陶磁器の種類と産地ごとの特徴とは?
陶磁器の産地は日本全国にあり、産地や種類によってその特徴は異なります。
「陶器」「磁器」「炻器」の3種類に分けて、それぞれの特徴についてご紹介します。
陶器
素地が不透光性で吸水性があり、たたくと低くにごった音がします。陶器には、粗陶器と精陶器があり、粗陶器の素地は粗く、有色粘土を主原料としたもので、楽焼や土鍋のようなものです。
一方、精陶器の素地は白く緻密で、長石質や石灰質を高温で焼きしめてからうわ薬をかけてあるので、吸水はしません。西欧の陶器や多くの陶器がこのタイプです。
例)萩焼、益子(ましこ)焼、唐津(からつ)焼など。
磁器
素地が緻密で、たたくと高い澄んだ音がします。吸水性はありません。透光性(太陽にかざすとわずかに光を通す半透明)があり、洋食器のほとんどがこれにあたります。
例)有田焼、九谷焼、清水(きよみず)焼、ボーンチャイナなど。
●ボーンチャイナとは
牛骨の入った透明性のある磁器です。これは18世紀末、英国において象牙色に模して作られたもので、薄クリーム色の落ち着いた色味が珍重され、その人気は現在に至っています。
炻器(せっき)
陶器と磁器の中間的なもので、陶器同様、不透明でたたくとにごった音がしますが、吸水性はありません。
例)信楽(しがらき)焼、備前(びぜん)焼、常滑(とこなめ)焼など。
備前焼は煮沸する!? 使い始めのお手入れとは?
洗剤で洗ってから使いはじめますが、それでも匂いが消えない場合は、たっぷりの水に入れて火にかけ、煮沸します。備前焼など、特に匂いの強い焼締めといわれる器は、水を替えてもう一度煮沸を繰り返すとよいようです。
貫入(網目のようなひび割れ)がある器は、使っていくうちに貫入に煮汁や茶渋が染み込み、色が着いてきてしまいます。これを防ぐには、米を加え、煮沸するのが効果的です。
異なった材質は重ねない! 陶磁器の収納のポイントとは?
普段使う茶碗や皿は重ねて収納しますが、陶器と磁器はもちろん、異なった材質や形のものは、一緒に重ねないようにします。
大切な器や頻繁に使わないものは、器と器の間に布か紙ナプキン、ペーパータオルをクッションとして挟んでおきます。
最後は自然乾燥で! 陶磁器の使用後のお手入れの手順とは?
1. 陶器と磁器は分けて洗います。お皿に残っている余分な油などを、紙などで拭きとっておきます。長時間水につけておかず、早めに洗います。
※ 洗い桶に一度に食器類をガチャガチャと入れると、ふちが欠けやすいので注意しましょう。
2. 洗い桶にぬるま湯を張り、台所用中性洗剤を溶かして洗剤液を作り、柔らかいスポンジを使って洗います。
【ポイント】
・タワシやスチールウールは使用しないでください。
油のついていないものから、同じ形、同じ材質のものに分けて洗っていきます。
・コーヒーカップや急須の取っ手のつけ根など、洗いにくい部分は、歯ブラシに洗剤をつけて
こすり洗いをしておけば、汚れがたまりません。
3. ぬるま湯でよくすすぎ、最後に熱いお湯ですすぐと水きれがよくなります。
4. すすぎ終わったら、かごなどに伏せて水をきります。
5. 清潔な乾いたふきんで拭くか、上にふきんなどをかけてそのまま自然乾燥させます。
【陶磁器のお手入れのコツ】茶渋をとるとき
上等な食器の場合は、塩をスポンジやふきんにつけるか、レモンでこすります。ただし、上絵や金線の上などは避けるようにします。普段使う食器は、漂白剤を使うほうが簡単です。
※ 洋食器などの皿の表面に灰色の傷がつくことがありますが、これは「ナイフマーク」と呼ばれるもので、ナイフから削り取られた金属粉の付着が原因です。食器専用のクリームクレンザーをスポンジに付け、こすってみて下さい。
【陶磁器のお手入れのコツ】漂白剤の使い方
漂白剤には「酸素系」と「塩素系」の2種類があります。酸素系は高価なものやデリケートなものに、塩素系は漂白力が強いので、普段使うものに、というのが目安です。
いずれにしても、使用量や浸す時間などの使用基準を守らないと、食器の肌荒れや絵柄の退色を引き起こします。
【陶磁器のお手入れのコツ】クレンザーの選び方
食器を洗う時は、傷がつくため粉末のものは適しません。クリームタイプを選びましょう。
クリームクレンザーは、研磨剤成分によって珪酸系鉱物が含まれているもの(例:ホーミングタフなど)と、炭酸カルシウムが含まれているもの(例、ホーミングレモンなど)があります。前者は研磨力が強いので鍋磨き用に、後者は食器やガラス磨きに適しています。
おわりに
ステキな陶磁器を見かけると、つい手に取りたくなりますね。種類や特徴を知ると、器選びがもっと楽しくなりますよ。陶磁器はデリケートなもの。お手入れ方法には注意して、大切に使ってくださいね。
出典 : 東京ガス 食情報センター企画「料理道具100%活用百科」