【子どもの左利きは直すべき?】利き手っていつ決まるの?
利き手がいつ、どうやって決まるかについては諸説あり、まだはっきりとは分かっていません。
心理学者・小児科医のアーノルド・ゲゼル氏の1947年の論文によると、子供は左利き、右利き、両利きなど、利き手の交代を経てから、4歳頃から利き手が決まっていくとされています。しかし、その後の研究者からは異論も出ているようです。
1991年、クイーンズ大学のピーター・ペッパー率いるグループの研究では、1,000人の胎児の様子を超音波映像で観察し、そのうち75人について10歳になるまで追跡調査しました。すると、胎内で右手の親指を吸っていた60人は「全員が」右利きになり、左手の親指を吸っていた15人のうち10人が左利きに、5人が右利きになったそうです。
【子どもの左利きは直すべき?】左利きの割合はどれくらい?
遺伝的要因もあるようですが、それが全てではなく、いまだはっきりとしたことは解明されていません。
ただ、世界中の国において、民族・人種に関係なくおおよそ人口の【1割】が「左利き」で、考古学的な研究によると、50万年もの間この状態が続いているそうです。
このことから、少なくとも、環境や育て方によるものだけではないことが分かります。
参考:デイヴィッド・ウォルマン著「『左利き』は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎」/日本経済新聞社/発行:2006年7月
【子どもの左利きは直すべき?】左利きであることのメリット・デメリットは?
左利きのデメリットは?
左利きのデメリットとして大きいのは、「少数派であること」です。
世の中の多くの仕組みが、人口の約90%である右利き向けに作られています。左利きで不便を感じる点として、以下のことがよく挙げられます。
●習字、横書きの文字(手が汚れやすい)
●駅の改札
●ハサミ・缶切り
●自動販売機のボタン
●エレベーターのボタン
●ドアノブ
●ギターなど一部の楽器
・・・などなど。
右利きであれば、ほとんど意識しないことばかりですね。
左利きのメリットは?
一方で、少数派であるがゆえに、「対戦スポーツ」においては有利なことも。野球、ボクシング、卓球、テニス、バレーボールなどでは、統計的に見ても左利きのトッププレイヤーの割合が高いそうです。日本のプロ野球選手の選手名鑑によると、約30%が左利きです。
ただし、ゴルフなど自分との戦いである競技では、道具や練習環境などから右打ちの方がメリットがあり、左利きでも右打ちでプレーする人が多く、左を使う人は3%ほどしかいないそうです。
他、左利きであることのメリットとして、右脳・左脳の両方を使いやすいので頭がよくなるとか、IQが高い傾向にある、空間認知能力が高い、アイデアマンになりやすい・・・などなど、様々な研究や説があります。
ただし、こうした頭脳面における違いは、まだはっきりと証明されているわけではないようです。
【子どもの左利きは直すべき?】利き手の矯正は無理をせずに
一昔前までは、世界的にも「左利きは矯正した方がよい」という考え方が多かったそうです。障害やマナー違反と思われてしまう時代や文化もあったとか。
しかし今は、左利きは生まれつきであり、「頑張れば変えられる」というものではないことがはっきりしています。
強引な矯正のやり方や、それに伴う心理的・肉体的負担にも問題があるようです。
今は、左利き用のハサミ等の道具も、ネット通販などで簡単に探せて購入できるようになりました。利き手ではないために上手くできないことがあると、「自分は不器用なんだ」と思い込んでコンプレックスになってしまう可能性もあります。無理をさせずに、利き手に合わせたものを用意してあげるのもよいでしょう。
ただし、左利き・右利きの「度合い」は、子どもによって異なります。
お箸や文字を書くときは右を使う、ということが比較的自然に身に付く、「両利き」に近い子どももいるようです。
実際、普段の生活で、両方が上手く使い分けられたら便利です。右利きの人はほぼ右手しか使えないことに対し、右と左を両方使えると、有利さを感じられる場合もあるでしょう。
子どもの様子を見て、一緒に話し合ってみてもよいかもしれません。
おわりに
左利きは直すべきなのか、利き手の違いによってどんなことがあり得るのかについてご紹介しました。
ちなみに、私の父は左利きで、私の上の子も左利きのようです。
父によれば、やはり色々と不便なようですが、能力の不利さを感じたことはないそうです。
なぜ左利きの人がいるのかは、人類の進化の過程で「多様性」を求めた結果ではないかと感じます。子ども自身のやる気や意思も尊重しながら、左利きの子どもの健やかな成長を見守ってあげたいですね。