手足が冷えて眠れない理由は、体温の落差が少ないから
冷えを感じるとなぜ眠りにつくのが難しいのでしょう。
書籍『眠トレ!』著者の三橋美穂さん(以下、三橋さん)は、冷えと眠りには『深部体温』が関係しているといいます。
深部体温とは、内臓などがある体の内部の体温のこと。睡眠に入る時、体は深部体温を下げて眠りを深くしていきます。
三橋さん「深部体温を下げるには、体の内部の熱を手足や皮膚の表面に逃していく必要があります。冷えが強い人は全身の温度が低く、体の表面温度も低いため、深部の熱が表面に移動しづらい状態になっています。そのため、深部体温が下がらないと、どうしても寝つきが悪くなってしまうんです」
人の体温は、1日の中でも1℃程度の高低差があります。通常、入眠する約5時間前が最も高く、急激に体温が下がることで眠気が強くなって寝つきがよくなるそう。
寝つきをよくするには、まず最初に体をしっかりと温めて、体温に落差をつけることが大事なのですね。
【冷え対策1】お腹と3つの首をしっかりと温める
冷え性の人はお腹が冷えているために、手足の先まで血液が行き届いていない可能性がある、と三橋さん。
三橋さん「まずお腹を温めて、それでも手足が冷えるようならレッグウォーマーやアームウォーマーを使いましょう」
体を温めるには「三首」といわれるように、首元、手首、足首の保温が効果的といわれます。
三橋さん「お腹はもちろんですが、これら3つの首に太い血管が通っています。太い血管を温めると全身に効率よく温かい血液がめぐるため、効果的に体を温められますよ」
実は三橋さん、物心ついたときから冷えの自覚があったという生粋の冷え性。ただ、どこでもすぐに眠れて、朝まで目覚めなかったため、ご自身の眠りが浅いことには気付かなかったのだそう。
三橋さん「あるとき、腹巻とレッグウォーマーを着けてみたら一気に熟睡感が増したんです。それで初めて、ああ、私の眠りって浅かったんだ、と気付きました。体を温めることは、質のいい眠り=熟睡への近道ですよ」
背中タオルで冷気をさらにブロック
三橋さん「もう一つおすすめなのが、背中にタオルを当てること。背骨付近は皮下組織が薄く、体が冷えやすいですし、横を向いた時に背中と掛け布団のすき間から冷気が入りやすいのです」
やり方は、とても簡単。フェイスタオルを肌着の内側に入れるだけです。タオルの上部は首元から外側に折り返して、下部はパジャマのズボンの中に入れておきます。
子どものパジャマの背中に入れてみたところ、「あったかい」と大好評。薄手のタオルを使うと寝たときにゴロゴロしないようです。
【冷え対策2】締め付けない綿パジャマ
冷えで眠れない人は、パジャマ選びも大切です。
三橋さん「締め付け感のあるパジャマや部屋着は厳禁です。ブラジャーやガードルなど締め付ける下着も外し、ウエストの締め付け感が少ないパジャマを選びましょう。締め付けがあると血行が阻害されて、深部体温が下がるのを妨げてしまいます」
睡眠中は体温を下げるため汗もかくので、パジャマや肌着は吸湿性の良さも大切。汗を吸い取らないと、体を冷やすことにつながってしまいます。綿やシルク、麻などの吸湿性の良いパジャマを選びましょう。
【冷え対策3】湯たんぽや電気毛布を上手に活用
寒くて眠れない人は、湯たんぽや電気毛布を使って、体ではなく「寝床」を温めておくのも効果的です。
三橋さん「寝床に入ったときの冷たさを緩和するのは大切なことです。寒いと感じると、筋肉や血管が収縮してしまって、血行が妨げられてしまいますからね。
ただし、睡眠中は体温を下げることが快眠につながるため、湯たんぽや電気毛布は、寝る”前”に仕込んで寝床を温めておきましょう。時間とともにぬるくなっていく湯たんぽは、その点、理にかなっていると言えます」
電気毛布の場合は、寝る前に高い温度でスイッチを入れて寝床を温めておき、寝る際に温度を下げるかタイマーで30分~1時間後に切れるよう設定しておくのが快眠のポイントだそう。
三橋さん「寝ているときは電気毛布のスイッチを切ったほうがいい、という人もいます。ただ、環境にもよるので、冷えの度合いがひどく、真冬で暖房の効かない環境にいるときなど、“低”の設定のまま朝まで使ってもいいケースもあります」
【冷え対策4】毛布は掛けるより敷く
寝床内の温度は33℃前後、湿度は50±5%ほどが快適に眠れる環境だそう。その際、掛け布団や掛け毛布をたくさん増やすより、敷き毛布や敷きパッドを活用する方が、効率よく体が温められるのだそうです。
また掛け布団を増やすと、寝具の重みで圧迫されて血行が妨げられることもあるので注意。掛け毛布を使う場合、羽根布団なら布団の上に、綿布団なら布団の内側に毛布を使うと、効果的に温まります。
三橋さん「冷たい空気は下にたまるので、だんだん冷えてきます。お布団を床に敷いている場合、床の冷たさも伝わってきてしまいます。敷布団を2枚にしたり、起毛素材の敷きパッドを使うなどして熱が逃げない工夫をしましょう」
ちなみに体を温めるには「肌により近いところを温める方が効率がいい」と三橋さん。冷えで眠れない場合は、寝具を1枚増やすより、まずは肌着を1枚増やすほうが効率よく体を温められるそうです。
【冷え対策5】暖房で寝室の温かさをキープ
寝室が寒ければ、寝具や着衣の量を増やせばいい、と思っていませんか? 冬の寒い寝室は、浴室と並んでヒートショックが起りやすい危険な場所でもあるそうです。
三橋さん「ヒートショックを防ぐには、寝室の温度を18℃以上に保つことが大切です。寝るときにエアコンなどの暖房器具を使うのに抵抗があるという人もいますが、住宅の温かさは健康に直結します。寝室が北向きで寒い、という人は、なおさら暖房を活用しましょう。北向きの部屋は日中あまり日が当たらないので、部屋自体が底冷えすることが多いです」
近ごろは夜間の熱中症が知られるようになってきて、夏場は夜もエアコンを使う人が増えてきました。「夏場のエアコンで冷えを感じる人は、しっかりと肌着・パジャマを着込みましょうね」(三橋さん)
また、見逃しがちなのが「窓」。窓からの冷気は室温を下げる大きな要因の一つです。
三橋さん「窓からの冷気は最終的に床にたまります。カーテンもいいですが、それでは防ぎきれないので、内窓などで窓自体を断熱すると効果があります。内窓はDIYでも作ることができます。ぜひやってみてください」
【冷え対策6】お風呂は寝る30分前に!
体を温める最大の生活習慣といえば、やはりお風呂。冷え性の人は、入り方にも少し工夫が必要です。
三橋さん「冷え性を改善するためには、ヒートショックプロテイン(HSP)という入浴法が効果的といわれます。週に2回ほど42℃ほどの高温入浴をして、体温を38℃まで上げる方法ですが、これは快眠のためというより体質改善向き。寝る前に行ってしまうと、体温がすごく上がるから寝つきが悪くなってしまいます」
快眠のためには、冷え性の人は寝る直前の入浴が効果的、と三橋さん。
三橋さん「本来、入浴は寝る1~2時間前がいいのですが、冷え性の人は寝る30分前くらいがいいですね。あまり長湯はしないで、浸かっている時間も10分くらいにして上がりましょう。お湯の温度は冬なら39~41℃、夏は38~40℃がいいですよ」
炭酸ガスの入った入浴剤などで血行を促進し、香りを楽しみながら、短時間・寝る直前に副交感神経が優位になるように体を温めるのがおすすめだそうです。
休みの日などに定期的にHSP入浴法を試して体質改善に取り組むのも良いですね。
冷え性チェック「お腹をさわって、自分の冷え度を確認」
布団の中で寒さに縮こまったり、手足が冷たく感じたり、首元がゾクゾクしたり・・・。冷えの症状があると、眠りにつきにくくなりますね。
三橋さんによると、最近は男性でも冷えの症状を訴える人が増えているそう。
三橋さん「女性はもともと筋肉が少ないため、熱を作り出す能力も低く冷えやすい傾向にあります。ただ、冷えは決して女性だけの体質ではなくなっています。まずはお腹をさわって、ご自身の冷え度をチェックしてみましょう」
【冷え度チェック】
- お腹が温かい → 健康
- おへそが冷たい → 胃腸が弱っている
- 脇腹が冷たい → 浅い冷え
- おへその下が冷たい → 深部から冷えている
これは東洋医学の見立て方なのだそう。どうでしょう。冷たさを感じた人のほうが多かったのでは?
生活習慣の見直しで冷え性を改善!
全身が冷えてしまう人、手足など末端が冷えてしまう人、下半身だけが冷えてしまう人・・・。「冷え」はさまざまなタイプがありますが、冷えの原因として三橋さんは、筋肉不足と凝り、そして自律神経の乱れを挙げています。
三橋さん「筋肉量が減ると熱を作り出す力そのものが弱くなったり、熱を蓄えられなくなって冷えやすくなります。また、身体の熱を運んでいるのは血液ですが、筋肉による運動が減ったり、凝りがあると血液がめぐりにくいです。
自律神経が乱れてしまい、交感神経が優位になったままだと、緊張状態が続いて全身に血液がめぐりにくくなります。緊張しやすい人は、交感神経が働きやすい人といえますね」
冷えを防ぐには、まず生活習慣を見直すことが大切です。以下に「冷えやすくなる生活習慣」をご紹介します。
■× ほとんど体を動かさない
リモートで在宅勤務をしている人は、運動が極端に不足してしまいがちなので要注意。筋肉を減らさず維持するよう、時々はデスクを離れて軽く筋トレをしたり、意識的に動く・歩くことを日常の中で取り入れましょう。
■× カフェインを摂り過ぎている
温かいコーヒーや紅茶を飲むと体が温まりそうですが、カフェインの作用で血管が収縮し、かえって血行をさまたげるおそれがあります。特に寝る前は、体を覚醒してしまうこともあるので要注意。同様に、タバコもNGです。
■× 体温より冷たいものばかり食べる
冷たい飲み物や食べ物を摂取すると、体温を下げてしまいます。お茶はできるだけ常温か温かいものを、食事のときは温かいスープを添えて。サラダやフルーツなどはすぐに飲み込まず、口の中でよく噛んでから飲み込みましょう。
また冷えとの直接的な関係はありませんが、「寝る前スマホ」も避けましょう。スマホのライトは刺激が強いため、寝る前に使うと脳が覚醒してしまい、自律神経の乱れにつながります。暗い寝室でスマホを使うのは、明暗差がつきすぎるためさらにNG。寝る前はスマホを使わず、ゆったりと眼や脳を休めましょう。
おわりに
冷えで眠れないと、睡眠の質が低下してしまいます。睡眠の質が下がると体の疲れも取れず、体を動かしにくくなって自律神経も乱れ、さらに冷えへつながる・・・という悪循環に。三橋さんおすすめの冷え対策は、どれも暮らしの中ですぐに始められるものばかり。さっそく今日から取り入れて、質のいい暮らしを手に入れたいですね。
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