そもそも新米とは?
毎年秋頃からスーパーなどの店頭で目にする機会が増える新米ですが、そもそも新米とは、どういったお米のことを指すのでしょうか? また、新米とそれ以外のお米で保存方法や炊き方に何か違いはあるのでしょうか? 意外と知らない新米に関する疑問や炊き方のポイントなどについて、お米の仕入れから販売まで携わる、全農パールライス株式会社のお米アドバイザーさんにお話を伺いました。
意外と知らない新米の定義とは?
―― 秋頃に出てくる新しいお米のことを「新米」と何となく呼んでいるような気がするのですが、「新米」の定義はありますか?
「収穫された年の12月31日までに精米・袋詰めされたもの」が、新米の定義とされています。新米が出回る時期は産地や品種によってばらつきがあり、宮崎産や鹿児島産などの早いものだと8月頃から出荷が始まります。おおよそ11月頭にほとんどの産地や品種の新米が出揃うので、多種多様な新米を楽しむことができます。
―― 新米とそれ以外のお米では、味に違いはあるのでしょうか?
今は、産地での保管状況が昔と比べて改善してきているため、新米とそれ以外で食味の差は小さいといわれていますが、炊飯した際のみずみずしさや艶やかさは、新米ならではの特徴といえます。
新米の保存方法で気をつけておきたいこと
―― 新米の保存方法について、何か気をつけた方がいいことはありますか?
新米に限らず、精米を購入した後は、なるべく早く密閉できる容器に入れて冷蔵庫で保管しましょう。お米はにおいを吸着しやすく、一度吸着したにおいは取り除くことができないため、必ず密閉容器に入れてください。通常はお米の袋には、通気のための穴が開いているので、未開封の状態であっても、密閉容器に入れることをおすすめします。袋のまま密閉容器に入れていただいてもかまいません。
冷蔵庫で保管する理由は、お米を温度や湿度の高いところに保管しておくと、鮮度が低下するためです。また、冷蔵庫で保管することで、お米を食害する虫の発生も予防できます。密閉容器は、空になったら必ず洗い、よく乾かしてからお米を移しましょう。水分が残っていると、変色の原因となります。
―― 保存期間の目安はありますか?
お米には賞味期限の表示はありませんが、おいしく食べられる目安としては、精米日から1∼2ヶ月をおすすめしています。今は、産地での保管状況も昔に比べて改善してきているので、新米だからといってまとめて購入して自宅で保存しておくより、必要な分だけこまめに購入する方が結果的にいつでもおいしいお米を味わうことができます。新米の時期には、たくさんの種類が出回っているので、2kgくらいの食べきりサイズで、さまざまなお米を購入して、食べ比べてみるのはいかがでしょうか?
新米をおいしく炊く秘訣とは?
―― よく「新米を炊く際には水の量を少なくした方がよい」と聞きますが本当でしょうか? また、新米をおいしく炊くために注意したいポイントはありますか?
保存方法同様、新米とそれ以外のお米とで水加減や洗い方に大きな差はありません。ですが、正しい洗い方を実践することで、よりおいしく新米を味わうことができます。順を追って、ポイントを見ていきましょう。
炊飯器によって、炊飯時間に浸漬時間や蒸らし時間が含まれている場合があります。炊飯器の取扱説明書をご確認ください。
【ポイント1】お米を量るときはすり切りで
お米を量る際には、目分量ではなく、180mlの計量カップを使い、すり切りにして正確な分量を量りましょう。お好みの硬さにお米を炊き上げるためには、分量を正しく量り、同じ条件にした上で、水分量を調整していくのがおすすめです。
【ポイント2】1回目は手早く混ぜて水を捨てる
お米を研ぐ際の最初の1回目は、水をたくさん入れて、軽く混ぜた後、10秒以内に水を捨てましょう。時間がかかってしまうと、ぬかくさくなってしまいます。手早く行うことがポイントです。
【ポイント3】2回目はお米同士をすり合わせるように
2回目は、斜めにすると少し水が見えるかどうかの状態まで水を入れ、指を軽く開いた状態で、円を描くように混ぜて洗います。シャカシャカと優しくかき混ぜることで、余分な肌ぬかが水に移ります。強く押すように研いでしまうと、お米が割れて、べちゃべちゃな炊き上がりになってしまうので注意が必要です。
【ポイント4】3回目以降はお米の手触りで判断
洗う回数は特に決まっていませんが、汚れやぬかが取れると、お米表面の手触りが変わります。水が入った状態で触ってみて、最初のお米の表面がぬるぬるとした触感から、きしきしするような触感に変わったら、余分な肌ぬかが取り除かれた合図です。あとは水が透明になるまですすぎます。
【ポイント5】水加減も正しい分量を量る
水についても正確に量ることが大切です。平らなところにおいて正しく計測しましょう。新米だからといって、水を減らす必要はありません。かなり鮮度が低下したお米は、水の量を増やす必要がありますが、それ以外のお米は分量通りで問題はありません。また、初めて食べる銘柄のお米は、分量通りの水加減で炊いてみて、その後、お好みで水分量を調整いただくのがおすすめです。
【ポイント6】浸漬することでふっくらした炊き上がりに
お米の中心まで水を浸透させるため、炊飯の前に1∼2時間、吸水時間を設けましょう。時間がなくても、30分程度は吸水時間を確保しておきたいところです。また、吸水の際には、冷たい水で時間をかけた方が、炊き上がったごはんの水分が多くなり、よりふっくらと炊き上がります。
【ポイント7】炊き上がり後は、優しくほぐす
炊き上がった後は、ほぐす作業です。炊飯器のへりにあるごはんをぐるりと剥がし、真ん中に十字で切り込みを入れて4つに分けます。その後、それぞれを天地返しし、米粒をつぶさないようにしゃもじを縦にして切るように混ぜましょう。この作業を行うことで、場所によって硬いところや柔らかいところがある炊きムラをなくしたり、余分な水分を飛ばしたりできます。
炊飯後の新米の最適な保存方法とは?
―― せっかくおいしく炊いた新米、ぜひおいしく保存したいものです。おすすめの保存方法はありますか?
炊飯後、炊飯器を保温にしたままごはんを置いておくと、黄色く変色してしまい、食味も落ちてしまいます。余ったお米は、1食分ずつラップに包み、粗熱を取った後に冷凍庫で保存しましょう。
ラップに包む際には、中の温度が均一になるように薄く平らにすることがポイントです。また、冷蔵庫での保存は避けましょう。冷蔵庫の温度は、お米の中のデンプンの老化(硬くなる)を促進させてしまうため、おすすめできません。冷凍庫で保存したお米は電子レンジで温めます。1週間以内に食べきるようにしましょう。
ガスコンロでも、おいしく新米を炊いてみよう!
新米は、炊飯器で炊いてもおいしいですが、ガスコンロを使って鍋で炊いてもおいしく炊き上げることができます。ガスコンロで炊く場合も、お米の洗い方や水加減は炊飯器で炊く場合と同じです。
鍋で炊く際に注意したいポイントは、蒸らし時間です。お米は98度以上の状態を20分間保つことで、デンプンが糊化し、おいしくなります。炊飯器であれば、蒸らし時間が含まれている場合もありますが、鍋で炊く場合は、火を止めた後の10~15分の蒸らし時間がとても重要な役割を果たします。火を止めてすぐに蓋を開けてしまわないよう注意しましょう。
最新のガスコンロなら、自動で簡単にご飯が炊けるって、ご存じでしたか?
ガスコンロの「自動炊飯」機能は、ボタン1つで火加減の調節から消火まで全て自動で「かまど炊きのようなご飯」を炊きあげます。※
1合から美味しく炊けて、しかも炊飯時間は3合で約20分程度! (蒸らし時間は除く)
「自動炊飯」機能では、水位目盛りが付いた水加減が簡単な自動炊飯専用鍋などもありますが、ご家庭にあるでフタ付きで深めの金属製のお鍋(アルミ、ステンレス、ホーロー製など)で簡単にご飯を炊くことができます。
土鍋など一部「自動炊飯」機能に対応していない鍋があります。詳しくはコンロの取扱説明書をご確認ください。
目盛りがついていない鍋の場合は、お米の容積の1.2倍の水で炊いてください。水分を多く含んだ新米の場合は1~1.1倍で炊いてくださいね。
その他にも「ガスコンロ」には自動でおまかせの便利な機能がいっぱい!
ガスコンロを使いこなせば、調理グッズをたくさん買いそろえるよりも、時短&上手に料理ができますよ!
(※各機能は搭載されていない機種もあります。各画像はイメージです。専用容器は別売の場合もございます。)
おわりに
新米について、全農パールライス株式会社のお米アドバイザーさんにお話を伺いました。毎年、秋頃から年明けにかけては産地や品種が異なる新米が出揃います。せっかくなら、炊き方にもこだわりつつ、いろいろなお米を食べ比べて、お好みの銘柄を見つけてみるのはいかがですか?