火災警報器について知っていますか?
マンション入居や住宅購入の際、実は必ずついている火災警報器。その設置の有無や位置を意識する方は、少ないかもしれません。賃貸住宅にお住まいの方なら大家さんからの警報器取り替えの連絡があった時や、マンションの一斉動作点検などで、初めて警報器を意識した方も多いのではないでしょうか。
火災警報器は、2006年6月より賃貸や持ち家に限らず、全国のすべての新築住宅への設置が義務付けられています。既存住宅に関しては、お住まいの地域の市町村条例により定められた日から必ず住宅用火災警報器を取り付けなければなりません。例えば、東京都の場合は、2010年4月から、既存住宅についてもすべての物件で設置が義務付けられました。
「そういえば、家のどこかで見かけた気がする」と思っても、普段はあまり意識せずに過ごしていますよね。改めて家の中を調べてみると、キッチンや寝室に火災警報器を見つけたという方もいらっしゃるはずです。設置場所については、市町村条例によって異なるものの、一般的にはキッチン、寝室、リビング、階段などへの設置が義務付けられています。
大切な家族の命を住宅火災から守る火災警報器。火災警報器によって、火災を火が小さいうちに早期発見することで、初期消火や通報などの行動が早まり、近隣への延焼被害も抑えることができます。
火災警報器の点検をしましょう
火災警報器の定期的な点検を実施しているマンションや自治体などもありますが、定期点検がない場合や、定期点検の頻度が少ない場合、月1回の頻度を目安に、ご自身で点検を行いましょう。
以下を参考にして点検を行ってみてください。
【お手入れの方法】
- ほこりが付いていると火災を検知しにくくなります。汚れが目立ったら、乾いた布で拭きましょう。
- キッチンに取り付けた警報器は、油や煙などにより、センサーに汚れがつくことがあります。洗剤などをつけた濡れ布巾を十分に絞り、汚れを拭き取ってください。
【テストの方法】
- ボタンを押す・紐を引くなどの動作で、テスト検査が行えます。
- 警報器が正しく鳴れば、問題ありません。
- 警報器が鳴らない場合は電池切れや、電池が正しくセットされているか確認し、再テストしてください。
※テスト方法についての詳細は、製品取扱説明書をご確認ください。
定期的な動作確認は非常に大切です。また正しく動作していても、火災警報器は10年程度が交換の目安です。定期点検の際に、一緒に火災警報器設置の年数を確認するとよいですね。
ところで、火災警報器はガス漏れを感知できないことをご存じでしたか?
安全に利用すれば便利なガス。ガスの特性を知ろう!
実は、ガスの原料には元々色やニオイはありません。それなのに、「ガス臭さ」を経験した方もいるはずです。その理由は、家庭などで使用する都市ガスやプロパンガスには、ニオイが付けられているからです。ガスにニオイがついている理由は、微量なガス漏れでも、すぐに気付つくことができるためです。
しかも、心地良いニオイだと危険察知ができません。そこで、一般的には玉ねぎや卵が腐ったようなニオイがつけられています。悪臭と感じるようなニオイにより、本能的にガス漏れを察知することができるのです。
なぜ必要? ガス警報器のはたらき
ガスには、危険を察知できるようにニオイがつけられていますが、ガス漏れしている場所から離れた所にいる場合、ニオイを感知できず早期発見ができない危険性があります。さらに、ガス漏れは、単純なガス漏れだけでなく一酸化炭素発生の危険性もあります。この一酸化炭素には色も、ニオイもないのです。
一酸化炭素とは、コンロやストーブなどのガス機器や石油機器の使用方法の誤りなどで、燃焼時の酸素が不足することにより不完全燃焼を起こし発生する有毒ガスです。前述の通り、色もニオイもないため、一酸化炭素が発生しても気が付くのが難しいにも関わらず、毒性が強く、少量の吸引でも、中毒になる危険性があります。平成30年度消防白書によると、平成 29年(2018年)に発生した建物火災の死亡要因で最も多いのは、やけど、次いで一酸化炭素中毒死になっています。
ガス機器は正しく使用すれば、安全かつ快適に活用できるものです。経済産業省によると、一酸化炭素中毒事故の多くは、ガス機器の経年劣化や、不十分な換気による不完全燃焼が原因とされます。その多くの事故は、正しく機器を使うことやガス警報器が設置されていたことで未然に防げたかもしれません。換気、定期的な手入れや点検、そしてガス警報器の設置がとても大切なのです。
ガス警報器を付けて安心を
ガス警報器には、ガス探知センサー機能だけがついた機種の他、1台で火災、ガス、一酸化炭素の検知機能を備えた機種もあります。熱や煙を感知するだけではなく、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素もセンサーでチェックすることができるので、火災やガス漏れの早期発見だけではなく、一酸化中毒による事故防止も可能となっています。
ガス警報器には月々のリース制度もあり、比較的安価に利用できます。東京ガスのリース制度※では、24時間 365日の受付体制が整っているので、万が一の故障などの時も安心です。詳細については、東京ガスホームページをご確認ください。
※東彩ガス地区・東日本ガス地区・日本瓦斯(ニチガス)真岡地区にお住いのお客さまはリース制度をご利用いただけません。ご利用いただける対象エリアについては今後変更されることがあります。
おわりに
普段の生活では、あまり気にすることのない警報器。東京消防庁によると、管轄内における2018 年の住宅用火災警報器などの設置率は約85%とされています。また、ガス警報器の設置率(2017年)を見てみると、都市ガスで40.7%、LPガスで78.1%・簡易LPガスで56.2%となっており、まだまだ安全とはいいがたい状況です。この機会に、ご自身の家はもちろん、年配のご家族が住む家でも、ガス警報器が正しく設置されているか確認をしてみてはいかがでしょうか?
ただし、警報器を設置して終わりではなく、定期的な掃除や動作確認などのメンテナンスもしっかり行ってください。設置と定期点検で、災害からご家族やご自身の身を守る生活を送りましょう。
参考:一般社団法人日本ガス石油機器工業会「一酸化炭素(CO)中毒に注意!」