この記事でわかること
- 太陽光発電の売電価格の仕組みがわかる!
- FIT制度(固定価格買取制度)についてわかる!
- FIT制度が終わった後の選択肢についてわかる!
2024・2025年(令和6・7年)の太陽光発電の売電価格
FIT制度による売電価格は年度ごとに変動します。2024・2025年(令和6・7年)の太陽光発電の売電価格は、以下の通りです。
住宅用太陽光発電(10kW未満) | 事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満) | |
---|---|---|
2024年度 | 16円/kWh | 10円/kWh |
2025年度 | 15円/kWh | 10円/kWh |
参照:資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく! 再生可能エネルギー」
売電価格は経済産業大臣によって決められます。調達価格等算定委員会が、太陽光発電システムの導入コストの変動などを踏まえた価格を提案し、それをもとに経済産業大臣が最終的な決定をするといった流れです。
また、売電価格は「調達価格」「買取価格」などと表記されることもあります。この記事では、家庭用太陽光発電システムの設置を検討している個人の方に向け、「売電価格」と表記しています。
売電価格の推移と今後の予測
ここでは、売電価格の推移について、以下の3つの観点から解説していきます。
- 売電価格の推移
- 売電価格が下がる理由
- 売電価格は今後も上がらないのか?
売電価格の過去推移
太陽光発電の売電価格は、年々低下傾向にあります。発電容量10kW未満の場合の、売電価格の過去の推移は以下の表の通りです。

発電容量10kW未満の場合、2012年度(平成24年度)は42円/kWhでしたが、毎年1~4円ずつ下がっていき、2025年度(令和7年度)には半額以下の15円/kWhになっています。
参照:資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく! 再生可能エネルギー」
売電価格が下がる理由
「売電価格が下がっているのなら、太陽光発電を導入するメリットは薄いのではないか」と心配する方もいるでしょう。しかし実際には、売電価格が下がっても、太陽光発電システムを導入したユーザーが損をすることはありません。
前述のとおり、売電価格は太陽光発電システムの導入コストを考慮して決められています。つまり、売電価格が下がっているということは、太陽光発電システムをそれだけ安く導入できるようになったということでもあります。

また、FIT制度では、制度が適用される10年のあいだに売電価格が下がったとしても、設置費用を回収できるよう設計されているため心配はありません。
太陽光発電システムを設置する際の初期費用については、以下の記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてください。

2025年02月28日
【2025最新】家庭用の太陽光発電の設置費用はいくら? ソーラーパネルなど必要な設備と売電収入について解説
環境への意識や電気の節約志向が高まるにつれ、太陽光発電の設置を検討する方が増えてきています。そこで特に気になるのが設置費用です。 実際に太陽光発電を設置するにはどのくらい費用がかかるのでしょうか。 本記事では太陽光発電の設置を考えている方に向けて設置費用、ランニングコスト、電気を売ることで得られる売電収入について分かりやすく解説します。
さらに、補助金を活用すれば、設置費用を抑えることも可能になり、売電価格が下がっても初期費用の回収がしやすくなります。太陽光発電の補助金については、以下の記事をご覧ください。

2025年02月28日
【東京都】太陽光発電の補助金はいくら? 種類ごとの助成額や申請方法をわかりやすく紹介!
東京都で太陽光発電システムを設置する際には、補助金を活用することで負担を減らせます。本記事では、東京都が行っている太陽光発電の補助金について解説します。制度への理解を深めて補助金を活用し、太陽光発電設置にかかる負担を少しでも減らしましょう。
売電価格は今後も上がらないのか?
売電価格は下がっていく傾向にありますが、「今後上がることはないのか」と気になる方も多いでしょう。結論としては、今後も売電価格が上がる見込みはありません。
しかし、FIT制度を活用できる期間は安定した価格で売電できるため、安心して太陽光発電を導入することができます。FIT制度が終了した後は売電先を自由に選べるため、各電力会社独自のサービスを受けることも可能です。
また、売電しなくても、太陽光発電で作った電気を自家消費すれば、値上がりが顕著な電力会社の電気を買わなくても済むため、経済的なメリットが期待できるでしょう。蓄電池と組み合わせれば、災害時の備えとしても効果を発揮します。
安定した売電価格が見込める「FIT(固定価格買取制度)」とは
FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及や、エネルギーの安定供給を目的とした制度です。ここではFIT制度について、以下の3つの項目に分けて解説します。
- 「FIT(固定価格買取制度)」の概要
- FIT制度申請の流れ
- FIT制度の申請期限
「FIT(固定価格買取制度)」の概要
FIT制度は固定買取制度ともいいます。この制度は電力会社に対して、再生可能エネルギーで発電した電気を、一定期間、一定の価格で買い取るよう義務付けるものです。
買い取りの対象は発電した電気の全量です。ただし、住宅の屋根にのせるタイプの10kW未満の太陽光発電や、ビル・工場の屋根に載せるような10〜50kWの太陽光発電システムの場合、発電した場所で消費したあとの余剰分が買い取りの対象となります。


ユーザー目線で見ると上の図のように、自宅で発電した電気のうち余った分を、10年間は同じ買取価格で買い取ってくれる制度だといえます。
FIT制度(固定価格買取制度)の詳しい仕組みについては、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。

2025年02月28日
【太陽光発電】FIT(固定価格買取制度)とは? メリットや仕組みを解説
FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及促進を目的に、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、一定価格にて電力会社が買い取ることを国が保証する制度のことです。本記事では、FIT制度の概要や、メリット・デメリット、電力を買い取ってもらうまでの手順、卒FIT後の対応などについて、詳しく解説します。
FIT制度申請の流れ
FIT制度を利用するには、経済産業省から事業計画認定を受ける必要があります。申請が受理されるまでには通常1~3ヶ月程度の期間を要するため、太陽光発電システムの設置前から計画的に申請を進めることが大切です。
申請手続きは以下の流れになります。
- 電力会社に系統連系申請・売電申し込みを行う
- 経済産業省に提出する事業計画認定申請書を作成する
- 設備の規模や設置場所などに応じた必要書類を添付して申請書を提出
- 設置者に届いた確認メールで内容をチェックし、承諾処理を行う
- 審査を受ける
- 認定
経済産業省への申請は、基本的には「再生可能エネルギー電子申請サイト」より行います。詳細な流れは、経済産業省 資源エネルギー庁のホームページでも紹介されています。情報収集を進めるとともに、申請が不安な方はなるべく早めに太陽光発電システムの設置を依頼する業者に相談してみるとよいでしょう。
参照:経済産業省 資源エネルギー庁「発電設備を設置するまでの流れ|なっとく! 再生可能エネルギー」
FIT制度の申請期限
FIT制度の申請には、経済産業省が定める期限があります。FIT制度の申請には一般送配電事業者が発行する「接続の同意を証する書類」が必要であり、一般送配電事業者側でもFIT制度の申請期限に間に合わせる場合の系統連系申請の申請期限を設けています。
申請期限を過ぎてしまうと次の受付期間まで待たないといけないため、あらかじめスケジュールを把握しておきましょう。なお、2025年度(令和7年度)の申請期限が発表されるまでは、ひとつの参考になるでしょう。
電力会社への申請期限一覧
電力会社への申請期限は、毎年10~11月に設定されています。2025年度(令和7年度)の期限はまだ設定されていません。2024年度(令和6年度)の太陽光発電の申請期限は、各電力会社へお問い合わせください。
経済産業省への申請期限
経済産業省への申請期限は以下の通りです。
申請先 | 発電容量10kW未満の場合の申請期限 |
---|---|
経済産業省 | 2025年1月7日 |
なお、申込先は、再生可能エネルギー電子申請になります。
FIT終了後の売電価格はどうなる?
FIT制度では、一定の期間、電力会社が固定した価格で電力を買い取ってくれます。この一定期間のことを「調達期間」と呼びます。
では、調達期間が終了したあとには、どういった変化があるのでしょうか。ここでは以下の3つの項目について、順番に解説します。
- 卒FIT後の売電価格
- 卒FIT後の選択肢
- 卒FIT後の売電価格一覧
卒FIT後の売電価格
調達期間が終わり、FIT期間が終了することを「卒FIT」といいます。卒FIT後も売電は続けられますが、固定価格での売電はできなくなり、FITの売電単価に比べると単価は安くなります。
卒FIT後の選択肢
卒FIT後の選択肢には、以下の3つがあります。
- 大手電力会社への売電を継続する
- 売電先の企業を変更する
- 売電をやめて自宅ですべての電力を消費する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
大手電力会社への売電を継続する
まずは、卒FIT後も引き続き大手電力会社へ余剰電力を売る方法が考えられます。前述のとおり、売電価格は卒FIT前に比べて安くなりますが、大手だからこその信頼感があり、安心して売電を続けられるでしょう。特別な手続きが不要なため、対応に手間がかからない点もポイントです。
売電先の企業を変更する
卒FIT後は、売電先を従来の大手電力会社から自由に変更できます。電力自由化後に参入した新電力会社のなかには、卒FIT後の余剰電力を、大手電力会社よりも割高で買い取っている会社もあります。そのような新電力に売電先を変更することも選択肢の一つになるでしょう。
売電をやめて自宅ですべての電力を消費する
卒FITを機に売電をやめるという選択肢もあります。どこにも売電せず、自宅で発電した電力をすべて消費する方法です。
特に近年は電気代が高騰しており、売買価格よりも自宅で使用する電気代のほうが高くなるケースが増えてきました。余剰電力をためておき、太陽光発電ができない夜間などに使用すれば、電力会社から購入する電気を減らせるため、電気代の節約が実現可能です。また、電気をためておくことは災害時の停電対策にもなります。
ただし、この方法は蓄電池の設置が前提となります。蓄電池を新たに設置する場合は別途費用がかかる点に留意してください。
卒FIT後の売電価格一覧
卒FIT後の売電価格は企業によって異なります。東京電力管内での売電価格は以下の通りです。
売電価格 | |
---|---|
A社 | 11.5円/kWh |
B社 | 11円/kWh |
C社 | 12円/kWh |
D社 | 8.5円/kWh |
E社 | 10.5円/kWh |
一般的な金額は8.5円〜12円/kWh程度になっており、10円/kWh前後が相場といえるでしょう。
卒FIT後の太陽光発電の活用は東京ガスにおまかせ!
卒FIT後の選択肢としておすすめなのが、蓄電池を導入し、余剰電力を自家消費する方法です。高騰する電力会社の電力を購入する機会が減るため電気代の節約につながり、災害への備えとしても効果的です。
蓄電池購入について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。また、東京ガスでは無料相談も承っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
その他、東京ガスでは卒FIT後の方に向けて余剰電力の買取サービスも用意しています。卒FIT後にどうしたら良いか迷っている方は、ぜひご相談ください。
東京ガスの太陽光電力買取サービスは最大23円/1kWhで買い取り
東京ガスの太陽光余剰電力買取サービスでは、2つのプランを用意しています。
太陽光買い取りプランの買取単価は10.5円/kWh、蓄電池購入サポートプランでは半年間最大23円/kWhでの買い取りを実現しています。
卒FITが間近の方は、ぜひこの機会にお得なプランをご利用ください。
卒FITページについて詳しく知りたい方は、こちら >
まとめ
FIT制度の売電価格は、制度開始当初に比べて低下しています。しかし、太陽光発電システムの導入にかかる初期費用も低下しているため、FIT制度が適用される10年のあいだに回収することが可能になっています。安心して太陽光発電システムの導入を検討してください。
また、FIT制度の申請にあたってはさまざまな書類の準備が必要となるため、信頼できる業者に早めに相談しましょう。
FIT制度が終了したあとは、大手電力会社への売電を継続するほかに、売電先の変更や、自家消費を増やすといった選択肢があります。東京ガスでは卒FIT後の相談を受け付けているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。