誰もが安心して食べられる料理やおやつを作りたい
こんにちは。管理栄養士の辻本なみです。
今回からウチコトで、おうちで簡単に作れるおやつやおかずのおすすめレシピを紹介することになりました。どうぞよろしくお願いいたします!
1回目のテーマは、「卵・乳・小麦」を使わなくても作れる、簡単でおいしいおやつです。
実は、私が管理栄養士になったきっかけは、8歳下の弟の食物アレルギーです。食べたいものがあっても、アレルギーがあるため食事が制限されることが多かった弟。そんな姿を見て、「安心して食べられるごはんやおやつを作ってあげたい」と思うようになり、管理栄養士を志しました。
現在は食へのこだわりや食物アレルギーなどの体質で食事に不安を抱える方々のために、健康的かつおいしい食事の選択肢を増やしていくことを目指して、日々活動しています。
子どもが好きな人気のおやつには「卵・乳・小麦」が使われていることが多いですよね。でも、「卵・乳・小麦」はアレルギー反応が出やすい食材でもあります。「卵・乳・小麦なしでどうやっておやつを作ればいいの?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、意外と代用食材でもおいしいおやつが作れるんですよ!
「卵・乳・小麦」を使わなくても簡単に作れて、しかも家族みんなで楽しめるおやつレシピを2つ考えました。アレルギー対応のおやつを作る場合の代用食材や注意点などと一緒に紹介しますね!
おやつ作りに欠かせない「卵・乳・小麦」。代用品はある?
「卵・乳・小麦なしのおやつ作りは大変で難しい」とイメージされる方も多いかもしれませんね。でも、食材の置き換えポイントがわかれば、卵や乳、小麦なしでも簡単におやつが作れますよ。
それぞれの置き換え食材についてまとめました。
卵の置き換え
卵にはいろんな役割があります。代表的な役割は、泡立てて使うことでスポンジケーキのようなふんわり感を出すこと。それから、熱を加えてプリンのように固めたり、生地のつなぎとして使ったり。そのため、卵の置き換えはひとつでは難しいのですが、ベーキングパウダーを使うことでふんわりと膨らませることができます。
乳の置き換え
牛乳の代わりには豆乳、アーモンドミルクなどを、バターの代わりには米油、太白ごま油などの植物油を活用します。もしお好きなら、ココナッツオイルもおすすめ。甘い風味がプラスされますよ。
バターなしではあっさりしてしまいがちですが、風味の良い食材を組み合わせて使うことでおいしく仕上げることもできます。たとえば、アーモンドプードルやすりごまなどの食材を活用すると香ばしさが加わり、香りや味に深みも出て、風味のよいおやつが作れます。
おやつには、生クリームを使うことも多いですよね。生クリームの代用としては、豆乳ヨーグルトを水切りしたものが使えます。生クリーム同様に、ホイップ状に泡立てられる豆乳で作る豆乳クリームもおすすめです。
小麦粉の置き換え
小麦粉の代わりには、主に米粉を活用します。
米粉は小麦粉と違いグルテンが含まれていないので、混ぜすぎによる失敗がなく、サラサラしているので粉を振るう必要もありません。
そう考えると「米粉を使った方がおやつ作りは簡単になるのでは?」 と思うかもしれませんね。でも、米粉は製品によって米の品種や粒子の細かさ、製粉方法が違うため、吸水量が異なるのです。そのため、レシピ通りに作ってもうまく作れないこともあるので注意が必要です。
レシピに使用している米粉の種類が記載されているときは、指定の米粉を使うと失敗しにくくなりますよ。
栄養面から考えた場合の置き換え
卵や牛乳にはおいしさや性質以外に、栄養面から置き換えにおすすめの食材もあります。私は、たんぱく質やカルシウムなどの栄養面を補うために、大豆製品(きな粉・豆腐)などを活用しています。
子どものおやつは、必要な栄養やエネルギーを補うための「補食」でもあるので、アレルギー対応で食材を置き換えする場合も、栄養面を意識してみてくださいね。
おやつを作るときに、アレルギー対応で気を付けたいこと
食物アレルギー対応のおやつを作るときは、まず原材料のチェックをします。いつも使っている商品であっても、原材料が変更されている場合もあります。必ず購入したらその都度表示を確認してくださいね。
また食品を製造する過程で、特定原材料などが混入するリスクが考えられる場合には、「小麦を使用した設備で製造しています」などの注意喚起がされていることがあります。パッケージの原材料欄は細かくチェックしておきましょう。
パッケージを見ても分からないときは、かかりつけの医師に相談してください。食物アレルギーの症状には個人差があり、食べられるものの範囲、注意すべきレベルが異なります。勝手に判断せずに、医師の指示に従ってご対応ください。
自宅でおやつを作る場合は、食器や調理器具を念入りに洗ってからにしましょう。医師から、「アレルギーのある子どもとそのほかの家族との食器や調理器具は同じものを使わないように」と指示を受けている場合は、必ず使い分けてくださいね。
卵・乳・小麦がなくてもおいしい! 簡単おやつ2選
ここからは、おうちでも簡単に作れる「卵・乳・小麦不使用のおやつレシピ」を紹介します。どちらも小麦粉の代わりに米粉を使い、卵や乳がなくても食感が良く食べやすいおやつですよ!
鍋で簡単! ココア米粉蒸しパン【蒸し器不要】
最初にご紹介するのは、子どもが大好きなココア味のふわふわ蒸しパン。蒸し器不要で、お鍋で10分蒸すだけで作れます。おやつはもちろん、朝食にもおすすめです!
材料(直径4.5×高さ2.5cmの耐熱シリコンカップ5個分)
米粉(製菓用)・・・90g
砂糖・・・30g
ココアパウダー(純ココア)・・・10g
無調整豆乳・・・90ml
米油・・・5g
ベーキングパウダー・・・5g
作り方
【下準備】
鍋に1cm深さ程度の水と蒸しプレートを入れ、火にかける(強火)。
【手順1】
ボウルに米粉、砂糖、ココアパウダー(純ココア)を入れて泡立て器などでぐるぐる混ぜる。
【手順2】
1に無調整豆乳、米油を加えてよく混ぜる。さらにベーキングパウダーを加えて素早く混ぜる。
【手順3】
シリコンカップ(直径4.5×高さ2.5cm)に生地を入れる。
【手順4】
鍋の湯が沸騰したら3を入れて蓋をし、コンロ調理タイマーを10分に設定し、沸騰を持続したまま蒸す。
蒸しパンをふんわり膨らませるコツは、
- ベーキングパウダーを混ぜ合わせたら、できるだけ素早く作業をする
- 沸騰を持続したまま蒸す
の2つです。
蒸している途中で水が無くなりそうになったらお湯を足しましょう。
また、蒸している最中に鍋の蓋の形状によっては水滴が落ちやすい場合があるため、必要に応じて蓋にふきんを巻いてください。
もちもち米粉クレープ
次に紹介するのは、もちもち食感の米粉クレープです。具材は季節のフルーツなどお好みのものでOK。生地を作ったら、親子で好きな具材をはさんで、クレープ屋さんごっこをしても楽しいですよ!
材料(直径20cmのフライパンで4~5枚分)
《生地》
米粉(製菓用)・・・80g
片栗粉・・・20g
砂糖・・・10g
無調整豆乳・・・170g
《クリーム》
豆乳ヨーグルト・・・400g
砂糖・・・20g
バニラエッセンス・・・少々
みかん(缶詰)・・・適量
作り方
【下準備】
ボウルなどの上にザルを重ねてガーゼ等を敷き、豆乳ヨーグルトを入れる。
ラップをして、冷蔵庫で4時間程度置く (水切り後の目安は200g) 。
【手順1】
ボウルに米粉、片栗粉、砂糖(生地用)、無調整豆乳を入れて混ぜる。
【手順2】
フライパンに薄く油(分量外)をひいて温度調節機能を150℃に設定する。1をおたま1杯分入れる。素早くフライパンを傾けて生地を薄く広げる。
【手順3】
生地のふちが乾いてきたら、裏返して裏面も1分程度焼く。
同様に残りの生地を焼く。
【手順4】
3を皿に取り出す。生地がくっつかないように1枚ずつ間にラップを挟んで重ね、冷ましておく。
【手順5】
ボウルに水切り豆乳ヨーグルト、砂糖(クリーム用)、バニラエッセンスを入れて混ぜ、絞り袋に入れる。
【手順6】
器にクレープ生地を盛り付け、5のクリームを絞り、汁気を切ったみかんをのせる。
クレープ生地はボウルの底に粉がたまりやすいです。毎回しっかりと生地を混ぜてからフライパンに流し入れて焼いてくださいね。
材料を工夫できるのが手作りおやつのよいところ
手作りおやつのよいところは「子どもに合ったおやつが作れる」ところです。自分で材料を選べる安心感も魅力ですね!
食物アレルギーを持つ子どもであれば、卵・乳・小麦などの原因食材を除去、代用することにより、家族と同じものを一緒に食べられる嬉しさを感じることもできます。また、市販のおやつより砂糖や油を控え、栄養面も考えた体に優しいおやつも作れます。
おいしいおやつが簡単に手に入る時代。手作りおやつは少し手間に感じるかもしれません。でも、作ったものを「子どもがうれしそうに食べる姿」を見ると、作った側も幸せな気持ちにきっとなれるはず。また、今回のレシピはとても簡単なので、親子クッキングにもぴったり。一緒におやつを作れば会話もはずみ、楽しい時間を過ごすことにも繋がるでしょう。
おわりに
次回のテーマは「おからパウダー」です。食物繊維たっぷりで糖質オフにもなるおからパウダーを使って、子どもが喜ぶおやつとおかずを紹介します!
またぜひ見に来てくださいね!