この記事で分かること
- アパートの給湯器が故障したときの対応方法
- アパートの給湯器交換にかかる費用相場
- アパート向けの給湯器の選び方
アパートの給湯器が故障したときの対応方法
アパートの入居者から「給湯器が故障したかもしれない」と申し出があった際の、オーナー側の基本的な対応手順は以下のとおりです。
- トラブルの内容と範囲を確認する
- 修理業者へ依頼する
- 入居者への対応を進める
各手順について、詳しく解説します。
なお、入居者がとるべき対応は、下記のページで紹介しています。あわせてご確認ください。

2025年04月07日
住んでいる賃貸物件の給湯器が故障したときの対処法は? 連絡先と費用
給湯器が突然故障した場合、慌てず正確に状況を把握し、不動産管理会社や貸主へ報告するなど、適切に対応することが大切です。この記事では、給湯器が故障したときの連絡先、故障を疑う症状、故障したときに確認することを解説します。
1.トラブルの内容と範囲を確認する
-medium.jpg)
給湯器故障の申し出があったら、まずは故障の内容と原因を把握しましょう。下表は、主な故障内容と、その原因や理由をまとめたものです。
故障の内容 | 疑われる理由や原因 |
---|---|
電源が入らない |
|
お湯が出ない |
|
水も出ない | 水道管トラブル(凍結・断水など)の可能性 |
リモコンにエラーコードが表示されている場合は、番号や内容を確認すれば、対応方法が把握できます。エラーコードの詳細な内容はメーカーごとに異なるため、公式サイトやマニュアルを確認してみましょう。
よくあるエラーコードは、「111」や「11」です。これは一般的に、給湯器の点火不良を知らせるものです。ガス栓を開けたり、ガスメーターの復帰ボタンを押すことで、復旧する可能性があります。
「24」「41」「411」などは、お湯はり系統の異常を示すことが多いです。運転スイッチの入れ直しをすると解消できる場合があります。
給湯器のエラーコードについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

2025年02月04日
ガス機器に生じる可能性のある不具合の症状とエラーコード、一般的な対処法の一覧
給湯器がつかない、お湯が出ない等の症状と共に、給湯器のリモコンに2~3ケタの英数字が表示されることがあります。これは故障表示(エラーコード)といって、給湯器の故障や不具合を示すサインです。本記事では、給湯器などガス機器に表示される主なエラーコードやよくある症状、その原因や対処方法などをご紹介します。 注) エラーコードの内容は、機種やメーカーによって異なる場合があります。詳細は、取扱説明書もしくはメーカーの公式サイトでご確認ください。
2.修理業者へ依頼する

不具合の内容によっては、修理業者へ依頼して、修理または交換が必要になる場合があります。エラーコードの対処方法を確認し、個人で対応できないと感じたら、早めに修理業者へ依頼しましょう。
修理するか交換するかは、使用年数も考慮して検討しましょう。給湯器の耐用年数(寿命)は10年程度とされており、メーカーや業者が修理用の部品を保有している期間と同様の年数です。
10年以上使っている給湯器は、修理してもすぐに他の箇所が故障したり、そもそも部品が手に入らず修理できない可能性もあるため、交換することをおすすめします。
東京ガスでは、給湯器の交換と修理のどちらも対応可能です。修理か交換かで悩んでいる場合も、まずはご相談ください。


3.入居者への対応を進める
修理業者を手配できたら、入居者への対応を進めましょう。
まずは、給湯器交換にかかる期間や費用の負担などを明確にしておくとトラブルを防げます。給湯器の修繕義務を負うのがオーナー・不動産管理会社と入居者どちらになるかも、あわせて明示しましょう。
また、給湯器交換が終わるまで時間がかかってしまう場合は、家賃の減額対応をしなければならない場合があるため注意が必要です。
例えば、給湯器の故障により風呂場が使えない状態が免責日数(3日)を超える場合、日割りの10%分を減額しなければならない可能性があります。 注)
賃料減額に関する詳細は公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」に記載があるため、目安として確認しておきましょう。
注) この状況が賃料減額の対象になるかは、賃貸借契約の内容によって異なります。
アパートの給湯器交換にかかる費用相場
-medium.jpg)
アパートの給湯器交換にかかる費用は、給湯器の種類にもよりますが、約8万円〜30万円程度が相場です。金額に幅があるのは、給湯器の種類や号数などによって、費用が異なるためです。
給湯器の交換や修理にかかる費用は、基本的に持ち主であるオーナー側が負担します。ただし、下記に該当する場合は、入居者負担となる場合があります。
- 契約内容で入居者側の負担義務を記載している場合
- 故障が入居者側の過失によるものである場合
- オーナーや不動産管理会社を経由せず、入居者が修理を依頼してしまっていた場合
下図は、「東京ガス機器交換」を利用して給湯器交換をした方の費用相場です。交換を検討する際の目安にしてください。

アパートの給湯器交換にかかる時間
-medium.jpg)
給湯器の交換工事にかかる時間は、約1時間半〜4時間程度です。一般的な給湯器の場合、工事の対象となるのは、給湯器本体と室内に設置されたリモコンの2ヶ所です。
ただし、給湯器のタイプや、交換後の給湯器の種類によって、交換にかかる時間は異なります。また、給湯器の設置環境や機種の違いでも交換時間は変動します。
そのため、上記の時間はあくまで目安として把握しておきましょう。
給湯器の種類別の交換時間は、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

2025年03月18日
給湯器の交換にかかる時間は? 工事までの日数や作業時間を詳しく解説!
給湯器の交換工事にかかる時間は、1時間半〜2時間程度が一般的です。業者へ連絡してから実際に給湯器を交換するまでには、およそ10日前後かかります。この記事では、給湯器交換の所要時間に影響する要素や、給湯器交換を短時間で済ませるポイントも解説します。給湯器交換の予定を立てたい方はぜひ参考にしてみてください。
アパート向け給湯器の選び方
給湯器にはさまざまな種類がありますが、その中でもアパートに適した製品を選ぶことが大切です。アパート向け給湯器を選ぶポイントは、以下の5つです。
- 設置方法を確認する
- 給湯器の種類を確認する
- 地域に合う給湯器を選ぶ
- 保証期間を確認する
- 費用の内訳を確認する
それぞれ詳しく解説します。
1.設置方法を確認する
-medium.jpg)
給湯器の主な設置方法は以下のとおりです。
設置方法 | 設置場所 |
---|---|
玄関脇の専用スペースに設置 | PS(パイプシャフト)設置 |
壁掛け型 | 屋外設置 |
壁掛け型 | 屋内設置 |
設置方法で給湯器によっては、選べる製品が制限される可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
また、従来使っていた製品と同じ方法で設置できるものなら、追加の工事が必要ありません。故障時のように迅速な対応を求められる場合におすすめです。
2.給湯器の種類を確認する
給湯器の種類は、機能や熱源によって分けられます。
機能は、オートタイプとフルオートタイプの2種類です。
フルオートタイプでは自動洗浄機能や自動追いだき機能、自動調節機能などが使えますが、オートタイプではそれらの機能は使えません。オートタイプからフルオートタイプへ変更する場合は、追加工事が必要です。
ほかにも、追いだきや暖房機能の有無など、どのような機能が利用できるのかを把握しておくと交換後のトラブルを避けられます。
熱源は、以下の4種類に分けられます。
- プロパンガス
- 都市ガス
- 石油
- 電気
熱源の異なる給湯器へ変更する場合は、追加工事が必要です。
またガス給湯器には号数、石油給湯器はKW数、電気給湯器はL数と、それぞれ給湯能力に関するランクがあります。必要な給湯能力は入居する家族数によって変わります。
入居を想定している家族数に応じて、給湯能力を選ぶようにしましょう。

3.地域に合う給湯器を選ぶ
-medium.jpg)
地域の気候に合った給湯器を選ぶと、故障が起きにくく、今後の修理費用を削減できるようになります。
例えば、寒い地域にある物件の場合は、凍結防止機能が備わっており、低気温でも可動できる寒冷地仕様の給湯器を選ぶと良いでしょう。
海沿いの物件の場合は、海岸までの距離が300m〜1kmにあたる塩害地域仕様や300m以内の重塩害地域仕様の給湯器を選ぶのがおすすめです。
4.保証期間を確認する
メーカー保証が手厚い製品を選べば、故障などのトラブルが発生した際に、急な出費を抑えることができます。
給湯器の保証期間は、一般品が1年、BL(ベターリビング)認定品であれば2年となっていることが多いです。BL認定品とは、耐久性などの観点から優良住宅部品として認定された製品を指します。
また、パロマ、リンナイ、ノーリツなどの主要な給湯器メーカーでは、オプションとして、より長期保証をつけることも可能です。
5.費用の内訳を確認する
交換する給湯器を選ぶときには、費用の内訳を確認したうえで、トータルコストを比較することが大切です。
給湯器交換にかかる費用としては、本体価格、工事費用、人件費があります。本体価格が安くても、工事費用が別途高く設定されていると、トータルコストが高くなってしまいます。
ホームページやカタログに掲載されている価格に含まれている項目は、業者によって異なるため、トータルコストを算出したうえで慎重に検討しましょう。
給湯器交換で慌てないためのポイント
入居者から給湯器の故障・不調を伝えられたときに、慌てずに対応するためのポイントは以下の5つです。
- 日ごろから手順・契約内容・保証について確認しておく
- 定期点検を実施する
- 給湯器の寿命・耐用年数について把握しておく
- 利用できる補助金や保険について把握しておく
- 給湯器に不具合があったら入居者にすぐ申し出てもらう
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.日ごろから手順・契約内容・保証について確認しておく
設備故障は急に発生します。対応手順や入居者との契約内容、保証などについては、普段から把握しておきましょう。入居者から故障の申告があった際に「オーナー側で対応する」とはっきり示せれば、入居者の不安を減らせます。
また、やり取りをしている修理業者・メーカーの連絡先や、保証内容・保証期間も、すぐに確認できるようにしておくと、もしものときの対応がスムーズです。
給湯器故障から対応まで時間が経過すると、事故やトラブルに発展する場合もあります。
急な対応を迫られて焦らないためにも、事前の準備をしっかりしておきましょう。
2.定期点検を実施する
-medium.jpg)
給湯器メーカーや業者へ依頼して、定期点検を実施すると、不具合の早期発見ができます。
また、適切なメンテナンスをすれば、給湯器をより長く使えるようになります。
定期点検を通じてメーカーや業者と連携をとっておけば、緊急時の対応もスムーズになります。故障のリスクを減らし、いざというときの対応に備えるためにも定期点検を怠らないようにしましょう。
3.給湯器の寿命・耐用年数について把握しておく
給湯器の耐用年数と利用期間を確認し、おおよその交換時期を把握しておきましょう。おおよその交換時期が分かれば、前の入居者が退去した際に給湯器を交換しておくなど、入居中の故障リスクを減らすための対策が図れます。
また、給湯器の交換目安はおよそ10年とされています。10年以上経過している給湯器は、いつ故障するか分からない状態ですので、早めに交換を検討するようにしましょう。
4.利用できる補助金や保険について把握しておく
-medium.jpg)
エコキュートやエネファームといった高効率タイプの給湯器に交換する場合は、補助金を利用できる場合があります。
補助金制度に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2025年01月10日
給湯器の設置・交換に活用できる補助金制度とは? 対象機器や申請方法・助成金額をわかりやすく紹介!
給湯器の設置や交換には、さまざまな補助金制度が利用できます。本記事では、補助金制度の対象となる給湯器や申請方法、給湯器設置で受け取れる補助金の金額などを解説します。給湯器の補助金に関するよくある疑問へも回答しているので、給湯器の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
また、メーカー保証と併用はできませんが、落雷や台風被害による故障なら火災保険が適用される場合があります。
一方、地震保険の対象は建物のみに限定されている場合が多く、給湯器の故障には適用されません。経年劣化や保証期間内の故障は、保険の対象にならない点も注意しましょう。
このように、補助金や保険に関する内容を把握しておけば、故障時の急な出費に慌てずに済む可能性が高まります。
5.給湯器に不具合があったら入居者にすぐ申し出てもらう
給湯器に不具合があったらすぐに申し出てもらうよう、入居者に日頃から伝えておくことも大切です。給湯器が故障しても、できるだけ早期に対応できれば、余裕をもって交換作業を進められます。
給湯器にみられる主な不調のサインは、以下のとおりです。
- 異音
- 異臭
- 温度の不安定感
- お湯になるまでの時間の延長
- 水漏れ
- 水圧の変化 など
上記のサインを入居者に情報提供しておき、異変に気づいたら遠慮なく申し出てもらうようにしましょう。
修理か交換かは利用年数で判断することがおすすめです!

給湯器の耐用年数注)は約10年です。10年以上経過している場合、故障の頻度も増えていきます。
トラブル発生時は「修理」と「交換」の要望はほぼ同じですが、最終的な解決方法は10年を境に差が出てきます。ご利用年数が10年以下なら修理、10年以上なら交換することをおすすめします。
注)各メーカーが定める、安全上支障なく使用できる標準使用期間を指します。


まとめ
アパートの給湯器が故障した際の対応手順は、1.トラブル内容の確認、2.修理業者への依頼、3.入居者対応の3ステップです。故障の原因を把握し、エラーコードを確認したうえで、修理または交換を判断しましょう。
また給湯器の寿命は約10年で、交換費用は約8万〜30万円程度で、交換にかかる時間は1.5〜4時間ほどのことが多いです。なお給湯器選びは設置方法や地域特性を考慮し、保証期間も確認することが大切です。日頃から契約内容や補助金制度を把握し、定期点検を行うことでトラブルを防ぎましょう。