空き家はそのままだと劣化する?! 管理や掃除が必須な理由とは?
放置された空き家が増えていると感じませんか? 総務省の調査によると、空き家は年々増えていて、2018年の空き家は846万戸と過去最高に。この数は日本の住宅全体の13.6%にも上ります。
誰も住んでいない家は、急速に傷んでしまいます。傷んだ空き家を放置しておくと、資産として劣化するだけでなく、侵入されたり、犯罪に使われるリスクもあります。近隣の方に迷惑をかけないためにも、空き家は適切に管理し掃除やお手入れしておく必要があります。
空き家には欠かせない管理やお手入れや掃除についてご紹介します。
【空き家の管理・お手入れや掃除が必要な理由 1】換気して湿気を逃がす
閉め切った家の中は、湿気がこもります。湿気は家具や建材にダメージを与え、カビやシロアリの発生原因になるので、注意が必要です。
窓やドアを開けて換気すれば、空気が流れ湿度が下がります。そうすることで家の老朽化を防げますよ。
【空き家の管理・お手入れや掃除が必要な理由 2】雨漏りなど家のトラブルの早期発見
壁のヒビ、塗装の剥がれ、雨漏りなど、家のトラブルを見つけるのも空き家を管理する上で重要なポイントです。
最初は小さな雨漏りだったものが、徐々に進行すると、建材が腐敗し大きな被害につながることも。トラブルは早めに発見・対処するのが大切です。
【空き家の管理・お手入れや掃除が必要な理由 3】老朽化がひどい場合には、法的措置を受ける場合も
空き家を適切に管理しておかないと、腐敗・劣化が進み、倒壊するリスクも上がりますし、シロアリなど害虫が発生する原因にもなります。近隣の住宅にも迷惑をかける可能性があるのです。
2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。自治体が「適切な管理をしていない空き家」だと認定した場合、改善させたり、強制執行を行うことが可能となります。
「特定空家等」と認定され、勧告を受けてしまうと、住宅用地の特例の対象から外れることになります。これにより、軽減措置も受けられなくなってしまうため、固定資産税や都市計画税が大幅にアップしてしまいます。
また、強制執行となれば、自治体が持ち主の許可なく、強制的に空き家を解体・撤去し、その費用を持ち主に請求することができるのです。
空き家は放置しておかず、適切に管理していく必要があるんですね。
空き家のお手入れや掃除は、どれくらいの頻度でやるべき?
空き家の換気や掃除などのお手入れは、最低でも月に1度行うのが理想です。頻繁にお手入れをしておけば、毎回の掃除の負担は少なく済みますよ。
空き家の管理やお手入れは、自分たちでやる方法、近隣の親戚や知人に頼む方法、業者の管理サービスを利用する方法などがあります。お手入れや掃除の方法の後に詳しくそれらのメリットやデメリットをご紹介します。
まずは空き家の管理・お手入れや掃除でやるべきことを確認していきましょう。
【空き家のお手入れや掃除の準備】道具や服装を整える
まずは、空き家に向かう前に掃除の準備をしましょう。
服装
空き家がかなり汚れている場合があります。以下のような服装がオススメです。
・汚れても気にならない
・動きやすい
・長袖や長ズボン(ホコリや害虫から身をカバーする)
持ち物
掃除用具以外にも、持っていると便利なものがいくつかありますよ。
必須アイテム
・ゴミ袋
・軍手やゴム手袋
・スリッパなど室内履き(土足の場合は不要)
掃除用具
・ほうき・ちり取り
・掃除機(電気が止まっている場合はバッテリータイプが必要)
・ハンディワイパーやはたき
・ぞうきん(モップ)
・スポンジ
・各種洗剤
空き家のトラブルのチェックに便利なもの
・懐中電灯
・カメラまたはスマートフォン (トラブルが気になる箇所を撮影し、進行の状態確認する)
・チェックシートとペン(どこにトラブルがあったか確認する用。スマートフォンのメモ機能でもOK)
【空き家のお手入れや掃除方法1】庭のお手入れ
庭のお手入れが行き届いていないと、空き家だと判断され、不審者に侵入されるリスクが上がります。以下の点を確認しておきましょう。
・庭にゴミが落ちていないか確認し、ホウキやちり取りでゴミや落ち葉を集めて廃棄する
・雑草が生い茂っていたら、刈り取る
・庭木が伸びて道路や近隣にはみ出て迷惑をかけていないか確認、伸びた枝木は剪定する
【空き家のお手入れや掃除方法2】室内のお手入れ
長年放置した空き家に入る時は、裸足やソックスの状態では危険です。室内履きや軍手、マスクを装着して取り掛かりましょう。状態によっては土足で臨みます。
【空き家の室内お手入れ1】まずは換気する
家の空気を入れ替えることで、湿気対策になり、カビの繁殖を防ぎます。
家具が残っている場合には、扉を開いて、家具の中も空気を入れ替えます。腐敗した建具や家具は廃棄の手続きを取りましょう。虫などが入ってこないように、網戸を閉めてくださいね。
【空き家の室内お手入れ2】塵やホコリの掃除をする
通常の掃除と同様ですが、塵やホコリは上から落ちてくるので、上から下の順番に掃除していきます。
はたきやハンディワイパーで家具の上やエアコン周り、テーブルや机の上という順に拭き掃除していきます。最後に掃除機で室内の塵やホコリを吸い取りましょう。
【空き家のお手入れや掃除方法3】害虫・害獣対策をする
家に侵入するのは人間だけではありません。虫や獣も入ってくる場合があります。
防虫剤を散布したり、害獣が入らないよう網をかけるなどの対策をしましょう。網戸が壊れていれば修復します。
【空き家の管理で必要なこと1】近隣の方への挨拶
空き家に到着したら、近隣の方への配慮も必要です。
いつもは誰もいない空き家に、明かりがついていたら驚く方もいるかもしれません。お手入れや掃除に来ている事を伝えに行きましょう。
ご挨拶の際に、
・最近の周辺の治安状態はどうか
・空き家に関して迷惑を感じていないか(庭木の枝が隣の家に入っているなど)
・緊急時の連絡先を伝えておく
なども合わせて話しておけると安心です。
また、不審者が留守中に出入りしていたことが挨拶時に発覚するケースもあります。
【空き家の管理で必要なこと2】家の設備を点検する
お手入れや掃除と合わせて、空き家を点検します。以下のチェックリストに従って見ていきましょう。
鍵の施錠
開ける前、門やドアの鍵はかかっていましたか? 鍵をかけたはずなのに空いている場合には、侵入者がいたかもしれません。注意しましょう。
ポストの中
ダイレクトメールやチラシが溜まっていませんか? 郵便物が溜まっていると、人が住んでいないのが明確です。防犯のためにも、郵便物は定期的に処分しましょう。
電気メーター・ガスメーター・水道メーター
空き家の、電気・ガス・水道はどうしていますか? メーターを止めている方もいるのではないでしょうか。使用していないのに、栓が開いていたり使用料が増えていたら注意が必要です。故障や不審者侵入の可能性があります。各種メーターを確認しましょう。
掃除用に一時的に使用した場合は、帰宅前に必ず元の状態に戻します。
外壁と塀
空き家の外壁や塀に塗装の剥がれ、ひび割れや欠けている部分などはありませんか? そのままにしておくと劣化が進むリスクがあります。
見た目は問題なくても、触ってみると崩れやすくなっている場合もあります。実際に見て触ってみるのもいいかもしれません。
天井や壁、床を確認
屋外同様に、室内もトラブルが無いか確認しましょう。家具の劣化状況も確認します。
・ひび割れしていないか
・雨漏りはしていないか
・畳や床は腐敗していないか
・歪みやひずみはないか
水道周り
長期間水道を使用していないと、排水管の中の水が蒸発し、下水のニオイがあがってきてしまうことがあります。また、冬場には排水管が凍結し、破裂してしまうこともあります。
水道が使用可能な場合は、30秒程度水を流しておきましょう。
もし水道を止めている場合は、排水口に蓋をしておきます。
【空き家の管理で必要なこと3】戸締まりをする
最後に、戸締まりをしましょう。
・窓
・ドア
・門
・各種メーター
締め忘れはありませんか? 忘れ物にも注意してくださいね。
空き家掃除は自分で? 空き家管理の選択肢とそれぞれのメリット・デメリット
空き家が近ければ通いやすく自分で管理やお手入れ・掃除ができるかもしれません。しかし、空き家と住んでいる場所が離れていたり、仕事などで忙しかったら空き家の管理・お手入れは大変ですよね。そういう時は、人の手を借りるのも良いかもしれません。
自分たちで管理する場合や親戚・知人と協力して管理する場合、業者に依頼する場合などの、メリット・デメリットをご紹介します。
1. 自分や家族で行う
自分たちで空き家管理をするメリット
・費用を抑えられる
・他人に家の中を見られることがない(プライバシーの確保)
自分たちで空き家管理をするデメリット
・時間がかかる
・お手入れの手間がかかる
・空き家の近隣の方との付き合いも自分たちでする必要がある
2. 親戚や知人に協力してもらう
親戚などと協力して空き家管理をするメリット
・謝礼が必要だが、相手次第で費用を抑えられることも
・自分たちの時間を削られることが減る
・業者という他人に家の中を見られることがない(プライバシーの確保)
親戚や知人と協力して空き家管理をするデメリット
・親戚の協力をお願いしなければならない
・素人なので掃除の仕上がり、管理の仕方にバラつきが出る
3. 業者に委託する
業者に委託して空き家掃除をしてもらうメリット
・管理やお手入れを正しい方法で行ってもらえる
・お手入れにかける時間や労力の負担がない
・空き家を放置していたことによる、近隣とのトラブルを事前に回避できる
業者に委託して空き家管理をしてもらうデメリット
・費用がかかる
・他人に家の中を見られる
おわりに
空き家は管理状況によって、老朽化が進んでしまいます。定期的なお手入れや掃除をするのが大切です。
自分たちだけでは難しい場合は、親戚や業者に協力してもらい、空き家の管理をしていきましょう。
参考:>NPO法人 空家・空地管理センター「空き家を自分で管理する方法」
参考:>NPO法人 空家・空地管理センター「空き家の火災保険・地震保険」
参考:>国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」
参考:>総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」
出典:>国土交通省「シックハウス対策について知っておこう。」