太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)が、2019年から順次満了!
太陽光発電の「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)」が、2019年11月から順次満期を迎えています。
ご自宅にソーラーパネルを設置している家庭では、太陽光発電した余剰電力を国が定めた固定価格で売電している人がほとんどです。ただしこの制度はもともと、期間限定という取り決めがありました。制度開始は、2009年11月。そこから10年たった2019年11月以降、「固定価格での買い取りの対象」から外れる人が出始めています。
例えば、2010年1月から売電を開始した人は、2020年1月に固定価格買取期間が満了(卒FIT)。
そこでいま卒FIT後の売電をどうするかが、話題となっています。
卒FIT後、太陽光発電の余剰電力の売電はできなくなるの?
FIT制度終了後も、電力の買い取り自体がなくなるわけではありません。
買取契約が継続となっている場合は、新しい単価で買い取りが行われます。卒FIT後に同じ電力会社に売電することもできますが、買取金額はFIT制度を利用していた時よりも大幅に安くなる傾向にあります。
注意したいのが、買取契約が引き継がれず買い取り者が不在になってしまう場合。この場合、余剰電力は無償で一般送配電事業者が引き受けることになり、せっかくの余剰電力がタダで引き取られてしまいます。
買取契約の手続きには一定の期間が必要です。だからこそ、卒FITの時期がわかったら、なるべく早めに何らかの手立てを打つ必要があるのですね。
余剰電力の使い道1 自家消費する
自家消費とは、これまで電力会社に売っていた電気を、自宅での消費にあてること。
日ごろ使う電気代と、売電で得る金額を比べた場合、一般的な電力会社の電気料金は25円※前後で、買い取り金額はそれより低いのが一般的。例えば、東京電力は2019年6月、FIT制度満了後の買取価格を1kWhあたり8.5円と発表。「売ってもそれくらいの金額なら自家消費を増やす方がお得」と考える人もいることでしょう。
ただ、太陽光発電で作った電気を自家消費するには、蓄電池の購入など投資が必要になります。太陽光の場合、昼間に多く発電され夜には発電しませんので、昼間に作った電気を蓄電池や電気自動車などにためておく必要があります。ただ、蓄電池はまだまだ高額で、導入に多額のコストがかかります。経済面だけを考えると「元を取る」のは難しいケースも多いようです。
とはいえ、卒FITを機に蓄電池を導入して、万が一の災害時に備えたいという人もいることでしょう。経済性と価値観を照らし合わせながら、それぞれの家庭に合った選択をしてくださいね。
※東京ガス「電気料金/料金単価表」
余剰電力の使い道2 売電を続ける
導入コストがかかる自家消費に対し、売電を選択した場合は、手続きの手間がかかるだけで金銭的なコストはほぼかかりません。将来的に自家消費を目指していく場合も、まずは売電を選択して順次検討していくのが現実的といえるでしょう。
売電を続ける場合、買取業者と自由に契約を結んでいくことになります。自由売電は「量×価格」というシンプルな料金体系が多いため、まずは単純に価格を比較して、より高い金額で買ってくれる業者を選ぶのがおすすめです。
例えば、上の図は東京電力と東京ガスの比較になります。ご自宅の過去の余剰電力量を元に計算してみると良いでしょう。
詳細は東京ガスの太陽光買取サービスホームページをご覧ください。申込書等詳しい請求もできます。
【「太陽光ずっともセットプラン」について】適用する電気ご使用契約の料金メニュー(ずっとも電気1S、1、2、3)に応じて、電力買取料金の割増が適用されます。次の条件をすべて満たすお客さまが対象です。1東京ガスの電気のご使用場所と、太陽光発電設備の設置場所が同じであること。2買取料金適用期間中に当社との電気ご使用契約「ずっとも電気」が継続していること。3電気ご使用契約の情報を添えたうえで、お客さまから本メニュー適用のお申し出をいただくこと。4原則として、電気ご使用契約と太陽光買取サービスのご契約者さまの名義が同一であること。適用される割増内容は次のとおりです。電力受給契約ごとに電力買取料金の電力量料金単価を1円/kWh(消費税等相当額を含みます)割増します。
※1:「太陽光ずっともセットプラン」の適用を受けている方を対象に、「太陽光買取プラン」の電力買取料金が割増になります。※2:年間の余剰電力買電量が4,000kwhの場合、東京電力エナジーパートナーと比較し、当社「太陽光ずっともセットプラン」に切り替えた場合約8,000円/年の差額となります。同様に、当社「太陽光ずっともセットプラン」では、3,000kwhの場合約6,000円/年、2,000kwhの場合約4,000円/年の差額となります。※3:東京ガスに売電先を切り替えた場合、「現在ご契約の電力会社」に支払う解約手数料がかかる場合があります。
〇掲載する当社の買取単価等には、非化石価値および消費税等相当額を含みます。なお消費税率は10%で計算しています。〇当社による電力買取の対象範囲:首都圏および静岡県(富士川以東)(島嶼地域を除く)。〇すでに当社が買取った電力に関する追加のお支払い等には応じられません。
太陽光発電の売電の手続きに必要なものは?
書面の郵送だけでなくWEBで申し込みできる業者も増えていますが、いずれの買取業者でも、電気の買取契約を申し込む際は以下の2つが必要となります。
1.再生可能エネルギーの固定価格買取期間満了のご案内(卒FITの3~6か月前に東京電力など余剰電力を買い取っている業者から届く)
2.電気ご使用量のお知らせ(電気の検針票)
【太陽光発電の買取申し込みに必要な提出書類(東京ガスの場合)】
契約切り替え・手続きの最適なタイミングは?
申し込みから次の売電先に移行するまでにはしばらく時間がかかります。満了日直前に申し込みをすると、次の売電先に移行するまで空白期間ができてしまい、その間は余剰電力がタダで回収されてしまうことに…。
「再生可能エネルギーの固定価格買取期間満了のご案内」が届いたら、1~2か月程度で売電先を決め、満了日の1ヶ月前には申し込みをしておきましょう。
こうすることで、FITの満了日までに売電先の切り替え準備が整い、満了日の次の日から選んだ売電先にスムーズに移行することができます。
東京ガスの電力の買取価格はどのくらい!?
2019年11月から始まった東京ガスの電気の買取サービスは、9.5円/kWh。また、東京ガスの電気を使用しているお客さまが「太陽光ずっともセットプラン」で契約すると、買取価格は10.5円/kWhとなります。
東京ガスなら、毎月の売電状況を会員用のWebページ「太陽光買取ポータル」で確認できます。
おわりに
自然災害が続いた2019年、売電よりも備えをと、蓄電池などの導入を検討している人も多いことでしょう。太陽光発電を導入している人は、いつか必ず「卒FIT」の問題に直面します。卒FIT後はさまざまな選択肢がありますが、とにかく一番もったいないのは、そのまま放置してしまうことです。より賢く、より効率よくエネルギーを活用するために、余剰電力の使い道を検討していきましょう。