トイレの黒ずみ・黄ばみの原因は?
気になるトイレの黒ずみや黄ばみ。すっきり落としたいけれど、「方法がわからない」「強力な洗剤を使うのは抵抗がある」と諦めていませんか。「重曹」「クエン酸」「アルコール」などのナチュラル洗剤を使って掃除する方法を、ナチュラルクリーニング講師の本橋ひろえさんに伺いました。
汚れを落とすには、まず汚れの正体を知ることが大切です。白かそれに近い色合いの便器が黒ずんだり黄ばんだりするのは、部分的に汚れが蓄積して落ちにくい状態になってしまっているから。
「汚れた部分に雑菌が繁殖して黒っぽく頑固な汚れになることもありますし、尿に含まれるカルシウムが原因で、便器に付着した尿がガリガリとした黄ばみ汚れ(尿石)になってしまうこともあります。
便器の中と外では汚れの種類が異なることも覚えておきましょう。例えば、便器の外側に水滴はないので、ホコリによる汚れなら洗剤は不要。軽くふきとるだけで落とせます」(本橋さん)
そして、本橋さんによると、いわゆる「トイレの臭い」=アンモニア臭が発生するのもトイレの汚れを放置していることが原因とのこと。臭いがし始める前に汚れを除去しましょう。
トイレ掃除に使える「ナチュラル洗剤」ってどんなもの?
本橋さん「スーパーやドラッグストアなどで販売されているトイレ用洗剤は、種類によっては手荒れの原因になったり、排水が環境に負荷をかけるものも。また、掃除後に水拭きが必要な場合もあります。
それに対して、ナチュラル洗剤と呼ばれる「重曹」「クエン酸」「アルコール」などは、すべて自然界にある素材で食品にも使われているもの。地球環境や人間の皮膚などに優しいといえます。また、過炭酸ナトリウムは化学合成されていますが、自然界にあるものを原料としています」
本橋さんによると、ナチュラル洗剤は、着色や着香されておらず、余計な添加物が含まれていないのも特徴だとのこと。
「正しい使い方を知っていれば拭き上げなども不要で、掃除の手間が省けて時短にもなりますよ」(本橋さん)
トイレの黒ずみ・黄ばみ掃除におすすめのナチュラル洗剤はこれ!
本橋さんがトイレの汚れ落としに使うナチュラル洗剤はこの3つです。
アルコール
新型コロナウイルスの流行でアルコールを常備するようになったという人も多いでしょう。
「ナチュラル洗剤というと、重曹やクエン酸を水に溶かして使うというイメージを持っている方も多いと思いますが、アルコールの場合は水で薄めるだけなので簡単。薄めたものも比較的長期保存が可能です。また、汚れ落としと同時に除菌ができるのもアルコールのメリットです」(本橋さん)
アルコールには無水エタノール、消毒用エタノールなどさまざまな濃度のものがありますが、本橋さんはトイレ掃除用にアルコール濃度35%の「アルコール水」を作っておき、便座や人の手の触れる部分、床や壁など、乾いた部分の掃除に使っているそうです。
本橋さん「濃度の高いアルコールを家のお掃除に使うと、床や家具の塗装や材質にダメージを与える可能性があります。しかし、濃度が低いとアルコールの効果が得られません。除菌や汚れ落とし、カビ予防の目的で使うなら、アルコール濃度35%がちょうどよい濃さなのです」
ただし、家庭で作った「アルコール水」は3カ月以内に使い切りましょう。「3カ月以上経つと、水が傷んだり容器がアルコールで破損するなどして、濁る場合があります。また、しっかり密閉できないスプレー容器はアルコールが揮発してしまう可能性もあるため、早めに使い切るのがおすすめです」(本橋さん)
アルコール濃度35%の「アルコール水」の作り方
ガラス製などアルコール対応の計量カップに水とアルコール(無水エタノールまたは消毒用エタノール)を入れ、よく混ぜてからアルコール対応のスプレー容器に移します。
スプレー容器で直接作る場合は、水→アルコールの順に入れてよく混ぜます。
アルコール濃度を35%にするには、以下の割合を覚えておくと便利です。
【消毒用エタノールを使う場合】
濃度約80%の消毒用エタノールなら45mlに水55mlを加えます。
計算式:0.8×□=35 □=35÷0.8=43.75
※量りやすく45mlとします。
【無水エタノールを使う場合】
無水エタノール35mlに水65mlを加えます。
「無水エタノールを使うと計算は簡単ですが、値段が高いのが難点です。消毒用エタノールを使ったほうが経済的だといえますね」(本橋さん)
クエン酸
酸性の粉末であるクエン酸は、水に溶けやすくアルカリ性の汚れを落とすのに効果的なナチュラル洗剤です。
「人間の尿は通常やや酸性ですが、排出されてから時間が経つと、細菌が増殖して尿素を分解することでアンモニアが生成され、アルカリ性に変化します。つまり尿による黄ばみはアルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸液を使うと落としやすくなるのです。アルカリ性が中和されることによってアンモニア臭も抑えられます。クエン酸は、同じアルカリ性の汚れである水垢の汚れ落としにも効果があるので、常備しておくと水回りの掃除に役立ちますよ」(本橋さん)
本橋さんは、トイレ掃除には濃度1%の「クエン酸水」を使います。
「酸やアルカリは、濃度を濃くしても洗浄力が強くなることはありません。濃くしすぎると、すすぎや拭き取りの手間が増えてしまいます。クエン酸水を作る時は、計量しやすい最小限の濃度にするのがおすすめです」(本橋さん)
クエン酸水の作り方
水200mlに対してクエン酸小さじ1/2を加え、スプレーボトルなどに入れてよく混ぜる。
作ったクエン酸水は2~3週間以内に使い切るようにしてください。
過炭酸ナトリウム
いわゆる酸素系漂白剤として販売されているものです。炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素の混合物で、アルカリ性の粉末。漂白、除菌、消臭作用があります。
トイレ掃除はしていても、便器内の水が長時間溜まったままだと、水中の雑菌が増えることで黒ずみや輪状の汚れが目立ってきます。特に気温が高い時期は雑菌が繁殖しやすく「トイレを使っていないのに汚れていく」状態になることも。
「日中留守になるお家や、旅行などでトイレをしばらく使わない時には、便器の水の中に大さじ1杯の過炭酸ナトリウムを入れておくとよいでしょう。使う時に一気に流せば、黒ずみも落ちてキレイになります」(本橋さん)
やってみよう! アルコール水とクエン酸水でトイレ掃除
「ナチュラル洗剤でどんな汚れでも落とせるということでなく、酸性の汚れはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れは酸性の洗剤を使うというように、汚れや洗剤の性質を理解して使うことが大切です」と本橋さん。
また、本橋さんはトイレ掃除にトイレブラシは使わないといいます。
「トイレブラシの清潔さを保つことは困難ですから、掃除のたびに雑菌まみのブラシで便器をこすることになってしまいます」(本橋さん)
そして、毎日のお掃除なら、洗剤がなくても便器内の汚れは簡単に落とせると本橋さんはいいます。
便器の汚れが気になるときには、自由にカットして使うタイプのメラミンスポンジで汚れを剥がしていくのもおすすめだそう。
「尿石や水垢でも、軽い汚れならメラミンスポンジで剥がすことができます。ただし、蓋や便座など、プラスチック製で傷が付きやすい部分にはメラミンスポンジは使えません」(本橋さん)
温水洗浄便座を使用している時には要注意
温水便座を使っている時は、掃除の前に必ず蓋裏の注意書きを読んでおきましょう。
見落としがちですが、温水洗浄便座のふたの裏側には、「お手入れの時には電源を抜く」「本体やプラグには水や洗剤をかけない」「プラスチックが傷む原因になるためトイレ用洗剤や住宅用洗剤を使わない」といったお手入れに関する注意事項が記載されているので、掃除の前には要チェックです。
「プラスチック製の蓋や便座を乾いた紙や布などで拭くと、ツヤがなくなるだけでなく、細かな傷がつくことで雑菌も増えやすくなるので注意しましょう」(本橋さん)
【アルコール水】を使う
適当な大きさにカットした古いタオルにアルコール水をスプレーして、トイレタンクの上の手洗い部分やトイレタンク、便器の外側、床を拭いて汚れを取り除きましょう。
【クエン酸水】を使う
トイレタンクの上の手洗い部分の黒ずみや水垢による汚れを落とし、便器周辺の尿の飛び散りなどが原因のアンモニア臭を抑えるために、クエン酸水をスプレーして、拭き取り掃除をします。
便器の縁の裏側などの尿石による黄ばみ部分には、まずクエン酸水を便器にスプレーし、その部分にトイレットペーパーを貼り付けて5分間程度「クエン酸パック」を行います。
パックに使ったペーパーはトイレにそのまま流し、その後メラミンスポンジなどでこすり洗いをします。
クエン酸パックは、手洗い部分のがんこな水垢汚れを落とすのにも有効です。ただしタンク内にクエン酸水が入らないように注意して行ってください。
トイレの頑固な汚れはプロに依頼するのもおススメ!
トイレは日々掃除をしていても、気づかないうちに頑固な輪じみ、黒ずみなどが蓄積してしまった・・・なんてことも多いですね。
そんな時は、一度ハウスクリーニングの専門業者にお願いしてみるのもおススメです。
東京ガスのハウスクリーニングは、自社研修を受けたプロが、市販の洗剤ではビクともしない蓄積してしまったトイレの輪じみ、黒ずみ、手洗い器の水垢、カルキ汚れもプロの技で徹底洗浄してくれます。
一度キレイになったトイレは、その後自分でも掃除もしやすくなります。
利用した方の中には、せっかくお金をかけて綺麗にしてもらったのだから、綺麗な状態を維持しようと感じる方も多いそう。
ご自宅向けにはもちろん、ご両親へのプレゼントにも喜ばれること間違いなしです。
Webで簡単にお申し込みできます。ぜひお試しください!
トイレの汚れは毎日の簡単掃除習慣で撃退!
せっかくナチュラル洗剤で掃除してキレイになったトイレも、同じように使っているとまた黒ずみや黄ばみがついてしまいます。それをできるだけ防ぐには、便器の簡単掃除を習慣化することが有効だそうです。
「毎日気軽にアルコール水で掃除をささっと行えれば、トイレ掃除はそれだけで大丈夫です。こまめに掃除できるなら水だけでお掃除も可能ですよ」と本橋さん。
本橋さんは自宅トイレの手に取りやすいところに、アルコール水スプレーの小さなボトルを置き、いつでも掃除できるようにしているそうです。
「汚れたら掃除する」のではなく、「使う度にさっと掃除する」ことを心がけてみましょう。
おわりに
汚れがたまりやすいことはもちろん、水分や温度もあるため雑菌も増殖しやすいトイレ。毎日使う場所だからこそ清潔に保ちたいものです。最近注目されているナチュラル洗剤を使った気軽な掃除を習慣づけて、トイレの黒ずみや黄ばみとサヨナラしましょう。