【和食のテーブルマナー】会席料理と懐石料理の違いとは?
会席料理は武士が客をもてなした「本膳料理」が基本となっており、人が集まる席でお酒を飲みながらいただくものでした。宴席で出されるコース形式の日本料理の総称となっています。
一般的には、一汁三菜(吸い物、刺身、焼き物、煮物)に、お通し、揚げ物、蒸し物、あえ物、酢の物などの肴が加えられ、最後にご飯、味噌汁、香の物、水菓子といったコースが基本です。
一方、懐石料理はお茶席の料理のことで、茶を飲む前に客人をもてなす料理を指します。もともと懐石とは、禅僧が空腹と寒さを一時的にしのぐ為、懐にいれた温めた石をさすそうです。懐石料理は、お茶の前に空腹をしのぐ軽食が基本となっていて、ご飯と汁が食事の最初に提供されます。
一般的には、折敷膳(向付、ご飯、吸い物)・煮物・焼き物・強肴(しいざかな)・吸い物・八寸・湯桶(お湯とおこげなど)・香の物・菓子という流れで料理が提供され、本来の目的である抹茶へと進みます。
【和食のテーブルマナー】箸のとりかたと前菜
料理が出てきたらお箸をとります。両端が細い「利休箸」の場合、真ん中に巻き紙の「箸留め」がありますが、これは破ってはいけません。片方ずつ箸を引いて取りましょう。
前菜は、器が小さければ器を手に持っていただきます。この時、お箸を持ったまま"両手で"器を持つのはNGです。まずは器を両手で取り、左手に器を持たせてから、右手で箸をとり、左手の小指などに箸先をはさんで右手をスライドさせながら正しく箸を持ちましょう。
【和食のテーブルマナー】お刺身などの生物
お刺身などの生物には醤油皿が添えられています。わさびは醤油に溶かすのではなく、少量を刺身にのせてから醤油をつけていただきます。こうすることで、わさび本来の味と香りを楽しむことができます。
醤油皿は手に持っていただいても構いません。醤油が垂れるのが気になる場合は、醤油皿を手に持っていただきましょう。
【和食のテーブルマナー】焼き物~箸で裏返すのはNG~
焼き物は魚が一般的で、切り身と尾頭付きの場合があります。
切り身は一口大にとりわけて食べます。
尾頭つきの場合はひれをはずして、頭のほうから取り分けます。反対側を食べる際、魚を箸で裏返すのはNGです。骨をはずして下の身をいただきます。食べにくい魚は指を使ってもよいそうです。その場合、汚れた手はおしぼりで拭き取りましょう。
【和食のテーブルマナー】煮物
蓋があるお椀の場合、蓋を開けたら内側を上にして置きます。蓋の外側を上にして置いたり、お椀に立てかけることは避けましょう。器から直接だと食べにくく、器も持ちにくい場合には、蓋を取り皿代わりにしてもよいそうです。
食べ終えたら、蓋を元通りに戻します。蓋をしたら食べ終えた合図になります。
具に箸を突き刺して食べることは、「刺し箸」と呼ばれNGです。すべりやすい具は箸で刺してしまうこともありますが、マナー違反となるので避けましょう。
また、器の上に箸を置く「渡し箸」はNGです。箸置き(ない場合には折敷の縁)にきちんと置きましょう。
【和食のテーブルマナー】ご飯・留め椀・香の物など
左にご飯、右に汁物、奥中央に香の物が出ます。
ちなみに、懐石料理でお代わりをする時は一口ほど残して茶碗を渡し、箸を置いて待ちましょう。ご飯がよそわれて茶碗が返ってきたら、両手で受け取った後に一度膳を置き、改めて持ち直してから食べます。受け取った茶碗を、そのまま口に運ぶのは「受け食い」「受け取り」といわれ、お行儀が悪いとされています。
おわりに
心置きなく料理を楽しむためにも、最低限のテーブルマナーは身に付けたいですね。マナーは一緒に食事をする相手に不快感を与えないためのもの。正しいマナーを知って、食事の席をより楽しめると良いですね。
参考:NPO法人 日本サービスマナー協会「日本料理の美しい頂き方」