家族の関係が改善する⁉ 話題の家事シェアとは? 家事分担とどう違う?
ーーー最近、話題の家事シェアですが、家事分担とはどう違うのでしょうか?
(三木さん)家事分担という言葉を使うと、「家事は基本ママの仕事」という価値観がベースにあり、夫や子どもは手伝いとして参加する印象が強いです。そうすると「夫婦でどっちがどれくらいの割合で分担しているのか」が話題になりやすく、どうしてもギスギスしてしまいがちです。
私はかねてからママの持つ仕事(家事育児)は、夫婦や家族で所有する形が望ましいと思ってきました。それを「家事シェア」と名付けたんです。
私は前職でインテリアコーディネーターとしてさまざまな夫婦を見てきたのですが、家の内装やインテリアを決めるのは妻、夫は付いてきているだけという家庭が多かったんです。こういう夫には家の中に自分の居場所がないんじゃないかとも感じていました。一方、上手くいっている夫婦は家事もシェアして、室内もお互いの好みを反映している。
家事シェアは「みんなでやることで同じ目的意識を持てる」のが特徴。「家族みんなで協力し合っている」という意識を持つことで、家族関係が改善することも多いんです。
家事シェアの2つのやり方「分担型(プロジェクト型)」と「指示型(トップダウン型)」とは?
ーーー家事シェアで家族がよりハッピーに⁉夢のような話ですが、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
(三木さん)家事シェアには、指示型(トップダウン型)、分担型(プロジェクト型)の2つのタイプがあります。大切なのはどちらのタイプにするか事前に決めておくことです。
ちなみに、一般的には家事シェアと言うと「自発型(フラット型)」をイメージする人が多いかもしれませんね。これは気づいた時に気づいた方がやる方法です。これは理想的ですがうまくいかないことが多いんです。夫婦双方が満足しているなら良いですが、どちらかが不満を持ち始め、成立しなくなるパターンが多いですね。
指示型(トップダウン型)の家事シェアとは?
指示型(トップダウン型)では、夫婦のどちらかがプレイングマネージャーのような役割を果たします。プレイングマネージャーが主軸で家事を担う役割を果たしつつ、手伝ってほしい家事を家族に振っていきます。手伝いをする家族は「いつ家事をやるか」というタイミングだけを決めておきます。例えば、「平日の朝はパパが家事をする」などの形です。
プレイングマネージャーはそのタイミングに適した家事を依頼します。例えば「平日の朝はゴミ出しをパパに依頼する」など。
大切なのは、プレイングマネージャーの指示の仕方です。作業のやり方について明確に指示を行い、場当たり的な指示は避けることです。
分担型(プロジェクト型)の家事シェアとは?
分担型(プロジェクト型)の場合、家族が自分の担当を決め、それぞれ主体的に家事を行います。自分が決めたタイミングで自分のやり方で実施するのが特徴。
メンバーは自分以外が実施する「やり方やタイミング」に口を出さないのがポイント。相手にタイミングを委ねて間に合わなくなるリスクがある場合には「期限だけ」決めましょう。
トラブルを防ぐ! 上手な家事シェアのコツとは?
指示型(トップダウン型)と分担型(プロジェクト型)を事前に決め、どちらか一方のやり方に絞る
指示型(トップダウン型)と分担型(プロジェクト型)、2つの型が交ざることがトラブルの元になります。
例えば、分担型(プロジェクト型)に決めて「◯◯は夫」と任せたのに、やり方やタイミングについて妻が口を出す。指示型(トップダウン型)に決めたのに「自ら夫が動く」ことを期待するなどです。
どちらかに決めたらその型でやってみて、合わないと思ったら切り替えてもう一方をやってみる。そうした試行錯誤を繰り返しながら家庭にあった方法を見定めていくと良いでしょう。
相手の適性や働き方を見てどんな型にするか決める
指示型(トップダウン型)は、プレイングマネージャー(主体的に家事を担う方)が家事のやり方やクオリティへのこだわりが強い場合に向いています。加えて、手伝いする家族がこだわりが薄い場合にも良いでしょう。また、一方が他方より多くの家事を担う、専業主婦(主夫)家庭にも良い方法です。
分担型(プロジェクト型)は、夫婦双方が家事のやり方やクオリティへのこだわりが強い場合に向いています。共働きの場合や分担の割合が均等に近い場合にも良いでしょう。
家事シェアをやってみたいけど、夫が協力してくれない・・・
(三木さん)相手が喜んで家事シェアに協力してくれない・・・という家庭は少なくありません。そういう場合には、自分で相手の適性などを見てどちらのタイプを選ぶか、決めて依頼してみるのがオススメです。
また相手が忙しすぎてそもそも家にいない、家事シェアする余裕がないという家庭の場合は、便利家電を導入したり、家事代行を頼んで見るのも良いでしょう。
家事シェアのニーズは増えている! 夫の家事で妻のストレスが減るという調査も・・・
夫がどの程度家事をするか
東京ガス都市生活研究所が実施している調査によると、1993年、2002年、2014年と家事をする夫の割合は増えています。これは専業主婦家庭でも共働き家庭でも同様の傾向が見られます。
「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合
また、「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合が、夫が家事を「主に担当」している場合と「ほとんどやらない」場合とでは約2割の差が見られ、「夫が家事を行うと妻のストレスが減る」ということも明らかになりました。家事シェアにより家族が円満になるという傾向が数値の上でも表れているんですね。
おわりに
仕事に子育てに・・・と忙しい日々の中でママの負担を減らし、家族みんなで協力しあえたらいいですね。上の方法を参考にぜひ家事シェアにトライしてみてはいかがでしょうか?