【みりんと砂糖の使い分け】原料と甘みの違い
砂糖は、原料であるさとうきびから絞った糖液の不純物を取り除き、精製していきます。
みりんは、蒸したもち米を米麹や焼酎とあわせ、じっくりと熟成させます。熟成の過程で麹に含まれる酵素が働き、もち米のデンプンやタンパク質が分解されます。これにより、みりん特有の風味が作られます。
砂糖の成分はショ糖であるのに対し、みりんはブドウ糖やオリゴ糖など複数の甘み成分で構成されているため、甘みがまろやかになります。
このように原料や製造工程の違いから、砂糖とみりんは「甘みの質」が異なるんですよ。
【みりんと砂糖の使い分け】砂糖の特徴
かぼちゃの煮物など、甘さをしっかりつけたい時は砂糖を使いましょう。
みりんでは甘さが足りず、味がしまらない事があります。ただし、砂糖を入れすぎると素材の味が分かりづらくなってしまうので、注意してくださいね。
また砂糖には、肉を柔らかくする作用があります。
肉に熱を加えると固くなってしまいますが、砂糖をもみこんでおくと、砂糖がタンパク質と水分を結びつけ、肉がかたくなるのを防いでくれます。
すき焼きの際に、肉に砂糖をまぶして煮込んだり、お肉料理で砂糖を使う料理が多いのは、この特性を生かした知恵といえます。
【みりんと砂糖の使い分け】みりんの特徴
ブドウ糖やオリゴ糖など、多くの種類の糖で構成されているみりんは、甘みがまろやかで特有のうま味や香りがあります。甘みをつけるだけではく、料理の味に深みを出してくれます。
加熱することで甘味成分が膜をつくって照り・ツヤを出したり、みりんに含まれるアルコールが食材に素早く浸み込み、他の旨み成分もしみ込みやすくなります。
また、みりんは熱が加わるとアルコールが蒸発し、その際に出る魚や肉の臭みを消す働きもあります。
【みりんと砂糖の使い分け】料理の使い分けと注意点
【砂糖】
- 甘みをしっかりつけたい、カボチャやイモの煮物
- お肉をやわらかく煮込む料理
○注意点
砂糖を使いすぎると素材の風味がわかりづらくなってしまうこともあるので注意しましょう。
調味料の「さしすせそ」の順番通り、砂糖は先に入れないと味が染みづらく、柔らかくなりませんので、先に入れましょう。
【みりん】
- 煮崩れしやすい料理・煮魚
- テリを出したい料理
みりんは主として、全体をまろやかに仕上げる時や、照りをつけたいときに使うとよいでしょう。
○注意点
「本みりん」と「みりん風調味料」は異なります。
アルコールの効果による味の浸透や素材の臭い消し、煮崩れを防ぎたい料理には「本みりん」を使うのがオススメです。また、最初に入れることでアルコールの効果を活かせます。
照りをつけるためには、最後にもう一度いれることで綺麗に仕上がりやすくなります。
「みりん風調味料」は、照りや風味を出すために最後に入れるのがポイントです。
砂糖をみりんで代用するには、どのくらいの量が必要?
砂糖の代わりにみりんを代用
砂糖を使わずにみりんで味付けをしたい時は、どうすればよいのでしょうか?
同等の甘みにするには、砂糖「大さじ1」を使う場合、みりん「大さじ1.5」が必要となるそうです。
みりんの代わりに砂糖を代用
みりんの代わりに砂糖を使う場合は、日本酒も加え、みりん「大さじ1」の場合、日本酒「大さじ1」+砂糖「小さじ1」で代用する方が多いようです。
ただし、本みりん特有の調理効果は「日本酒+砂糖」では得られないそう。また、料理酒を使う場合は塩分が含まれているので注意しましょう。
おわりに
甘みをつける用途で使われる「砂糖」と「みりん」。それぞれの特徴を知って上手に使い分ければ、いつもの料理がひと味変わりそうですね。それぞれの良さを活かして調理に役立ててください。
参考:農林水産省「砂糖・でん粉の制度及び最近の情勢について」平成26年7月
参考:全国味醂協会「本みりんの知識」
参考:宝酒造「Q&A」