浴室暖房乾燥機の「暖房」「乾燥」「換気」のそれぞれの違いは?

Rinnai
浴室暖房乾燥機には、暖房・換気・乾燥の3つの機能がありますが、その仕組みはどのようになっているのでしょうか。リンナイ株式会社の吉村公博さんと芦塚裕介さんにお話を伺いました。

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吉村さん「暖房機能の場合、浴室暖房乾燥機内のファンが浴室内の空気を取り込み、温水を熱源として温めた空気を浴室内に送り出します。つまり、空気を循環させながら浴室全体を温める仕組みです。換気機能は、換気ボックス内のファンによって浴室内の湿った空気を外に排出します。乾燥機能は、暖房機能と換気機能を組み合わせることで、効率よく浴室や衣類を乾燥させます」
浴室暖房乾燥機と換気ボックスの間には、ダンパーと呼ばれる仕切りがあります。暖房機能を使用する際は、このダンパーが閉じた状態となり、温めた空気を外に排出しないようにして、浴室内の空気を循環させて温めます。
換気機能を使用する際は、ダンパーを開放し、浴室内の湿った空気を外へ排出します。
乾燥機能を使用する際は、ダンパーの開き具合を調整し、浴室内の湿った空気を外に逃しつつ、一部を浴室内で循環させて温めます。
浴室暖房乾燥機の「暖房」「乾燥」「換気」は、どのように使い分ける?

uchicoto ※取材を元にウチコト編集部にて作成
暖房機能を使用する場合
暖房は、温めた空気を外に逃がさないように締め切り、素早く浴室を温めます。寒い時期には、入浴前や入浴中に暖房を稼働させておくことで、浴室を暖かく快適に保つことができます。また、入浴の前後に浴室を温めておくことは、ヒートショックの予防にも効果的です。
安心暖房機能搭載なら、ヒートショック対策にも!

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リンナイさんで発売されている一部の機種には、安心暖房機能がついているものもあります。
安心暖房機能とは、人感センサーと温感センサーを搭載し、浴室内の人の動きや温度を感知して、自動で最適な暖房運転を行ってくれる機能です。快適な室温を自動で保つため、寒い日に暖房をつけ忘れてしまっても安心です。
換気機能を使用する場合
換気は、ファンを使って湿気や不快なニオイを素早く排出します。熱交換の仕組みを用いていないため、光熱費を気にせず、気になったときにいつでも空気をリフレッシュできるのがメリットです。

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窓がある浴室でも、換気機能を使った方が湿度が早く下がるのでしょうか。
吉村さん「窓がある浴室の場合でも、換気機能を使った方が早く湿度を下げてくれるケースもあります。弊社の実験では、浴槽の側にある窓を1カ所開けて換気を行いました。窓を開けると、湿度が低下し始めるまで20分かかりましたが、換気機能を使った場合には10分で低下し始めました。窓のついている位置や湿度、浴室暖房乾燥機の性能など多様な要因で変わるので、あくまでご参考の情報になります」
急いで浴室の湿気を逃したい場合には、窓を開けるよりも換気する方が早いかもしれません。ご自宅の場合では、どちらが効果的か実験してみたくなりますね。
乾燥機能を使用する場合
乾燥は、入浴後の浴室を短時間で乾燥させてくれる機能です。浴室内のカビや結露の発生を抑えたり、洗濯物の浴室干しをしたい場合に便利です。
芦塚さん「カビは温度・湿度・栄養素がそろうと増殖が進みます。そうした環境を作らせないためにも、浴室乾燥は有効です。定期的に使用しておくと、掃除の手間も減らせますよ」
初期設定では、浴室乾燥の運転時間は2時間(タイマーコース)に設定されています。お風呂上がりに毎回浴室乾燥を使うことで、カビの繁殖を防ぐのに効果的だそうです。
「カビガードミスト」ならカビの増殖を防げる!

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リンナイさんの一部の機種には「カビガードミスト」機能が搭載されています。浴室内を一定時間、高温・高湿度に保つことで、カビの繁殖を防いでくれます。

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湿度や温度が高いとカビを繁殖させてしまう印象がありますが、実際にはカビが繁殖しにくいほどの高温・高湿度に保つことで、カビを防ぐことができるのだそうです。
洗濯物を早く乾かすには、換気機能と乾燥機能をどう使う?

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乾燥機能は温風を吹き出しながら湿気を逃す仕組みのため、湿った空気を外に排出しつつ、一部の空気は室内で循環させています。そのため、すべての空気を外に排出する換気機能の方が、より早く湿度を下げることができます。
換気機能の方が乾燥機能よりも湿気を逃す効果は高いにもかかわらず、なぜ乾燥機能の方が洗濯物を早く乾かせるのでしょうか。
吉村さん「気温が高いと洗濯物はカラッと乾きますよね。洗濯物が乾くためには、衣類に含まれている水分が水蒸気となって空気中に取り込まれていく必要があります。室温が高いとその分、空気中に多くの水蒸気を含むことができるため、温度が高いほど洗濯物はよく乾きます」
浴室の室温を上げ、さらに湿気も逃してくれる「乾燥機能」が、室内干しに最適だということがわかりますね。
それでは、衣類乾燥運転ではどれくらいの時間で洗濯物が乾くのでしょうか。
芦塚さん「4kgの衣類を干したときに乾かすまでには約64分かかります。ガス式の浴室暖房乾燥機は、給湯器から高温のお湯を使えるため、パワフルかつスピーディに乾燥させることができます」
なお、入浴後すぐに洗濯物を干して衣類乾燥を行った場合と、入浴していない状態で衣類乾燥を行った場合とで、洗濯物が乾くまでの時間に大きな差はないと吉村さんは話します。
吉村さん「弊社の実験では、浴室内が乾燥した状態から衣類乾燥させた場合と、入浴直後の湿度が高い状態の浴室で衣類乾燥させた場合とで、乾燥時間はほとんど変わりませんでした。前者が64分、後者が68分と、4分程度の差しかありませんでした」
便利な浴室暖房乾燥機、後付け可能なタイプも!

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「壁掛型」の温水式浴室暖房乾燥機は、新築住宅でなくても現在ご使用中の浴室に設置できます。壁掛型のため、タイル張りの浴室など、さまざまなタイプの浴室に対応可能です。また、リンナイさんによると、洗い場側の壁面への設置がおすすめとのことです。寒い冬場でも、浴室の床も温風で素早く温めてくれます。
おわりに
浴室暖房乾燥機の暖房・乾燥・換気の使い分けについてお話を伺いました。賢く使いこなして、より快適で便利なバスライフをお楽しみください。