水道水がおいしくないと感じるのはなぜ?
日本の水道水は安全で衛生的だと言われる一方、「そのまま飲むとおいしくない」という声も少なくないようです。日本初のアクアソムリエで、アクアソムリエ認定スクール「アクアデミア」の校長を務める山中亜希さんに水道水をおいしく飲む方法についてお話を伺いました。
ーーーどうして、水道水はおいしくないと感じる人が多いのでしょうか。
(山中さん)「水道水がおいしくないと感じる理由の8〜9割は、ニオイが原因と言われています。代表的なニオイは、塩素によるカルキ臭です。日本では、消毒のため塩素を0.01%以上混ぜるように定められています。他には、カビ臭や水道管の影響で金属臭がすることも。また、水道水の温度によってもおいしさの感じ方が変わります。温度が冷たい方が水道水はおいしく感じられるため、気温が高い夏場はおいしくないと感じやすくなります」
水道水をおいしく飲む方法5つ
水道水をおいしく飲むために、ご家庭で工夫できる方法はあるのでしょうか? 山中さんに伺ったところ、以下の方法を教えていただきました。
1. 汲み置きをする
2. 沸騰させる
3. 木炭・竹炭を入れる
4. レモンを入れる
5. 浄水器を使用する
ちょっとしたひと手間で、水道水をおいしく飲めたら嬉しいですよね。以下に詳しくご紹介します。
【水道水をおいしくする方法1】汲み置きをする
山中さんによると、塩素は汲み置きで抜けていくそう。ピッチャーなどに水道水を入れて、直射日光を避けて1日ぐらい置いてから飲んでください。
【水道水をおいしくする方法2】沸騰させる
山中さんいわく、水道水を沸騰させても塩素は抜けるそうです。水道水を10分ほど沸騰させ、そのまま冷まします。沸騰時間が5分程だと、トリハロメタン(健康リスクがあると言われる物質)が増えてしまう可能性もあるので、沸騰時間は10分程度を目安にすると良いでしょう。
「沸騰させることで塩素は抜けますが、沸騰時間が長いと酸素や二酸化炭素も抜けてしまい、おいしくなくなってしまうので注意が必要です」(山中さん)
水蒸気とともに塩素が抜けるので、ヤカンで沸騰する際には、蓋を開けておくと塩素が抜けやすくなるそうですよ。ちなみにカルキ抜き機能のある電気ポットは、沸騰した後も継続して加熱を行い塩素を抜く仕様になっています。
「汲み置き」と「沸騰」時の注意点
塩素が抜けるということは、塩素の消毒効果も消えてしまうということ。つまり細菌等が繁殖しやすくなります。冷蔵庫などで保存し、早めに飲みきるようにしましょう。
【水道水をおいしくする方法3】木炭、竹炭を入れる
汲み置きとの合わせ技で、木炭や竹炭を水道水に入れる方法もあるそうです。
(山中さん)「炭には塩素やゴミを吸着する効果があります。さらに木炭には、木炭に含まれるミネラルが水道水に溶け込むので、味がまろやかに感じられることがあります。炭は水道水1リットルに対して、100グラムを目安に入れてください。炭に吸着したゴミが水道水に溶け出すことがあるので、定期的に新しいものに変えると安心です」
【水道水をおいしくする方法4】レモンを入れる
汲み置きや沸騰は、少し時間がかかるのが難点。
すぐにおいしい水を飲みたい時に有効なのが、レモン汁を入れる方法です。
(山中さん)「ビタミンCを多く含むレモン汁を入れることによって、還元反応で塩素が中和されます。レモン以外にも、例えば他の柑橘系の果物や緑茶など、ビタミンCが含まれているものであれば、同様の効果が得られます。ただし、他の方法と同様に塩素による消毒作用がなくなるので、1〜2日で飲み切るようにしてくださいね」
この方法の場合、水にほんのりレモンの風味がうつってしまいます。ミルクの調乳やお料理など、味や風味に影響が出るものには使わないほうが良いかもしれません。
【水道水をおいしくする方法5】浄水器を使用する
初期費用がかかりますが、浄水器を使用するのも水道水をおいしく飲む方法です。設置が必要なものもありますが、手軽なポット型の物など、様々なタイプの浄水器があります。手間なく、おいしい水を飲めるのは便利ですね。
(山中さん)「多くの浄水器は、フィルターを通して不純物を濾過(ろか)しています。ただし浄水器を通した水も、塩素が除去されるため取扱いには注意が必要です。浄水器を通した水は、早めに飲みきる、冷蔵庫で保管するなど注意してくださいね」
おわりに
水道水をおいしく飲む方法をご紹介しました。簡単にご家庭で実践できる方法なので、ぜひ試してみてください。ただし衛生面にはご注意くださいね。