床暖房の仕組みとは

Rinnai
ガス温水式床暖房とは、給湯器などの熱源機で温めた温水を、床下に埋め込まれた温水パイプ内を循環させて部屋を暖める仕組みです。
リンナイ株式会社の吉村公博さんによると、床暖房が部屋を暖める仕組みは特徴的だとのこと。
吉村さん「床暖房は床と直接触れることで熱を伝える『伝導熱』、温かい床から放出される『ふく射熱』、暖まった空気が部屋を循環する『対流熱』で部屋全体を暖めます」
「伝導熱」とは、温かい物に触れていることで暖める方式です。ホットカーペットや湯たんぽと同様に、触れた箇所から温まります。「ふく射熱(遠赤外線)」とは、熱が室内の壁や天井などに反射して暖める方式です。熱源から離れた場所でも暖かく感じられるのが特徴で、太陽や焚き火などと同じ仕組みです。
床暖房は、床面を約25℃に保つことで、触れている箇所から身体が温まり、それと同時に床や壁、天井も温まり、そのふく射熱によって部屋全体が暖まります。室温が16~18℃と低い設定でも、十分な温かさを得られます※。
※部屋床面積の約6~7割に床暖房を設置している想定です。
床暖房とエアコンはどう違う?

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エアコンの場合
エアコンは、温風を送り出して部屋の空気を対流させます。そのため、主に「対流熱」で部屋を暖めます。
床暖房の場合
一方、床暖房は「伝導熱」「ふく射熱」「対流熱」の三つの形で部屋を暖めます。
床暖房は、エアコンのように温風が吹き出すことはありませんが、「ふく射熱」によって足元の空気が暖まります。暖かい空気は上へ上昇し、冷えると下へ移動する性質があるため、室内の空気が循環し「対流熱」が発生して部屋が暖まるのです。
床暖房とホットカーペットはどう違う?

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床暖房の場合
ガス温水式の床暖房は、床下を循環する温水によって床全体を温め、その熱が「伝導熱」「ふく射熱」「対流熱」の三つの形で部屋に広がっていきます。
まず、温められた床はふく射熱を発し、人や壁・天井にじんわりと伝わります。さらに、床に接した空気が暖められて上昇することで対流熱が生まれ、部屋全体の空気がゆっくりと循環していきます。そして、足裏など床に直接触れている部分には伝導熱が働き、体にダイレクトな暖かさを与えます。こうして、伝導熱・ふく射熱・対流熱が組み合わさることで、部屋全体が均一で快適な暖かさに包まれるのが特徴です。
ホットカーペットの場合
電気式ホットカーペットは、内部の電熱線が発熱し、その上に座ったり寝転んだりすると、皮膚が温まり、そこから暖かさを感じます。わずかにふく射熱も生じますが、その効果はカーペット表面近くに限られ、部屋全体を暖める対流熱は、ほとんど期待できません。そのため、ホットカーペットは主に「触れている部分をすぐに暖める」ための暖房であり、空間全体を均一に暖めるガス温水式床暖房とは、仕組みも体感も大きく異なります。
床暖房とホットカーペットを比較すると、床暖房の方が部屋全体を均一に暖めることができます。デメリットとしては、暖めにかかる時間が長いことが挙げられるでしょう。
ホットカーペットは、すぐ温かくなるものの、部屋全体を温める効果はあまり期待できません。また、ホットカーペットの温度は、多くのメーカーで45℃〜50℃前後に設定されており※、床暖房の約25℃前後より高め。最近は、細かく温度調整できる機種も多いですが、低温やけどを防ぐためにも、こまめに温度を調節する必要があります。小さなお子さんやペットなど、自分でうまく調整できない場合には、気を配ってあげたいですね。
※JIS規格で発熱体の表面温度について120℃など上限が設定されていますが、ホットカーペットは「カバーをかけた状態」「使用する床材や敷物の有無」「室温」「通電時間」「断熱性」など、多くの条件によって 表面温度が変動するため、単一の「安全温度上限」を規格で決めていないようです。そのため、多くのメーカーで開示されている「使用時の表面温度目安」を参考にしています。
床暖房を使う際の注意点

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床暖房は、床全体から伝わるふく射熱と対流熱によって部屋を均一に暖め、足元から自然なぬくもりを感じられるのが大きな魅力です。空気を乾燥させにくく、ホコリも舞い上がりにくいため、家族が心地よく過ごせる環境をつくります。一方で、暖まるまでに時間がかかることや家具の配置への配慮など、使い方には注意が必要です。
(1)短時間の利用に注意
床が暖まってから、部屋全体に効果が広がるまで時間がかかるため、短時間の利用には向きません。外出前に切るのではなく、設定温度を下げて「つけっぱなしにする」方が、光熱費節約には効果的な場合があります。
(2)マットやラグを敷かない
床からの熱を利用するため、マットやラグ、脚のない大型家具を置くと、熱がこもって暖房効率が下がったり、床材を傷めたりすることがあります。
中には「床暖房対応」と記載されたラグも市販されていますが、これもリスクがないわけではないと、リンナイの吉村さんは言います。
吉村さん「おそらく、断熱性が高く燃えにくい材料で作られた物だとは思いますが、暖房性能が十分に発揮できなくなりますし、床材の変形や変色の原因になってしまう可能性もあります」

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また、重い家具を置くと床材が変形したり、床下に埋め込まれた温水マットが変形する可能性もあるとのことです。
(3)脚のない大型家具にも注意

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脚のない大型家具は、床に接する面積が広いため、マットやラグと同様に床材を傷めることがあります。また、暖房効率が下がるケースも。なるべく脚付き家具を選び、床の熱が逃げる余地を残すのがポイントです。
床暖房のメリット

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床暖房は、低めの室温でも部屋全体を均一に暖めることができる点が魅力です。ガス温水式の場合、必要な時だけガスを燃焼させてお湯をわかし、そのお湯を一定温度に保ちながら循環させる仕組みになっています。スイッチを切った後もしばらくは、余熱で床面の温度が維持されるため、ランニングコストを抑える効果も期待できます。
電気ヒーター式の床暖房では、床と体や座布団などが接する部分に熱がこもり、低温やけどを起こすリスクがあります。ガス温水式は温度が42℃以上にはならない設計のため、低温やけどの心配がほとんどありません。
また、風を起こさないため皮膚の水分が奪われにくく、肌の乾燥や喉への負担が少ないのも安心できる点です。加えて、室内で燃焼させない仕組みのため、空気が汚れたり不快なにおいが発生したりせず、子どもやお年寄り、疾患を持つ方がいる部屋にも安心です。
さらに、床に足が触れることで直接伝導熱を受けられるため、冬場に悩まされがちな、足元の冷えを防ぐ効果もあります。空気をかき混ぜて暖める暖房器具とは異なり、ホコリやチリを舞い上げないので、花粉症などで空気の清浄さに配慮が必要な家庭でも快適に使えます。ふく射熱で室温を低めに保ちながら暖められるので、室内外の温度差が緩やかになり、結露やカビの発生を抑える効果も期待できます。
おわりに
床暖房は快適性の高い暖房方式ですが、導入や使用にあたって注意しておくべき点がありますので、ご紹介しました。正しく使って長持ちさせたいですね。




