【からしとマスタードの違い1】製造方法
からしもマスタードも、黄色い花を咲かせる、アブラナ科の「からし菜の種子」が原料として使われています。
「からし」と「マスタード」は製造方法が異なります。
からし
「和からし」とも呼ばれます。アブラナ科「からし菜」の種子をすり潰した「粉からし」を水で溶いて練ったものをからし(練からし)と言います。
水で溶く際、40℃くらいのぬるま湯で溶くと、辛味成分がよく出るそうです。
マスタード
「洋からし」とも呼ばれます。からしと同じアブラナ科「からし菜」の種子に、酢や砂糖、ワインなどを加えて造られます。種をすり潰して練ったものや、すり潰さず粒状のまま作られるものなど、さまざまな種類があります。
【からしとマスタードの違い2】原材料
からしとマスタードの2つめの違いは、使われている種(マスタードシード)にあります。
それぞれの原料の違いをご紹介します。
からし
からしの原料は主に「オリエンタルマスタード」の種です。オリエンタルマスタードは、つーんと鼻に抜けるような強い辛みがあります。
マスタード
マスタードは「イエローマスタード」などの粒から作られ、マスタードの種類によって原料が異なります。オリエンタルマスタードと比べて穏やかな辛みで刺激が少ないのが特徴です。
【からしとマスタードの種類と使い分け】からし編
からしとマスタードにはさまざまな種類があります。それぞれの種類と特徴について、まずはからしからご紹介します。
からしは和食との相性が良く、おでんや和え物、薬味として幅広く使われています。
粉からし
オリエンタルマスタードの種をすり潰して粉状にしたもの。
練りからし
粉からしを水(ぬるま湯)で溶いて練ったもの。
【からしとマスタードの種類と使い分け】マスタード編
ディジョンマスタード
フランス、ブルゴーニュ地方の「ディジョン」で多く作られ、マスタード種の外皮を取り除いてすり潰し、ワインやビネガーで練って作られます。明るい黄色となめらかさが特徴で、サンドイッチなどによく合います。舌触りはより軽くなめらかに仕上げられています。
イギリスマスタード
粉マスタードに小麦粉、ウコンを加えて作られます。鮮やかな黄色はウコンによるものです。
なめらかで辛みがあり、ソーセージやローストビーフなどによく合います。伝統的に、脂の多い魚などに使われる「マスタード・ソース」の原料としても使われています。
アメリカマスタード
ターメリックで黄色く着色されています。
辛さが控えめなマイルドなマスタードで、ホットドッグやハンバーガーによく合います。
お肉料理やサラダのドレッシングなど、さまざまな使い方ができます。
粒マスタード
ブラウンマスタードを使用し、種子を細かく粉砕せず粒が残っているので、粒粒の触感が味わえるのが特徴です。マイルドなマスタードです。
からしとマスタードの歴史
からしとマスタードは、人がまだ狩りや木の実拾いをしていた紀元前から使われていたと考えられています。当時は肉に種(マスタードシード)を直接かけて食べたり、医薬品として使われていたそうです。
日本では、奈良時代から香辛料として貴族たちの間で使われるようになりました。当時は薬味として、カラシ菜の葉の部分だけが使用されていたそうです。
その後、病気の治癒や戦乱の平治を祈願する際に使われるなど、食用以外にも使われてきたと言われています。
おわりに
今回は「からし」と「マスタード」の違いについてご紹介しました。
違いや特徴を知っておくと、料理に生かせそうですね。からしとマスタードを上手に使い分け、お料理の幅が広がると良いですね。
参考:ハウス食品株式会社「よくあるご質問」
参考:キューピー「マスタードの豆知識」
参考:maille「マイユ豆知識 マスタードとは」