料理用ワインとは? ワインを料理に加えるとどんな効果が期待できるの?
店頭でもよく見かけるようになった料理用ワイン。料理用のワインは料理専用ワインとして製造されたワインのことを言います。料理をより美味しく、調理時に使いやすくする配合になっています。
そもそも、ワインを料理に使うと、どのような効果があるのでしょうか。
日本調理科学会誌の「調理用・調味料としてのワイン(長尾 公明)※」によると、ワインを調味料として使う場合、赤ワインと白ワインとでは異なる効果が期待できるそうです。
※出典:日本調理学会誌 Vol.47、No.3、190〜192、(2014)「調理用・調味料としてのワイン(長尾 公明)」
赤ワインの調理における効果とは?
同誌には赤ワインの効果として以下のように記載されています。
「畜肉の調理において赤ワインを使用した場合の効果として肉軟化効果,肉臭み軽減効果,コク味付与効果等が知られているがこれらは,赤ワインに多く含まれるタンニンの役割が大きい事が知られている。即ち,赤ワインに多く含まれているタンニンは,たんぱく質と容易に結合不溶化し,凝固する事から肉表面がコーティングされると考えられる。また肉の臭み軽減効果は,畜肉に含まれる血液成分と結合凝固し嫌な臭いを閉じ込めてしまうと考えられる。」
赤ワインに含まれるタンニンの効果で、お肉が柔らかく、コク深い味わいになるようです。肉特有の臭みを軽減する効果も期待できるとは嬉しいですね。
「赤ワインと言えば肉料理」というイメージが一般的ですが、科学的にも赤ワインはお肉を美味しくする効果があると実証されていることがわかります。
なお、同誌によると、赤ワインは白ワインの約10倍ものタンニンの量が含まれているそう。白ワインはぶどうの果汁のみを発酵させて作られますが、赤ワインは果肉・果皮・種子も一緒に発酵させています。ぶどうの果皮や種子にタンニンは多く含まれているため、赤ワインの方がタンニンの量が多いんです。
なお、タンニンと言えばポリフェノールの一種。抗酸化作用が高いと話題の成分です。美味しい料理を食べてよりヘルシーに、という方にも赤ワインを使った料理は良いですね。
赤ワインを料理に使ってみたいけど、どんな料理に合うのかよくわからない・・・という方は、以下のレシピを参考になさってください。
白ワインの調理における効果とは?
白ワインを使った料理と言えば、魚介を蒸し焼きにする「アクアパッツァ」や「魚介のマリネ」などがありますね。白ワインは魚介と合わせるイメージがありますが、それはなぜでしょう?
同誌では、以下のとおり説明しています。
「白ワインで最も広く知られている効果として魚の臭みを軽減するというものがある。これは,魚の生臭み原因物質がアミンであり,それを白ワインの有機酸が中和するため生臭さが低下する事による」
白ワインに含まれる有機酸としては、酒石酸(しゅせきさん)、リンゴ酸、クエン酸,乳酸など。魚の生臭さの原因とされる成分「アミン」はアルカリ性なので、酸性の有機酸と化学反応を起こしてニオイが緩和されるという訳です。
また、白ワインにはアルコールが含まれますが、アルコールには煮炊きして蒸発する際に、一緒に他のニオイも揮発させる「共沸効果」もあるとされています。
他にも同誌の中で白ワインには、コク味を足したり、料理にツヤを出す効果があると紹介されています。これは白ワインに含まれる糖類がもたらす効果で、赤ワインには期待できないものだそう。
赤ワインには赤ワイン特有の調理効果、白ワインには白ワイン特有の調理効果が期待できるんですね。うまく使い分けられれば、より料理の幅が広がりそうですね。
【ダッチオーブンレシピ・動画】魚介の「アクアパッツァ」
「料理用ワイン」と「飲用ワイン」との違いとは?
昨今は料理用のワインが数多く市販されていますね。上でもご紹介したように、料理用のワインは料理をより美味しくする配合で製造されたものです。
メーカーにもよりますが、サントリーさんの場合、料理用ワインには一般的な飲用のワインよりも多くの乳酸が含まれているそうです。この乳酸のお陰で肉や魚の生臭さを抑えたり、料理の風味や香りを良くする効果が期待できるんですね。
おわりに
料理用ワインを上手く活用できれば、料理のレパートリーも増えそうですね。ぜひ試してみてください。
※出典:日本調理学会誌 Vol.47、No.3、190〜192、(2014)「調理用・調味料としてのワイン(長尾 公明)」
参考:サントリー株式会社「一般的なワインと『料理天国』の違いはなんですか?」
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