南風食堂風、カンタン薬膳料理
こんにちは。南風食堂です。
「お店はどこにあるんですか? 」とよく聞かれるのですが、実際にお店はありません。
全国各地いろいろなところで料理をつくっている屋号が「南風食堂」です。
3回に渡って、寒い季節に身体を温める、薬膳効果のある冬の煮込みをご紹介します。
食の仕事を長く続けているうちに、その季節の旬のおいしいものを食べること。その季節に身体が心地よく、健康でいられる料理はすごく近いのではないかと思い、その秘密を勉強するために中国の北京大学の日本校に通い、中医学薬膳を勉強しました(一応、なんとか試験に合格して、中医学薬膳師という国際資格も取得しました)。
薬膳というと少し難しく敷居が高いイメージがありますが、野菜にも果物にも、お肉やお魚にもそれぞれ味があるように、身体を温めたり冷やしたり、水気を排出したり熱を下げたり、いろいろと身体に作用する効果を持っています。その「身体への効果」を高める組み合わせを意識したのが薬膳料理。
本格的な中医薬膳では、なかなか手に入りにくい漢方薬に近い食材を使ったりもするのですが、ここでは身近なところで手に入る食材を使って、薬効の高い料理をご紹介します。
身体を温める薬膳といえば、これ!
第一回目は「サムゲタン」。
サムゲタンは、韓国のスープ料理。
鶏肉に高麗人参、鹿茸、ファンギ(牙なおぎ)などの漢方食材と、もち米、くるみ、松の実、ニンニクなどを入れて煮込んだスープは、白く優しく滋味深く、飲むだけで少しの風邪なら治ってしまいそうなくらい。もちろん栄養もたっぷりです。
なつめや、クコの実なども、最近は大きめのスーパーの中華食材コーナーでも手に入るようになってきました。本格的なサムゲタンは丸鶏や漢方食材が必要ですが、ここでは簡単にできるサムゲタンを紹介します。
最初にこのメニューをつくったのは、あまりに忙しすぎて疲れきっているけど、自分でごはんをつくるのはもちろん外に食べにいく時間の余裕もない・・・という友だちからHELP! の電話があったとき。
あったかくて、疲れた身体に染みこむようなスープをつくってあげたいなーと思って、思いついたのがサムゲタンだったのです。でも、本格的につくるには大変なので、手に入る食材でつくってみたところ、これがなかなかおいしくて! 煮込むだけでそれほど手間はかかっていないのに、友達にも本当に感謝されました。
それ以来、風邪をひいてしまったり、忙しすぎて疲れている友達に、このサムゲタンをつくって持って行ってあげてとても喜ばれています。
手羽を使った簡単「サムゲタン」のレシピ
■材料(4人前)
鶏手羽元・・・200g
鶏手羽先・・・200g
長ねぎ・・・1本
にんにく・・・2~3片
しょうが・・・1かけ
なつめ・・・6~8個
松の実・・・大さじ2
クコの実・・・大さじ2
甘栗…8個
もち米・・・1/2合
水・・・1400ml
塩・・・適宜
■作り方
1. 長ねぎは斜め切りにする。にんにくは包丁の腹の部分を当てて、手で押してつぶします。
しょうがは薄切りにしておきます。
2. 鍋に水を張り、鶏手羽元、鶏手羽先、なつめ、松の実、クコの実、甘栗、1を入れて、火にかける。沸騰したら弱火にして、1時間ほど煮込む。
とにかくじっくりコトコト煮こみます。
3. もち米を加えて、さらに30分程煮込む。
もち米は粘りが出て焦げやすくなるので、後から入れます。
4. 白いスープが完成! 鶏の滋味がたっぷり溶けこんでいます!!
器に盛りつけ、別皿に塩を添え、好みの塩加減にしていただきます。
ポカポカスープで寒さを乗り切ろう
全身の冷えや寒さを取り除き、冷えによる胃腸機能障害にも効果がある「ねぎ」「にんにく」「しょうが」の他に、身体を温める「鶏」「なつめ」「松の実」「クコの実」「甘栗」も入った身体ポカポカスープです。
塩味は、後から好みで濃くも薄くもできるので、自分の好みの味でいただけるのも良いですよね。 鶏の手羽からはよい出汁が出て、コラーゲンもたっぷり。乾燥しがちな冬のお肌にもオススメのメニューですよ。
冬は中医学的には塩味を必要とする季節。あまりに強すぎる塩味は身体に悪いものですが、寒い時期の身体は、少しの塩気を必要としています。
とくにミネラルが多く入った自然塩は、身体を温める効果もあります。また、冬は腎臓が弱りやすいので、冷たい水分や冷えた果物を控えるようにして、腎臓への負担を減らしてあげましょう。
写真:細川葉子