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プロに聞く! 転勤の多い家庭で妻におすすめの仕事や資格、キャリアの築き方

転勤族の夫と結婚した女性は昨今、転勤妻と呼ばれています。女性の場合、夫の転勤の度に退職せざるを得ないことが多く、一度退職してしまうと、キャリア復帰がそう簡単ではない場合も。転勤妻が仕事を続けるにはどんな工夫が必要なのでしょうか。自身もかつて転勤妻だったという、キャリアコンサルタントの鈴木祐美子さんにおすすめの仕事や資格、キャリアの形成方法について伺いました。

最終更新日:2023.12.27

目 次

プロに聞く転勤妻の仕事・キャリアとは

働くママと子ども

PIXTA

転勤が多い夫の妻のことを転勤妻(略称:転妻、てんつま)と呼ぶそうです。夫の転勤に伴い、各地を転々とする生活は、引っ越しや手続きに伴う負担だけでなく、新しい土地になじむ苦労など、さまざまな困難が生じます。それまで仕事をしていた場合でも、転職しにくかったり、先を見据えたキャリアをどう築いていくのか迷うこともあるかもしれません。

「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」の実現を目的に女性活躍推進法が改正され、女性が活躍できる働き方について、改めて見直す流れが強まっていますが、出産・育児との両立等、転勤妻が働く環境を巡っては課題も多いのが現状です。

自身も専業主婦歴7年を経て再就職し、キャリアコンサルタントとして女性のキャリア形成を支援し続けてきた鈴木祐美子さん(以下:鈴木さん)に、転勤妻におすすめの仕事や資格、キャリアの形成方法について伺いました。

転勤妻が仕事を続けるのは難しい? その理由とは?

家族で過ごす様子

PIXTA

転勤が多い職場や職種で働いている夫と結婚すると、転勤の度に妻は仕事を辞めてついていくか、夫に単身赴任してもらうかの選択を迫られることになります。鈴木さんによると、それまではバリバリ働いていても、夫の転勤をきっかけに退職する妻が多いようです。彼女たちはどんなキャリアの悩みを抱えているのか、鈴木さんに伺いました。

一度退職した後に正社員として雇用されるのが難しい

社員面談のイメージ

PIXTA

「一度会社を辞めた場合、改めて正社員として雇用されるのは難しいという実情があります。何年も仕事の最前線から離れていた専業主婦を採用するのを、リスクと見る企業もあります」(鈴木さん)

一方で、専業主婦側も正社員にはもう戻れないと思い込んでいるケースもあるようです。夏休みや年末年始にほんの1週間休んだだけでも、仕事のペースを取り戻すのに時間がかかるもの。ましてや数年のブランクを経て、再度正社員として働くのは簡単ではありません。鈴木さん自身も7年間のブランクがあったため、すぐに正社員として働く勇気はなかったと言います。

転勤のタイミングが分からないため踏み切れない

転勤のタイミングは早くて1年ごと、長くて5年ごとなど、職場によってかなり差があります。また、転勤の辞令が出るかは直前にならないと分からない場合が多いため、曖昧な状況では長期勤務を前提とする職種や正社員に応募しにくくなるでしょう。

キャリアの展望が描きにくい

キャリアアップのイメージ

PIXTA

「女性の場合、産休や育休を見据えた仕事を任されたり、人員配置が行われたりすることが多くあります。さらに夫の転勤についていく可能性が高い場合、キャリアアップが望める職務を与えてもらえない場合もあります」と鈴木さん。

そのため、運良くリモートワークの制度などを利用して仕事を続けられる場合でも、転勤妻がキャリアを築くには難しい側面があるそうです。正社員として働けたとしてもモチベーションを保ちにくいかもしれません。

子どもの預け先が見つからない

幼稚園

PIXTA

また、子どもがいるかいないかによっても状況は異なります。保育園や幼稚園の入園は申請の時期が決まっていて、それ以外の時期は空きが出ないと預けられません。特に待機児童の多い地域では空きが出ることが少なく、保育園に子どもを預けること自体が難しい状況です。鈴木さんご自身も社会復帰の際には、預け先を探すのに苦労したそうです。また、求職中や無職の人より、すでに働いている人や勤務先が決まっている人を優先するシステムの自治体が多いため、申請しても落選しやすいという実情もあります。

このように、子どもを預けることに時間や労力がかかってしまうため、自分のキャリアを後回しにしがちな妻は少なくないのだと鈴木さんは言います。

家事・育児をしながらの長時間労働が難しい

子育てをしながら履歴書を書く女性

PIXTA

家事や育児を考えると、労働時間が長く、責任が伴う正社員として働くのが難しいケースもあるでしょう。実際に働くとなると、専業主婦の頃よりも家事や育児にかけられる時間が減少します。就職前に、夫と役割分担を相談する必要も出てきます。

元専業主婦からキャリアコンサルタントとして活躍するまで7年

鈴木祐美子さん

yumiko suzuki

現在、キャリアコンサルタントとして1,400人の相談実績を持つ鈴木さん。華々しい経歴の過去には、転勤妻として悩んだ経験があるそうです。専業主婦からキャリアコンサルタントになるまでの経緯について伺いました。

婚約が決まっていた夫の転勤がきっかけで名古屋から静岡へ

鈴木さんとお子さん

出典:yumiko suzuki

「夫とは、株式会社リクルートの名古屋支社で出会いました。お互い総合職でしたので転勤は覚悟していましたが、婚約して間もなく、夫が静岡へ転勤することが決まったんです。私も同じ職場で働きたい気持ちがあったものの、当時転勤先の支社は立ち上げたばかりで、社員が3人しかいませんでした。そこに夫婦2人がいるとなるとお互いに働きにくい。今後の結婚生活のことも考え、私は総合職を諦めて専業主婦になることを決めました」(鈴木さん)

地方で働くハードルの高さを知る

鈴木さんご家族

出典:yumiko suzuki

名古屋から静岡に引っ越したことで、「今まで感じなかった違和感を覚えた」と鈴木さんは語ります。

「静岡に住み始めてから、『やはりもう一度働きたい』と思い転職活動を行いましたが、首都圏に比べて雇用形態や業種の選択肢が少ない印象を受けました。総合職の求人はほとんどなく、ハローワークに行ったり求人に応募したりしても、そもそも書類が通らず・・・。2005年当時の話ですが、なかなか厳しい状況でしたね」(鈴木さん)

「その後は一定期間、派遣社員として働きました。ですが、女性に任せられる仕事は何かと補助的な仕事が多いと感じましたね。17年以上前の話なので現在とはギャップがあるかもしれませんが、コアな業務をするのは男性社員で、女性は事務スタッフを務めるのがデフォルトという状況でした」と、鈴木さんは当時を振り返ります。

自分のキャリアを見つめ直し、キャリアカウンセラーとしてキャリア復帰

キャリアカウンセラーとして活躍する鈴木さん

出典:yumiko suzuki

「『もう正社員には戻れないのだ』と一度諦めて、7年間専業主婦に。ですがその間に、ニュースやSNSで情報収集をしました。今まで培ってきた自分のキャリアやスキルに加えて、どのような資格を取得すれば就職に役立つか、常日頃から棚卸ししていたのが救いでしたね」(鈴木さん)

その後、夫の東京転勤が決まり本格的にキャリア復帰することを決めたそう。育児をしながらキャリアコンサルタントの資格試験に挑戦し、無事合格。その後はオンラインでキャリアカウンセラーとして実績を積んだことを機に、さまざまな企業を受け、採用されるようになったと言います。

専業主婦だった7年間の間に自分の強みや必要な資格は何かを考え、段階的に準備したことで正社員としてキャリア復帰を叶えた鈴木さん。では、転勤妻が長期的なキャリアプランを築くためにはどうしたら良いか確認していきましょう。

転勤妻が長期的なキャリアプランを築く方法

リモート打ち合わせをするイメージ

PIXTA

「転勤妻が長期的なキャリアプランを築く方法として、“自分自身が持っているスキルやキャリアをどのようなスタイルで継続していくべきか”“子どもとの生活をキャリアとどのように両立させていくのか”2つの軸で考える必要があります」(鈴木さん)

そのために大切なのは、正社員という枠に囚われすぎないこと。まずは派遣やアルバイトというポジションで、今までの自分の経験を活かしつつ、段階的に正社員に復帰できる可能性の高い職業を選ぶことが大切だと鈴木さんは言います。

また、仕事と家事・育児のワークライフバランスも課題になってきます。

「家事代行など外部サポートを利用してキャリアを優先する方法もあります。仕事にコミットできる時間を増やすことでキャリアの築き方が変わってくると思います」(鈴木さん)

専業主婦の場合、家事や育児に多くの時間をかけられますが、職場復帰すれば時間のかけ方を考える必要が出てきますね。1日24時間という限られた時間の中で、育児・家事・仕事それぞれに何時間割けるのか。夫とどのように家事の分担をするのか。夫婦で話し合っておく必要があります。

段階的に働いてみる

働く女性のイメージ

PIXTA

正社員として働くと、毎月一定の収入が保証されるうえに年1〜2回はボーナスが支給されるケースが多く、福利厚生も充実しているといったメリットがあります。一方で、週5日・1日8時間の出勤を求められたり、場合によっては残業や休日出勤も生じる可能性があります。また、子どもが体調を崩した際に休みにくいこともあるかもしれません。加えて、専業主婦になって数年のブランクを経てからの正社員復帰は、選考も通りにくくハードルが高いと言えます。

「いきなりフルタイムで働けるのであれば良いですが、体力や仕事のキャッチアップに自信がないなど抵抗を感じるのであれば、まずはリハビリと称して週3稼働・1日4時間勤務の仕事を探してみるのがおすすめです。実際に働いてみると『この程度なら大丈夫そう』『週3だと家事がなかなかできないから、週1は出前を頼もう』など、ご自身が仕事と両立しやすい生活の現実ラインが見えてくるはずです」(鈴木さん)

まずは興味があることや自身のスキルを活かせる仕事を少しずつ始めるのも手です。「この状況であればもう少し長い時間働けそうだな」といった目安が分かり、調整しやすくなります。

CanとWillを明確にする

CanとWillのすみ分け

uchicoto

「未経験の職種に転職するにはそれなりの勇気が必要ですが、自分のCan(できる)とWill(将来したい)を確認してみると仕事の可能性が広がります。Canの延長線上にWillを探すと、段階的にキャリアが築けるはずです」と鈴木さんは言います。

Canとは、専業主婦前までに歩んでいたキャリア。そしてWillとは自分が興味がある物事や周りに褒められた経験のある得意分野、今後キャリアを築きたい方向性を指します。

ハンドメイドアクセサリーを扱うイメージ

PIXTA

「例えば、『これからアクセサリー制作の仕事をしてみたい』と思っても、未経験だとなかなか雇われにくいですよね。ですが、もし専業主婦になる前に経理事務をやっていたなら、アクセサリーを取り扱っているオンラインショップに経理で入社することができるかもしれません。このように、間接的にやりたいことに関わるのも一つの方法です。キャリアを積むうちに、挑戦したかったことに直接携われる部署に異動できる可能性も生まれます。もしくは、独学でアクセサリー制作のスキルを磨き、今まで培った経理の経験を活かしてネットショップで販売してみるという選択肢もありますよね」(鈴木さん)

挑戦したいことについて、経験がないからといって諦めるのではなく、自分のキャリアと重なる部分を活かして少しずつ行動に移してみるとハードルが下がると言えるでしょう。

リモートワークできる企業を選ぶ

リモートワークをする女性

PIXTA

リモートワークが導入されている企業で働くことができれば、引っ越ししても仕事を続けられますし、家事や育児の両立がしやすくなります。新型コロナウイルスの影響により、リモートワークを推進する企業も増えています。

ただ、多くの企業でリモートワークが普及したように思われがちですが、鈴木さんによると「リモートワークが進む企業とそうでない企業で二極化している状況」だそうです。都内に比べて地方、大企業に比べて中小企業はリモートワークが普及していない傾向にあるよう。都心に転勤になったタイミングでリモートワークできる企業を選ぶなど、意識して探す必要がありそうです。

転勤妻におすすめの仕事や職種

オフィスで仕事する女性

PIXTA

「中途採用は即戦力が求められるので、資格を取ったから職に就けるということはなく、基本的には経験のある職業の延長線上にあるキャリアを考えることが良いと思います」と鈴木さん。

ただ、結婚前のキャリアが浅く、最初からキャリア形成したい場合には、リモートワークしやすい仕事・職種を選ぶのも良い方法とのこと。鈴木さんに伺ったところ、以下の職種は比較的リモートワークが容易だそうです。

・エンジニア
・セールス(フィールド/インサイド/カスタマーサクセス)
・ライター
・デザイナー
・WEBマーケティング

転勤妻におすすめの資格

資格の勉強をする女性

PIXTA

「キャリア復帰にあたり、家事の合間に少しずつ資格の勉強をしてみるのもおすすめです」と鈴木さんは言います。

鈴木さんによると、主婦の再就職は中途採用に分類されるため、基本的には「即戦力」であることが求められます。「即戦力」として中途採用されるには経験や実績が重視されるので、資格を取ったから再就職できるという保障はありません。よって、これまでのキャリアを活かせる資格を選ぶのが最も良い方法だそう。

ただ、専業主婦歴が長くて最初からキャリアを築いていく場合には、どんな資格が良いのかすら分からないというケースも多いもの。そんな場合に適した資格をご紹介いただきました。

エッセンシャルワーカーの資格:介護・福祉、小売業、保育士など

介護士

PIXTA

「未経験でも就職できる可能性がある職業の代表的なものは、介護・福祉、小売業、保育士などのエッセンシャルワークです。これらに関しては、家事や育児の経験を活かせることや人材不足という状況もあり、他の職種に比べて就職できる可能性は高くなります。医療事務や介護福祉士は全国的に需要があり、資格を取ることで職に就ける可能性は高いと思います」(鈴木さん)

パソコンを使う仕事の資格:プログラミング、ウェブ解析士など

プログラミングをする女性

PIXTA

「コロナ禍でリモートワークが普及したため、エッシェンシャルワークの仕事だけではなく、パソコンを使う仕事を視野に入れると良いと思います。代表的なものとしては、エンジニア、セールス(フィールド/インサイド/カスタマーサクセス)、ライター、デザイナー、WEBマーケティングのお仕事などが該当しますが、もし少しでも就業経験があれば再び関連資格(ウェブ解析士など)を取って再チャレンジする価値はあると思います。今ではプログラミングを学び、専業主婦から再就職にチャレンジする方もいますよ」(鈴木さん)

おわりに

転勤妻が長期的なキャリアを築くためには、初めからフルタイムで業務を行おうと思わず、短時間のアルバイト勤務など、段階的にトライしてみるのがポイントです。資格の勉強なども並行して、長期的なキャリア形成に活かしていきましょう。

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  • この記事取材先プロフィール

    鈴木祐美子

    株式会社WARC AGENT事業部リサーチャー、国家資格キャリアコンサルタント、CDA、産業カウンセラー

    鈴木祐美子

    同志社大学卒業後、株式会社セブン-イレブン・ジャパン、株式会社リクルート、専業主婦7年をはさみ、採用支援会社、エグゼクティブサーチ会社等を経て現職。ビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」において女性のキャリア構築や雇用問題について発信を続け、「リンクトインスポットライト2019日本版」「リンクトイン ・クリエイター・オブ・ザ・イヤー2020 最も人を惹きつけるクリエイター10人」を受賞。

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公開日:2022.9.21

最終更新日:2023.12.27

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