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防犯ガラスは有効?! 種類や特徴、窓の防犯対策を解説

「オートロックだから」「玄関の鍵が二重だから」と安心していませんか? 実は空き巣の約5割は窓から侵入するといわれています。一方、空き巣の約9割は10分以内に侵入できないと諦めるともいわれており、窓の防犯対策を強化するだけでも、侵入のリスクを下げることにつながります。AGC株式会社・建築ガラスアジアカンパニーの古賀潔さんに、防犯ガラスの選び方について伺いました。窓の防犯対策についてもご紹介します。

最終更新日:2024.8.29

目 次

空き巣の現状を知って防犯対策をしよう

侵入しようとしている強盗

PIXTA

玄関の鍵を二重にしたり、家の外にセンサーライトを付けたりすることで、ご自宅の防犯対策は大丈夫と思われている方は多いのではないでしょうか? 実は、空き巣の約5割は窓から侵入します。玄関のセキュリティーを高めることも大事ですが、空き巣を防ぐためには、窓の防犯対策こそ重要です。

そこで、AGC株式会社・建築ガラスアジアカンパニーの古賀潔さんにお話を伺い、防犯性の高い窓ガラスの選び方と窓周辺の防犯対策についてご紹介します。

※窓からの侵入窃盗の侵入口は、一戸建住宅で53.5%、3階建以下の共同住宅で49.5%、4階建以上の共同住宅で30.1%

参考:警察庁 住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」

普段の生活にも潜むリスク「侵入窃盗」

侵入窃盗のイメージ

PIXTA

窓の防犯対策を強化するためにも、まずは頻度の多い侵入窃盗の手口を見ていきましょう。
侵入窃盗の侵入手段には、ピッキングやドア錠のこじ破りなどさまざまなパターンが存在しますが、その中でも多いのが、「無締り(施錠されていない場所からの侵入)」と「ガラス破り」です。

侵入手口で最も多い「無締まり」

無締まりは、コンビニやごみを捨てに行くようなわずかな時間で狙われるケースです。家を留守にする時間がたとえ5分だとしても、鍵を閉める習慣をつけましょう。

また、玄関周りや室内の窓だけでなく、トイレや浴室、2階以上の高い位置にある窓も狙われています。高い位置の窓は一見侵入が難しそうですが、木や配管を登って侵入されるケースもあります。「上の階だから、窓を開けっぱなしにしても大丈夫」は、危険です。その心理をついて狙ってくる空き巣も少なくありません。

無締まりは、過信から生じるものが多くあるため、自分だけは大丈夫、と思いこまずに、こまめな施錠を心掛けましょう。

わずか数秒で被害にあってしまう「ガラス破り」

無締まりの次に多い侵入手段であるガラス破りは、文字通り窓ガラスを割り、そこから手を入れて解錠し侵入する手口です。防犯ガラスや、防犯対策がされた窓でなければ、わずか数秒で破られてしまうため、近場の外出中であっても侵入されてしまう可能性があります。

一方で、空き巣は侵入時間が10分以上かかった場合、9割以上が侵入を諦めます。そのため、万が一狙われたとしても、破られにくい・開けにくい窓を設置しておくことで、空き巣の被害にあうリスクを大幅に下げることができます。

参考:警察庁 住まいる防犯110番「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」

窓の防犯は、防犯ガラスの取り付けが効果的

防犯対策のイメージ

PIXTA

以上のようなことを踏まえると、窓の防犯対策を行うだけでも大きな効果がありそうです。そこで今回は、窓の防犯性を高める手段の一つである防犯ガラスについて、AGC株式会社・建築ガラスアジアカンパニーの古賀潔さんにお話を伺いました。

防犯ガラスとは、合わせガラスのこと

ラミセーフ断面図イメージ

AGC株式会社 提供

古賀さんによると、一般的に『防犯ガラス』といわれるものは、『合わせガラス』という種類のガラスのことを指していて、2枚のガラスを、強靭な樹脂膜(中間膜)で貼り合わせたガラスとのこと。

2枚のガラスを合わせることで、割れても飛散や脱落がほとんどなく、また挟みこむ樹脂膜(中間膜)を厚くすることで、衝突物に対する耐貫通性能も高くなり、台風や地震等に対する防災効果も発揮するのだそう。

防犯ガラスの強度や効果

合わせガラス断面図

AGC株式会社 提供

防犯ガラス(合わせガラス)の強度は、間に挟む中間膜と、どのガラスと組み合わせるか、という2つの要素が大きく影響しています。

古賀さん「間に挟む中間膜には、一般的に、30ミル(約0.8ミリ)・60ミル(約1.5ミリ)・90ミル(約2.3ミリ)の3種類があり、通常の家庭用防犯ガラスには30ミルが用いられます」

60ミル以上の中間膜を使った合わせガラスは、より高い耐貫通性能を有することから、最近では台風時の飛来物に対する防災対策として、「防災安全合わせガラス」として用いられるものだそうです。

古賀さん「30ミルは約0.8ミリとわずかな厚さですが、2枚のガラスに挟みこむことで、高い防犯性を発揮します。また、防犯ガラスは2枚のガラスを組み合わせているため、どのようなガラスを使用するかで効果が変わります」

「CPマーク」のある防犯ガラスを選ぼう

CPマーク

公益財団法人全国防犯協会連合会 提供

防犯ガラスを選ぶときには「CPマーク」の有無を確認することも重要です。
CPマークとは、「防犯(Crime Prevention)」の頭文字をデザインしたマークで、このマークがついている商品は「CP認定品」と言われます。

CP認定品は、警察庁や国土交通省、経済産業省、民間団体などで構成された「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」で定められた試験をクリアした商品です。
ガラスの場合には、「こじ破り」「打ち破り」「焼き破り」に対して決められた条件をクリアした商品にのみ表示がされています。

参考:AGC Glass Plaza CP認定品

上述の通りCPマークが付いているガラスを使用すれば、一定レベル以上の防犯性を高めることができます。

一方で、他のガラスとはどのような違いがあるのでしょうか。
古賀さんに、さまざまなガラスの種類についても教えていただきました。

ガラスの種類

窓ガラス

PIXTA

先ほど説明したように、防犯ガラスは2枚のガラスの組み合わせによってできています。他のガラスとどのように違うのか、ここでは、一般的に使用されているガラスの種類と特徴をご紹介します。

フロートガラス

フロートガラス

AGC株式会社 提供

フロート板ガラスは、平滑性に優れた、ゆがみの少ない透明板ガラスで、皆さんが一番目にするガラスです。窓ガラスやガラス棚などに使用されるもっとも一般的なガラスです。

強化ガラス

強化ガラス

AGC株式会社 提供

自動車のサイドガラスに使用されているガラスで、普通のガラスの3倍程度の強度があるため、衝突した時やボールがぶつかった時など、割れにくい特徴を持っています。

また、万一割れてしまっても、破片が粒状となり、より安全性が配慮されているガラスです。一方で、一度割れてしまうと粉々になってしまうデメリットも併せ持っています。

網入板ガラス

網入板ガラス

AGC株式会社 提供

ガラスの中に、網目(ワイヤー)が封入されているガラスです。

古賀さん「網が間に入っていることにより、火事などの際に、ガラスが割れてもガラスが飛び散らず、延焼を防ぐ効果があります。建築基準法により、防火地域や準防火地域ではこの網入板ガラスを始め、防火ガラスを使用しなければなりません」

網入板ガラスは網が封入されているため、見た目は防犯性能があるように思われがちですが、あくまでも防火用として使用されるもので、防犯ガラスではありません。

Low-E複層ガラス

Low-E複層ガラス

AGC株式会社 提供

写真のように、2枚以上のガラスの間に空間を持たせたガラスをLow-E複層ガラスといいます。
合わせガラスに間違われることも多いそうですが、一番の違いは、ガラスとガラスの間に空間があるか、膜を挟んでいるかで、それによって性能が大きく異なるようです。

古賀さん「Low-E複層ガラスは、間に空気の層を挟むことで、断熱性が高くなり、夏は外の熱い空気を、冬は冷え切った空気を通しにくい特徴を持っています。断熱性が高いので、結露を防ぐ効果もあります」

このLow-E複層ガラスの片側に防犯ガラスを用いると、省エネ効果と防犯効果を併せ持つガラスになります。

防犯ガラスには、他のガラスに比べて高い防犯性と安全性があることが分かりました。

とはいえ、ガラスを交換するのは少しハードルが高いという方もいらっしゃるのでは。そんな方は、まずは手軽な防犯対策から始めてみるのはいかがでしょうか。

こんな対策も! 手軽にできる窓の防犯対策

窓

PIXTA

防犯ガラスにも興味があるけれど、まずは手軽なところから始めてみたいといった方に向けて、警視庁が推奨している窓の防犯対策を中心にご紹介します。かかる費用や期待できる効果が異なりますので、ご自身が取り組みやすいものから取り入れてみましょう。

参考:警視庁「侵入窃盗の防犯対策」

【手軽にできる窓の防犯対策1】補助錠を取り付ける

補助錠

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補助錠とは、窓に元々ついている鍵とは別に取り付ける、第二の鍵のことです。鍵が2つ設置されていることにより、侵入に時間がかかることはもちろん、補助錠が見えた時点で侵入難易度が高いと感じさせることができ、狙われにくくする効果もあります。

【対策2】防犯性の高い建築部品にする

面格子を付けた窓

PIXTA

窓に雨戸や面格子、二重窓を設置する方法です。面格子の場合、仮に窓を割ることができたとしても、侵入に苦戦することが想定できます。雨戸や二重窓も同様です。二重窓は寒さの厳しい地域でよく見られる防寒対策の一つで、窓の内側にもう一つ窓を取り付ける方法ですが、防犯対策としても効果があります。窓や戸を2回破る必要があるので、空き巣が入りにくい窓だといえるでしょう。

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おわりに

防犯性の高い窓ガラスの選び方やさまざまなガラスの種類について、AGC株式会社の古賀潔さんにお話を伺いました。家を建てる時やリフォームを検討する際は、防犯性も加味して検討したいところ。防犯ガラスというと、強度ばかりに目が行ってしまいがちですが、用いるガラスによって、安全だけではなく暮らしの快適さも向上させることができます。防犯ガラスの導入を検討する際は、ご自宅に合った製品を選びたいものですね。手軽に始められる窓の防犯対策と合わせて、もしもの場合に備えて準備しておくと安心です。

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公開日:2022.2.21

最終更新日:2024.8.29

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