【味噌の種類の違い】原料
味噌は、麹の違いによって「米味噌」、「麦味噌」、「豆味噌」と、これらを混合した「調合味噌」に分けることができます。味噌の主な原料は大豆と塩で、そこにどんな麹を足すかが違いとなるからです。
【米味噌】
大豆に米麹を加えて作ったもの。
【麦味噌】
大豆に麦麹を加えて作ったもの。
【豆味噌】
豆麹を使うため、主原料は大豆のみになります。
【調合味噌】
「米味噌+豆味噌」、「米味噌+麦味噌」というように、異なる2種類以上の味噌を合わせた製品や、複数の麹を混合して醸造した味噌を指します。
それに対して、1種類の麹を使った味噌は単独麹の味噌と言われます。
調合味噌は、単独麹による味噌に比べてクセがなく、マイルドな風味のものが多いようです。
【味噌の種類の違い】味
甘口、辛口というように、味噌は味にも違いがあります。味加減は、食塩の量と「麹歩合(こうじぶあい)」によって決まります。
麹歩合とは、原料の大豆に対して、麹の割合がどれくらい占めるのかを表した比率のこと。例えば、大豆10kgに対して麹8kgで作った味噌の場合、麹歩合は8歩(はちぶ)となります。
塩分量が一緒であれば、麹が多く入っている、麹歩合が高めの味噌のほうが甘口になります。
【味噌の種類】色
味噌は出来上がりの色によって、「白味噌」、「淡色味噌」、「赤味噌」の3種類に分けられます。大豆など原料の種類、大豆を煮るか蒸すか、麹が多いか少ないか、発酵の途中でかき回すかどうかなど、さまざまな条件によって色が変わってきます。
また、発酵・熟成期間中に、「メイラード反応」という化学変化によって、味噌は赤色っぽく変化します。
メイラード反応とは、アミノ酸が糖と反応して褐色に変化することをいい、醸造期間が長くメイラード反応が進んだ味噌ほど、味噌の色が濃くなっていくそうです。
【味噌の種類の違い】地域によって様々な種類の味噌がある
北海道や関西地方、九州地方など、地域によって味噌の種類もさまざまです。
その一部をご紹介します。
日本は気候によって味噌の種類もさまざまです。全国的には「米」味噌が多いのですが、中部地方では「豆」味噌、九州や四国の一部の地域では「麦」味噌が多くなります。
【味噌の種類の違い】米味噌いろいろ
北海道味噌(北海道)
古くから佐渡や新潟との交流があるせいか、越後味噌に近い赤色系の中辛味噌が代表的。近年では白味噌も多いそうです。
仙台味噌(宮城県)
伊達政宗が醸造の専門家を仙台に呼び寄せ、いち早く兵糧用の味噌を作らせ貯蔵した「御塩噌蔵(おえんそぐら)」以来の伝統を受け継ぐ、赤色辛口味噌。
江戸甘味噌(東京都)
着色を避けるために大豆を煮て作る白味噌と違い、蒸した大豆を用いるため、色は赤褐色。米麹をたっぷり使用しているため、濃厚な甘味と独特の光沢、香りがあります。
信州味噌(長野県)
全国の生産量の約40%を占める淡色辛口の味噌。やや酸味のある芳香を持ち、全国的に生産されています。
越後味噌(新潟県)
米どころ新潟の味噌。精白した丸米を使っているため、米粒が味噌の中に浮いたように見えるのが特徴的です。
関西白味噌(関西地方)
関西地方で生産されている白色甘口味噌。米麹の割合が高く、甘味が強い。着色を抑えるため精米度を高くし、大豆は脱皮したものを用いて蒸さずに煮る。短期熟成型のため長期保存には向かないようです。
【味噌の種類の違い】麦味噌いろいろ
瀬戸内麦味噌(愛媛県、山口県、広島県)
瀬戸内海をはさんで、愛媛県、山口県、広島県周辺地域は、米味噌圏と麦味噌圏の交差するところ。中でも愛媛県の麦味噌は、麦麹の割合が高く麦独特の芳香があり、さらっとした甘味が特徴。
薩摩味噌(鹿児島県)
麦味噌の中でも比較的熟成期間が短く、淡色で甘口のものが多い。麦麹の香りが高く、麦粒が残っているのが特徴で、薩摩汁(さつま汁)づくりには欠かせない。
九州麦味噌(九州地方)
麦麹の割合が高く甘口のものが多いようですが、北部では麦独特の芳香がある辛口も多いとか。近年では、麦麹に米麹を混ぜた合わせ味噌もあるそうです。
【味噌の種類の違い】豆味噌は東海豆味噌
東海豆味噌(愛知県、三重県、岐阜県)
名古屋味噌、三州味噌、三河味噌、八丁味噌、赤味噌などいろいろな呼称、銘柄名で呼ばれる中京地方の豆味噌の総称です。赤褐色で、濃厚な旨味と渋味があることが特徴的。
味噌の正しい保存方法
発酵食品の味噌は、開封後も発酵・熟成していきます。正しく保存して、美味しく味噌料理をいただきたいですね。
味噌の正しい保存方法については、以下の記事をご覧ください。
おわりに
今回は、味噌の種類の違いについてご紹介しました。こんなに種類や違いがあるなんて、驚きですね。味噌はさまざまな料理に幅広く使えて、料理にコクや旨みを加えてくれる優れもの。お好みの味噌を探してみてくださいね。
また、味噌を料理によって使い分けたり、組み合わせたりすることで味の深みがぐっと増します。そんな味噌を使ったレシピを5つご紹介します。ぜひ作ってみてくださいね。
参考:農林水産省「お国自慢みそマップ」
「味噌を使ったレシピ」5選
【信州味噌、八丁味噌、白味噌のレシピ】3種の味噌で味わい深く「こだわりの居酒屋風モツ煮込み」
【薩摩味噌(麦味噌)のレシピ】鶏肉と野菜のうまみたっぷり! 具だくさんの「さつま汁」
【仙台味噌のレシピ】ニンニク味噌で一味違う「焼きサバの味噌煮」
【赤味噌のレシピ】焦げ目に絡んだ味噌ダレにお箸が止まらない!「スパイシーチキン」
【白味噌のレシピ】西京白味噌の風味がアクセント! クリーミーな「里芋コロッケ」