天然漆? 化学塗料? 質と値段は比例する!?【漆器の選び方】
漆器には、天然の漆(うるし)と化学塗料(ウレタンやカシュー)の2種類があります。『家庭用品品質表示法』により「漆器」と表示できるのは、表面の塗装に天然の漆を使ったもので、化学塗料を使ったものは合成漆器と呼ばれます。いずれにしても、本体の材質や下地は問いません。
漆器の製法の違いとは?
漆器本体の種類には、
●挽きもの(天然素材をくりぬいたもの)
●板もの(板状の木材を張り合わせたもの)
●木乾(木粉と合成樹脂を混合したもの)
●合成樹脂
などがあります。
●天然木の挽きものに天然の漆(木製本漆塗)
●木乾に天然の漆
●合成樹脂に化学塗料
という組み合わせが多いようですが、見分けはなかなかむずかしいもの。
その為『家庭用品品質表示法』により、材質の表示が義務づけられています。伝統的な技術を踏まえた漆器を求めたいときは、「伝統産業品マーク」の付いたものを求めるとよいでしょう。
漆器の質と値段の関係
漆器の値段はいろいろですが、天然木に天然の漆を塗ったもの(木製本漆塗)はやはり値段が高く、椀5客で数十万円するものもあります。木乾と天然の漆を使ったものは、数千円から数万円になります。漆器の質は値段に現れるので、選ぶときは参考にするとよいでしょう。
肌と同じで乾燥に要注意! 漆器の使い始めのお手入れとは?
新しい漆器は独特のにおいがしますが、これはラッカーゼという酵素のためです。使い込んだり外に出しておくうちに、ラッカーゼが湿気を吸って硬化してくると、においは消えていきます。
早くにおいを抜きたい場合は、食用酢を柔らかい布に浸み込ませて拭き、ぬるま湯で洗い流すほか、米や米ぬかの中に入れておく方法があります。米や米ぬかには漆のにおいを吸い取る力があり、また適当な油分で漆器の色つやを保護する役割を果たします。
食用油を薄く塗る!? 漆器の【使用後】のお手入れとは?
使用後のお手入れは、
1. 洗いおけにぬるま湯を入れて、やわらかい木綿のふきんやガーゼを使って洗います。油気のある時は、ごく薄い台所用中性洗剤液で洗い、よくすすぎます。
長時間湯や水の中につけておくと、木地が変化したりふやけて塗りがはがれやすくなります。使い終ったら、なるべく早く漆器類だけ先にまとめて洗いましょう(茶わん類と一緒に洗うと傷をつけるおそれがあります)。
2. 最後に80℃くらいの熱めのお湯に湯通しをします(水きれがよくなります)。高すぎる温度では漆器を傷めてしまうので、ご注意ください。
3. 洗い終わったらすぐに糊気のない柔らかい布(ガーゼなど)で水気をよく拭きとります。もう一度乾いたふきんで拭くか、直射日光の当らない風通しのよい場所でしばらく乾かします。乾かしすぎると、乾燥してひびが入るのでご注意ください。
漆器の艶がなくなった場合
柔らかい布で食用油をごく薄く塗りやさしく磨きます。磨く際は、埃を払い落として強い力をかけないようにします。卯の花、絹布、鹿の角の粉で磨くなどの方法もありますが、特殊なものを利用するより、使用後の手入れをきちんとしておくことがポイントです。
使用後のお手入れの注意点
・電子レンジや冷蔵庫、食器洗浄器の使用は避けましょう。
・指輪ははずします。
・熱湯は絶対に使わないでください。
おわりに
漆器は乾燥に注意する他、塗りがはげないように重ねないで収納します。
・よく拭き、柔らかい布か和紙に包んで桐箱に納めます。
(漆器に付いているウコン染めの黄色い布は、防虫効果があります。)
・適度な温度と湿度が保たれる場所に保存します。
・直射日光や乾燥した場所、湿気のある場所、温風冷風のあたる場所におくと、カビやひび割れを起こすので注意します。漆器は特に乾燥に注意しましょう。
出典 : 東京ガス「食」情報センター企画「料理道具100%活用百科」