【洗濯しても落ちない皮脂汚れ】そもそも皮脂汚れとは?
脂汚れとは襟元、袖口、靴下等に付着する「黄ばみ」や「黒ずみ」を指します。一旦、皮脂汚れが付くと、普通の洗濯ではなかなか落ちませんね。皮脂は人体の皮脂腺から分泌されるもの。皮膚の表面に脂肪膜を作ることで皮膚を保護する役割をもち、人体にとって大切な機能を担っているのです。
では、なぜ皮脂が衣類につくと、頑固な汚れになってしまうのでしょうか? それは汗や皮脂などの汚れが空気中の酸素と化学反応を起こして、酸化してしまうからです。
「洗濯した後に一見キレイだった衣類が、長期保管しているうちに黄ばんでしまった」という経験はないでしょうか。これも衣類に残っていた汗や皮脂が酸化したことが原因です。どうしたら汚れを落とすことができるのでしょうか? 皮脂汚れの落とし方と予防方法を詳しくご紹介します。
頑固な皮脂汚れを落とすには?
汗や皮脂が酸化して蓄積した皮脂汚れ。弱酸性の汚れなので、弱アルカリ性の性質を持つ洗剤を使って落とすことができます。弱アルカリ性というと、イメージが湧きにくいかもしれませんが、石鹸や重曹、洗濯洗剤など身近に多くあります。
また、色素が染み付いている場合は漂白剤が効果的。真っ白な衣類なら塩素系漂白剤でキレイに落とすことができます。生成り、色物、プリントの衣類の場合は、洗剤や酸素系漂白剤を組み合わせて落としていきましょう。以下に3つの方法をご紹介します。
洗濯しても落ちない皮脂汚れを落とす方法1. 酸素系漂白剤+重曹
用意するもの
- 酸素系漂白剤(液体)
- 重曹
- 鍋
手順
- 酸素系漂白剤(液体)と重曹を1:1で混ぜ合わせる。
- 汚れが気になる部分に直接刷り込む。
- 鍋にお湯を沸かし、2で漂白剤を刷り込んだところに蒸気を当てる。
- 水で洗い流す。
蒸気を当てる工程は蒸気や熱くなった鍋などでのヤケドに十分注意して行ってください。火も必ず消してくださいね。
「塩素系」の漂白剤は衣類の染料も落としてしまうほど漂白力が強力なものがほとんどです。また、パステルや生成りの素材には不向きです。酸素系漂白剤を使用しましょう。
洗濯しても落ちない皮脂汚れを落とす方法2. 蛍光増白剤入り洗濯石鹸
用意するもの
- 蛍光増白剤入りの洗濯石鹸
手順
- 衣類を濡らす。
- 洗濯石鹸を刷り込む。
- 手洗いでもみ洗いするか、洗濯機で通常の洗濯を行う。
蛍光増白剤入りの洗濯石鹸は汚れを落とすのが得意ですが、衣類自体の色も変色させる可能性があります。白物の衣類以外で洗濯石鹸の利用は避けましょう。
洗濯しても落ちない皮脂汚れを落とす方法3. セスキ炭酸ソーダ
セスキ炭酸ソーダは水に溶かすとアルカリ性になるため、油やたんぱく質の汚れをよく落とします。また、汗などの酸性の匂いを中和してくれる役割もあります。
用意するもの
- セスキ炭酸ソーダ
手順
- 10リットルの水に対し大さじ1のセスキ炭酸ソーダを混ぜる。
- 約1時間つけ置く。
- 洗濯機で通常通り洗濯する。
ナチュラルクリーニング派の人にオススメな皮脂汚れの落とし方です。
アルカリ性なので、絹やウールなどアルカリ性の洗剤に弱いものは避けましょう。
ポリエステルなどの化学繊維は、つけ置き洗濯に向きません。こちらも避けましょう。
皮脂汚れの黄ばみ・黒ずみを防ぐには?
皮脂汚れとして一度ついてしまうと、襟や袖部分だけ個別で洗うのも手間がかかりますね。そうなる前に、汚れを予防しながら衣類を着用する方法をご紹介します。
襟、袖汚れガードテープやスプレーで汚れを防止
皮脂汚れになりやすい襟や袖部分に貼って使う、極薄のテープが市販されています。
極薄なので着用時の違和感も少なく、貼っていることが気づかれにくいのも特徴です。皮脂汚れはもちろん汗ジミ防止にもなります。帽子にも活用できそうですね。
襟袖汚れガードスプレーは、着用前に汚れそうな部分に吹き付けて防止するものです。
スプレータイプなので片手で手軽に使用でき、ひと吹きで簡単に襟、袖の皮脂汚れを予防してくれるそうです。
ベビーパウダーを汚れ防止に
白物衣類の洗濯の仕上げには、ベビーパウダーを使って皮脂汚れが付くのを防止しましょう。ベビーパウダーは汗や皮脂を吸収する力があるため、襟や袖部分にあらかじめつけておくと、皮脂汚れをある程度予防できます。また、ベビーパウダーは水馴染みが良いので、お洗濯で簡単に落とすことができます。
洗濯後、襟や袖がきれいなうちにベビーパウダーを軽くはたいて、コーティングしておきましょう。ベビーパウダーは薬局などで手軽に購入できるので、試してみてくださいね。
酸素系漂白剤でつけ置きする
衣類が黄ばみやすい場合は、酸素系漂白剤につけ置きしてから洗う習慣をつけるのがオススメです。つけ置き洗濯の方法は以下のとおりです。
- 漂白剤によって決められた量を40℃以上のお湯に溶く。
- 約1時間つけ置く。
- 洗濯機で通常通り洗濯する。
酸素系漂白剤の代わりに重曹を使ってもOKです。
お湯で洗濯物を洗う
衣類用洗剤に含まれている皮脂汚れを落とす「酵素」は、40℃くらいのお湯で活性化します。普通の洗剤でもお湯を使うことで皮脂汚れをしっかり落とすことができますよ。
お風呂から出てすぐの残り湯は40℃前後の事が多いそう。残り湯を洗濯に使うのは節水につながるだけではなく皮脂汚れを落とすのにも良さそうです。
近年は、お湯で洗濯できる洗濯機も販売されていますよ。
※高温で洗濯できない衣類もあります。洗濯表示をご確認下さい。
衣替えの前に二度洗いをする
衣替えをした際に、白い服が黄ばんでいることがあります。これは、落としきれていなかった汗や皮脂汚れが黄ばみとして浮き上がってきたもの。特に夏は汗をよくかくので夏物の衣類にはそういった黄ばみが現れやすいです。
長期間着ないようであれば、収納する前に二度洗いをしておくと黄ばみにくくなります。白い服は黄ばみが目立ちやすいので、酸素系漂白剤を使って汚れをしっかりと落とすのがオススメです。
皮脂汚れの残りだけではなく、洗剤が衣類についたままでもシミや黄ばみの原因になります。きれいな水ですすぎを2回行い、洗剤もしっかり落とすようにしましょう。
お風呂の残り湯は、すすぎには使わず、洗剤で洗う時だけ使うようにしてください。
おわりに
真っ白なシャツを着ると気分も良いもの。皮脂汚れをすっきり落として、きれいな衣類で過ごせると良いですね。
染み付いてしまった場合には、クリーニング店でしみ抜きできるか相談してみてくださいね。