなタイプのお子さんだと、2歳以降もなかなか卒乳できない・・・ということもあります。
2歳以降に授乳を続けると、ママ自身の身体や拘束時間の負担が重く感じられてくる方も多いと思います。
ただ、2歳以降に授乳を続けることで、科学的にはっきりと証明されているデメリットは、実はありません。
母乳と虫歯との関係
よく懸念事項として言われるのが、虫歯との関係です。
確かに、2歳の時点で母乳を長期間飲んでいた子どもは、虫歯になった子どもの数が統計的に多いという研究結果があるようです。
一方で、母乳に含まれる乳糖は虫歯の原因にはなりにくいことが分かっているそうで、母乳自体が虫歯の原因になるわけではないようです。
どうやら、2歳以降で食事やおやつの量が増える中、きちんと歯磨きをせずに、就寝時や夜間に授乳すると、寝ている間の唾液の分泌量が少なくなって自浄作用の効率が悪くなることが、虫歯の一因となるようです。
つまり母乳は直接の原因ではないので、きちんと歯磨きをして虫歯の原因を取り除くことが大切だと考えられます。もちろん、間食の時間をちゃんと決めるなど、他の虫歯予防の方法も必要です。
参考:厚生労働省e-ヘルスネット「卒乳(断乳)時期とむし歯の関係」
授乳が長い方が、乳がんリスクが減少!?
授乳が長いことには、ママにとってのメリットもあるようです。
授乳の期間が長いほど、「乳がん」発症リスクが低くなるという医学的調査も発表されています。
授乳期間5カ月ごとに、乳がん発症のリスクが2%減少するという調査結果です。
ただし、乳がんには他にも様々な要因があり、長く授乳したからといって乳がんにならないということではありません。
また、短期間しか授乳しなかった人が、必ずしも乳がんになるわけでもありません。
参考:日本乳癌学会「授乳は乳癌発症リスクと関連するか」
授乳が長い方が、乳がんリスクが減少!?
とはいえ、授乳を長く続けることで、制限されることは色々ありますよね。
飲酒はもちろん、「服薬」が制限されることは、心配な方も多いと思います。
ただ国立成育医療研究センターによると、2歳以降になれば、実は服薬の制限はかなり減るようです。
新生児で母乳だけが栄養だった頃に比べ、1歳を過ぎれば母乳を実際に飲んでいる量・割合はかなり少なくなります。
一般の病院や市販薬では、なかなかそこまで分からないので、慎重に考えてNGを出してしまうこともあるそうです。
困ったときは、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」に電話等で問い合わせることができます。
薬の処方量、赤ちゃんの年齢・月齢、母乳を飲む頻度などを詳しく相談した上で、その薬が服薬可能かどうかをアドバイスしてくれますよ。
参考:国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
おわりに
卒乳の時期、自然に卒乳してもらうための方法、2歳以上も授乳する場合の考え方についてご紹介しました。
何歳まで、あるいは何歳以上、にこだわりすぎず、ママと子ども双方の心身の状況に合わせて、卒乳時期を考えたらよいのではないでしょうか。
ちなみに私の上の子は、とてもおっぱいに執着が強い子でした。2歳以上になって、いい加減私の身体の負担が限界・・・というときに下の子を妊娠したのが分かり、なんとかやめてもらいました。
でも、今でも甘えたいときはおっぱいを触りたがるおっぱい星人です・・・。
子どものペースも、ママの状況や都合も両方大切だと思います。うまく折り合いをつけて卒乳できるといいですね。