男性の育休、取得率は?
上図のように男性の育休取得率は右肩上がりで伸びていますが、まだまだ少数派です。職場で初めての男性育休だったり、周りにロールモデルがない状況ではないでしょうか。どう過ごすのが良いか悩む方もいるかもしれません。
「NPO法人tadaima!」の代表、ご自身もお子さんを育てながら、家事と仕事を両立する三木智有さんに「男性の育休の過ごし方のコツ」についてご紹介いただきました。
男性の育休、いつどれくらい取得するのが正解?
こんにちは、「NPO tadaima!」代表の三木です。男性が育休を取得すると、妻の復帰後にスムーズなパートナーシップが築ける、夫の子育てスイッチが入る、夫婦で話し合うきっかけになる、などさまざまなメリットがあります。ただ、どんな時期にどう取得したらいいのか、悩むかもしれませんね。
育休制度は「父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間」となっています。そのため、男性の育休の取り方は割と自由に選べます。取得する時期や期間は、仕事や家庭の事情を総合的に考えて選びましょう。家庭の事情を考慮する際は、以下の点がポイントになります。
・産後の妻の体調はどうか
・(夫以外に)産後のサポートはあるか
・上の子がいるか、上の子の育児へのサポートはあるか
・産後、妻が仕事復帰をするか、その場合の時期はいつか
産後の妻の体調が思わしくなかったり、他に産後のサポートが受けられない場合には、産褥期の妻を全面的にサポートできるよう、産後すぐから取得するのが良いでしょう。また、仕事の都合で取得できる時期が限られている場合もあります。
特段の事情がなければ、妻が仕事復帰をした後の生活を想像してみて「どの時期に取るのがベストか」を検討すると良いと思います。
育休取得パターン例
・出産直後や妻の仕事復帰直後の育児の負担が大きい時期に取得する
・妻の育休期間中で仕事の都合がつくタイミングで取得する
・妻が仕事復帰する際、夫が交代で育休を取得。夫の育休期間には妻が仕事、夫が家事と育児を担う
男性の育休中の過ごし方【1】タスクではなくミッションで考える
育休中は夫が家事や育児を手伝う期間と捉えがちですが、そうではなく、「妻が仕事復帰するための準備期間」と捉えると良いと思います。大変なのは、復帰後の仕事と育児の両立です。早い段階から将来を見据えて準備しておけば、復帰の際も安心ですよ。
「おむつを替える」「ミルクをあげる」などの個々のタスクをこなすのも大切ですが、ミッションを設定すると良いと思います。
例えば、産褥期なら妻が授乳だけに集中できるように、「それ以外の家事育児をすべて一人で回そう」。産褥期以降なら「子どもと二人でお出かけができるようになろう」などと設定すると良いでしょう。
まずは近くの公園まで子どもと二人で出かけてみる。準備からすべて一人でやってみると、子どもと二人で出るのに何が負担になるか、どんな準備が必要かが見えてきます。近くの公園まで行けたら、今度は電車で少し遠出をしてみる。うまく行ったら帰りに買い物にトライして難易度を高めてみる。
このように育児や家事をミッションで捉えると、頼まれたタスクだけこなすのと異なり、自分でも応用が効くようになります。また、妻の仕事復帰後に何がハードルになるかが予想しやすくなるんです。
男性の育休中の過ごし方【2】仕事復帰後の生活をシミュレーションしてみる
育休期間が長く取れるのであれば、朝、出勤すると想定して、その時間帯で実際に準備してみるのもオススメです。朝の子どもの支度や自分の支度を済ませて朝食を取り、実際の出勤時刻に家を出てみましょう。夫婦で何をどう分担すればスムーズかが明らかになりますよ。
男性の育休中の過ごし方【3】子どもを預けてみる
子どもをいきなり保育園に預けようと思うと、親も子も負担が大きいものです。慣らしの意味も兼ねて、一時保育やシッターさんに預ける体験をしてみましょう。
他人に預ける体験をしてみると、罪悪感を感じたり、子どもといる時間をもっと長く取りたいと感じる人もいます。育休を延長しようとか、時短勤務にしようとか、働き方を考えるきっかけになることもあります。
また、預けている間、夫婦会議をやってみるのもオススメです。産前と産後で夫婦それぞれでキャリアに関する考え方が変わることもあります。仕事復帰して育児との両立を始めると、なかなか夫婦ふたりの時間は取りにくいもの。キャリアに関する考え方をお互いシェアして、どう家事や育児を分担するのか話し合っておくと良いでしょう。
話題の「取るだけ育休」、実は少数派!
育休を取得した男性で、実際に育児・家事をする時間が少ない人もいる。「取るだけ育休」じゃないかと話題になりましたね。上の図でわかるように、育休を取得した男性のうち、1/3は家事育児の時間が2時間以下となっています。
確かに家事育児の経験がない夫の場合、何をやっていいかわからない。妻も何をお願いしていいかわからず、何度か話し合って、上手くいかないままになってしまったというケースも聞きます。子どもが生まれると妻も慣れない育児で忙しくなりますから、夫婦で出産前に良く話し合っておくのが大事ですね。
ただ、上のグラフも裏を返せば、7割の夫は育児家事をがんばっているという結果です。育休を取得する男性を温かく見守ってあげてほしいなという思いはあります。
夫の家事で妻のストレスが減るという調査も・・・
夫がどの程度家事をするか
東京ガス都市生活研究所が実施している調査によると、1993年、2002年、2014年と家事をする夫の割合は増えています。これは専業主婦家庭でも共働き家庭でも同様の傾向が見られます。
「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合
また、「仕事や家庭での生活でストレスを感じる」と答えた妻の割合が、夫が家事を「主に担当」している場合と「ほとんどやらない」場合とでは約2割の差が見られ、「夫が家事を行うと妻のストレスが減る」ということも明らかになりました。家事シェアにより家族が円満になるという傾向が数値の上でも表れているんですね。
おわりに
昨今増えてきた男性の育休取得。今回ご紹介したコツを参考に、有意義に過ごせると良いですね。