「糸こんにゃく」と「しらたき」の違いとは?
その名前と見た目から、色が白いものが「しらたき」、黒いものが「糸こんにゃく」というイメージがあるかもしれません。
どちらも原料はこんにゃく芋。こんにゃく芋を薄く切って乾燥させ、粉にした「製粉(せいこ)」に石灰水を加え、シャワーのような穴を通して糸状にして作ります。つまり、原料も作り方も基本的には同じです。
では、なぜ色や呼び方に違いがあるのでしょうか?
糸こんにゃくとしらたきの違いは「色」?
糸こんにゃくとしらたきの違いは、「色の違い」というイメージがあります。しかし、お店では白い糸こんにゃくや黒いしらたきも売られていて、色の違いが「糸こんにゃく」と「しらたき」を決定づけるものではないようです。
こんにゃく芋をすりつぶして作る場合、こんにゃく芋の皮が入るため黒っぽくなります。
一方で、製粉(せいこ)を使って作ると白いこんにゃくになります。
現在は製粉から作る製法が一般的になっています。黒いこんにゃくは、海藻の粉末などを混ぜてあえて黒っぽい色をつけているケースが多いんだそう。
糸こんにゃくとしらたき、昔は製法が違った?
糸こんにゃくとしらたきは、現在は同じ製法で作られていますが、昔は異なる製法で作られていました。
「しらたき」は、こんにゃくが固まる前の糊状のものを、小さな穴の開いた筒状のものから、ところてんのように押し出して、茹でて作られていました。
白い糸状のこんにゃくが出てくるところが「滝」のようであったことから、「しらたき」と呼ばれるようになったそうです。
一方で、板こんにゃくを細長く切って「糸状」にしたものが「糸こんにゃく」と呼ばれていました。
江戸時代頃、関東では主に「しらたき」が食べられ、関西では主に「糸こんにゃく」が食べられていました。その名残で、今でも、細長いこんにゃくを、関東ではしらたき、関西では糸こんにゃくと呼ぶことが多いそう。つまり、地域による呼び名の違いということになります。
【豆知識1】糸こんにゃく・しらたきの保存方法
こんにゃくは袋を開けていない場合、常温で60日間ほど保存できるそうです。
直射日光、高温多湿を避けてなるべく涼しい場所に保存しましょう。メーカーや製品によって保存期間や適切な保存方法は異なるので、購入時に表示を確認してください。
こんにゃくは凍ると食感が変わってしまいます。冷蔵庫で保存する場合にも、冷気が直接当たる場所に入れるのを避け、凍らないように気をつけましょう。
一度に使い切れない場合は、保存袋に入っていた封入水とともに容器に入れ、表面が乾かないように保存して、2〜3日中には使い切るようにしましょう。
封入水を捨ててしまった場合には、容器に水を入れて同様に保存します。
【豆知識2】こんにゃくにも旬がある?!
実は、こんにゃくにも「旬」があります。
こんにゃく芋の収穫期は11月から1月で、この時期にとれた新芋で作られたものが旬のこんにゃくとされ、いちばん美味しい時期だそうです。
こんにゃく芋はデリケートな作物で、成長するまでに2~3年かかると言われています。
3年間植えっぱなしではなく、植えて掘り起こしたものを保存庫で保存し、また植え直すことを繰り返し、手間ひまかけて栽培されます。
【豆知識3】こんにゃくの歴史
身近な食材のこんにゃくですが、こんにゃく芋は、ミャンマー、マレーシア、タイなど東南アジアが原産で、縄文時代に日本に伝わったと考えられています。
初めは、医薬品などとして貴族や僧侶の間で食べられていましたが、鎌倉時代になると一般の人にも常食されるようになったと言われています。
江戸時代になると、こんにゃく芋を乾燥させて粉にする方法が考案され、今日のこんにゃく産業の基礎が固まり、さらに大衆化が進みました。
大正時代には海藻の粉を混ぜてこんにゃくを作る方法が考案され、現在のこんにゃくの形ができたと言われています。
【豆知識4】日本人の1年間のこんにゃく消費量は?
そんな「こんにゃく」、普段どれくらい食べていますか?
現在日本人1人あたりの年間消費量は糸こんにゃく(しらたき)、板こんにゃく合わせて約9個とされています。1日換算にすると6gです。
こんにゃく製品の一世帯あたり年間購入金額は、昭和60年に4,161円でしたが、近年は、2,000円程度となっているようです。
おわりに
今回は「糸こんにゃく」と「しらたき」の違いと豆知識についてご紹介しました。
食生活の変化によって消費量が減っているこんにゃくですが、昔から「身体の砂おろし」と言われ身体によいとされています。
ぜひこの機会に、こんにゃくを使った料理を作って食べてみてくださいね。
参考:一般財団法人日本こんにゃく協会「こんにゃくができるまで」ほか
参考:大阪府こんにゃく協同組合
参考:農林水産省「こんにゃくいもの動向 」(作物統計等より)