夫と上手く家事分担できない・・・。男性に向く家事はある?
ーーー妻から夫にもっと家事を分担してほしい時、どんな家事をお願いするとスムーズなのでしょうか?
(三木さん)男性の場合「自分の能力で家族の役に立てた」と自分の価値を実感できると、やる気が出やすいようです。まずは妻が「自分が苦手な家事」について相談してみるのはどうでしょう。
例えば、「食器洗浄機で洗うと汚れが残りがちなの。どう工夫すると、キレイに汚れが落ちるかな」など、自分が使い方に困っている家電や機器について相談すると良いと思います。ガジェットに強い男性ならビデオ撮影や写真の整理などもいいですね。
「この家事は自分だからやれている」という意識があれば、自分事として物事を捉えやすいんです。
多くの家庭では、妻がメインで家事をして、夫はサポート的に家事に取り組んでいます。そのため、夫にとって、どうしても家事は他人事になりがちです。妻がやった方が効率的だし、雑用ばかりだとモチベーションは上がりにくい。自分のやり方について指摘されるリスクもあると思うと、積極的に関与しにくいものなんです。
家事分担の進め方については家事シェア(https://tg-uchi.jp/topics/6581)でもお話しましたが、委ねるならきちんと委ねて口を出さないことが大事ですよ。
家事分担を頼みたい時、どう伝えるのが効果的?
ーーー家事分担を切り出すのが難しい家庭もあるようです。どう伝えるのが効果的なのでしょうか?
(三木さん)伝え方にはいろいろあります。最近人気なのは分担表や分担アプリを使って、家事がどれだけあるか洗い出し、任せたい部分を明らかにする方法ですね。手紙を書く人もいれば、特にツールは使わず話し合いの場を設ける人も。方法は何でも良いと思います。
大切なのは「あなたが必要なんです」と伝えること。「あなたの存在がこの家においていかに重要か、あなたなしでは我が家は回していけない」と伝えることです。
家事をやっていない人は家事のことを軽く見がちな傾向があります。「大変と言いながらも妻は1人で回せているのだから、自分が手を出さなくても問題ない」と思っているかもしれません。
一方、ワンオペで家事を回している妻は、「夫は頼りにならない存在だから自分1人でがんばらなくては」と思い込む傾向にあります。時には夫の存在を軽視することも。
そうしたお互いの気持ちは普段から相手に伝わってしまっています。ですから、改めて「あなたが必要です」と伝えることは大切ですし、相手にとっても嬉しいはずなんです。
家事分担の頼み方のコツ1「建設的に話す」
「私ばかりが忙しい」などと相手を責めたり、詰めるような話し方はNG。冷静に現状と問題点を伝え、解決方法を提案することです。意見が違う場合は、理由をお互いに聞き合ってみましょう。
選択肢は「家事を相手に分担してもらう」だけとは限りません。「やらなくて良い家事はやらないと決める」「できない家事は外注する」など複数の選択肢を出して、どの案が自分たちにとって望ましいかを議論していきましょう。仕事での会議と同じように、建設的に話し合うのが、うまくまとめるコツです。
家事分担の頼み方のコツ2「広く長期的な視点で話す」
家事の話だけに留まらず、広く長期的な視野で話し合いましょう。家事を分担するということは、自分の貴重な時間・エネルギーを割くことであり、「どんな家庭でどう暮らしていきたいか」「どんなワークライフバランスが望ましいか」「自分が快適に暮らすためにどのレベルの家事を求めるか」など、その人の価値観の根幹に関わることだからです。
家事分担とは「今ある家事を洗い出して、それを振り分けていく」というだけの作業なのではなく、「お互いの価値観をすり合わせていく」作業だと考えると良いでしょう。
家事分担の頼み方「やってはいけないNGとは?」
話し合いの際、感情的になることは避けましょう。議論が進まないばかりか、パートナーシップが悪化するリスクがあります。相手と意見が違った場合には、その理由を確認し、相手の価値観も尊重することです。
また、正論を振りかざすのもNG。夫側にも労働状況や会社のカルチャー、上司の理解度などさまざまな事情があるのかもしれません。お互いの事情を理解し、建設的に話し合いを進めるのがポイントです。
家事分担をスムーズに進めるために! 相手を褒めるのではなく◯◯する
(三木さん)相手が家事を分担してくれるようになったら「褒めると良い」というのが定説ですね。でも僕は褒めるより、喜ぶことが効果的だと思います。
「褒めよう」とすると、どうしても上からの評価になりがちです。また相手の立場からしても、「褒めてもらいたい」というモチベーションでは長続きしにくいんです。
それより「洗濯物、片付いていると嬉しい」「パパの料理、美味しいね」など、家族が喜んでくれるとまたやろうという気持ちになりやすいですよ。
夫の家事で妻のストレスが減るという調査も・・・
夫がどの程度家事をするか
東京ガス都市生活研究所が実施している調査によると、1993年、2002年、2014年と家事をする夫の割合は増えています。これは専業主婦家庭でも共働き家庭でも同様の傾向が見られます。
「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合
また、「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合が、夫が家事を「主に担当」している場合と「ほとんどやらない」場合とでは約2割の差が見られ、「夫が家事を行うと妻のストレスが減る」ということも明らかになりました。家事シェアにより家族が円満になるという傾向が数値の上でも表れているんですね。
おわりに
家事分担の具体的な進め方については、家事シェア(https://tg-uchi.jp/topics/6581)をご覧ください。また家事をうまく時短するコツ(https://tg-uchi.jp/categories/housework/ranking)もありますよ。家事分担の話し合いが、より良いパートナーシップを築くきっかけになったら良いですね。