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【太陽光発電】FIT(固定価格買取制度)とは? メリットや仕組みを解説

FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及促進を目的に、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、一定価格にて電力会社が買い取ることを国が保証する制度のことです。本記事では、FIT制度の概要や、メリット・デメリット、電力を買い取ってもらうまでの手順、卒FIT後の対応などについて、詳しく解説します。

最終更新日:2025年02月28日公開日:2024年04月10日

目 次

この記事でわかること

  • FIT制度の概要がわかる!
  • FIT制度のメリット、デメリットがわかる!
  • 卒FIT後の対応がわかる!

FIT制度とは?

FIT制度とは?

FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの普及促進を目的として、これら再生可能エネルギーで発電した電気を一定の期間、一定の価格で電力会社が買い取ることを国が保証する制度です。

下表のように、2024年度に発電容量が10kW以下の太陽光発電システムを導入する場合は、10年間にわたって1kWhあたり16円で電力を買い取ってもらえることが保証されます。

1kWhあたり調達価格/基準価格

注1)

50kW以上
(地上設置)
(入札制度対象外)

10kW以上
50kW未満

注3)

50kW以上
(屋根設置)

10kW以上
50kW未満
(屋根設置)

注3)

10kW未満

2024年度

9.2円

10円

12円

12円

16円

調達期間/交付
期間

注2)

20年間

10年間

参照:経済産業省 資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」


注1) FIT制度(太陽光10kW未満及び入札制度適用区分を除く)は税を加えた額が調達価格、FIT制度の太陽光10kW未満は調達価格、FIP制度(入札制度適用区分を除く)は基準価格、入札制度適用区分は上限価格。

注2) FIT制度であれば調達期間、FIP制度であれば交付期間。

注3) 10kW以上50kW未満の事業用太陽光発電には、2020年度から自家消費型の地域活用要件を設定する。ただし、営農型太陽光発電は、3年を超える農地転用許可が認められる案件は、自家消費を行わない案件であっても、災害時の活用が可能であればFIT制度の新規認定対象とする。

このFIT制度は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」に基づき、2012年7月から施行されました。

その後、FIT法は改正され、2022年4月からは「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」となっています。なお、FITの名称は英語の「Feed-in Tariff」の頭文字からきています。

同様の制度は海外でも広く導入されており、例えばドイツでは1991年、スペインでは1992年から始まっています。

なぜ、FIT制度が再生可能エネルギーの普及促進につながるのかというと、収支の見通しが立てやすくなることが理由のひとつとして挙げられます。太陽光発電では天候など不確実な要素はあるものの、FIT制度で導入後しばらくの間は導入後の売電価格が固定されるため、「どれくらい売電による収益が得られそうか」「どれくらいで初期費用が回収できそうか」を見立てやすくなり、より安心して導入することができるのです。

FIT制度が実施されるようになった背景

FIT制度が実施されるようになった背景

FIT制度の創設背景には、冒頭でも触れたとおり再生可能エネルギーの普及促進という目的があります。再生可能エネルギーは、地球環境への負荷が低く永続的に利用できるエネルギー源であり、石油やLNGといった化石燃料の産出が少ない日本国内にとっては重要な資源です。

日本のエネルギー自給率は低く、2020年度は11.3%、OECD諸国中37位でした。エネルギーの大部分を輸入に頼っているということは、国際情勢や安全保障上の理由で安定的なエネルギー供給に支障がでることもあり得るということです。そのため国としても、太陽光、風力などの再生可能エネルギーの普及促進は重要な位置づけであるといえます。

しかし、再生可能エネルギーを利用する発電設備は、個人や企業にとって設備費用や工事費用といった初期費用が高いことが参入のハードルを高くしていました。初期費用が高いために、導入後に初期費用に見合った収益が得られるのか、どれくらいの期間で回収できるのかといった見通しが立てにくいためです。こうした中、一定期間の余剰電力の固定買取価格を定め、参入ハードルを下げることを狙いのひとつとして創設されたのがFIT制度です。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 『エネルギーの今を知る10の質問』」

FIT制度の仕組み

FIT制度の仕組み

FIT制度により、2024年度の例では発電容量が10kW以下の太陽光発電システムを導入する場合、電力会社が10年間にわたって1kWhあたり16円で買い取ることが保証されます。売電した家庭には売電した電力量に応じて買取価格が支払われますが、この買取価格の原資には「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」が含まれます。

FIT制度の仕組み

再エネ賦課金とは、FIT制度において固定価格で電力を買い取る電力会社の費用負担を減らすために、国民から電気料金の支払いと合わせて一定割合で徴収されている料金のことです。2023年5月分から2024年4月分まで、再エネ賦課金は電気使用量1kWhあたり1.40円と決まっています。

再エネ賦課金について詳しく知りたい方は、こちらのページも参考ください。

再生可能エネルギー固定価格買取制度(賦課金等)については、こちら >

再生可能エネルギー(太陽光・水力・地熱etc.)の買取価格の推移

再生価格の買取価格は、各エネルギーのコストや適正な利益などを総合的に考慮し、経済産業大臣が最終決定を行います。

資源エネルギー庁の調査によると、再生可能エネルギーの買取価格は以下のように推移しています。

再生可能エネルギー(太陽光・水力・地熱etc.)の買取価格の推移

出典:経済産業省「太陽光発電について」

FIT制度の導入当初、再生可能エネルギーの買取価格は高めに設定されていましたが、技術の進歩や設備費用の低下にともない、徐々に引き下げられています

例えば太陽光発電(10kW未満)の場合、2012年度の買取価格は34円/1kWhでしたが、2025年には15円/1kWhまで引き下げられる見込みです。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」

FIT制度のメリット

FIT制度のメリット

一般家庭では太陽光発電システムを導入してFIT制度を利用することで、電気代の負担軽減が期待できます。またFIT制度の利用者が増えていくことで、地球環境の保全にもつながります。

電気代の負担を減らせる

FIT制度の大きなメリットのひとつは、電気代の負担を減らせることです。住宅に太陽光発電システムを導入した場合、自宅で使いきれなかった電気(余剰電力)を電力会社へ売ることができますが、一定期間はFIT制度によって電力会社への売電価格が固定されているため安心といえるでしょう。

自宅に導入した太陽光発電システムや蓄電池システムの性能や設置条件などによっては、電気代の節約と売電による収益化を両立させることも可能です。

なお、FIT制度の期間終了後、いわゆる卒FIT後にも余剰電力を売電すること自体は可能です。さまざまな事業者が余剰電力の買取サービスを行っているため、自分に合ったサービスを選びましょう。

東京ガスでは、卒FIT後のご家庭に向けた3つのプランを用意しています。特に、卒FITを機に蓄電池システムを導入しようと考えている方には、FIT期間中よりも魅力的な価格で余剰電力を買い取ってもらえるプランもありますので、ぜひ検討してみてください。

温暖化防止の取り組みに貢献できる

FIT制度の利用者が増えていくことは、地球温暖化を防ぐ取り組みにも役立っています。

日本全体の発電量における再生可能エネルギーの占める割合は、FIT制度の施行前が10.4%(2011年度)だったのに対し、施行から10年目を迎えた2021年度では20.3%にまで上昇しました。経済産業省は野心的な目標として、今後は2030年度までに36~38%にすることを掲げています。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及がさらに進むことで、CO2排出量の削減が実現し、地球温暖化を抑制する効果が期待できます。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」
参照:経済産業省 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」

日本のエネルギー自給率が向上する

FIT制度は、日本のエネルギー自給率を高める役割も担っています。

現在の日本のエネルギー事情は、海外からの輸入に依存することで成り立っている状況です。しかし、新型コロナウイルス流行による世界的なエネルギー需要の増減や、ロシアによるウクライナ侵攻により輸入が制限されたことなどを受け、近年は電気代が高騰しています。

FIT制度により再生可能エネルギーが普及し、日本のエネルギー自給率が向上すれば、電気代が国際情勢の変化に左右されにくくなります。その結果、安定したエネルギーの供給や、日本の経済的な自立にもつながるでしょう。

さらに、自給率の向上が進めば、日本から他国にエネルギーを輸出し、新たな収入源を確保できる可能性もあります。

FIT制度で電力の買取をしてもらう方法

太陽光発電の設備を設置しても、適切な手続きを踏まないと電力を買い取ってもらえません。FIT制度を利用するためには、国からの設備認定を受ける必要があります

この認定を取得するためには、太陽光発電システムの工事以外にも、事業計画の立案や提出、電力会社との契約など、さまざまな手続きが必要です。

以下では、FIT認定を取得するための具体的な手続きについて詳しく解説していきます。

FIT認定を受けるためには事業計画の認定が必要

FIT制度で電力を買い取ってもらうためには、まず電力会社への系統連携申請と、売電にかかわる契約を行います。そのうえで、経済産業省に事業計画認定を申請し、認定を受ける必要があります

事業計画認定は、発電設備が法令要件を満たしているか、適切なメンテナンス体制が整っているかなどを確認するものです。以前は「設備認定」と呼ばれていました。

具体的には、設備の安全確保や周辺環境への配慮、適切な保守点検および維持管理などの基準を満たす必要があります。

事業計画を申請し、認定を受けるまでの期間は、10kWh未満の設備で2〜3ヶ月程度、それ以上の規模で4ヶ月程度です。

FIT制度に認定されるまでの流れ

FIT制度の手続きは、発電容量50kw未満とそれ以外とで、手続きにいくつかの違いがあります。一般家庭で主に利用される50kw未満の場合、おおまかな手続きは以下のとおりです。

  1. 太陽光発電システムの導入を検討
  2. 事業計画策定ガイドラインを踏まえて事業計画を立てる
  3. 販売店などで詳細な見積もりを取る
  4. 電力会社への系統連系申請、特定契約の締結を済ませる
  5. 経済産業省へ事業計画認定の申請(再生可能エネルギー電子申請サイト)
  6. 経済産業省から事業計画の認定を受ける
  7. 太陽光発電システムの設置工事を開始
  8. 完成
  9. 基礎情報および使用前自己確認届出を提出
  10. 電力供給開始
  11. 定期報告

なお、買取価格や買取期間は事業計画認定を受けた時点で確定し、FIT期間中は変動しません。2025年度に住宅太陽光発電システムを導入した場合の買取価格は、15円/1kWhで、期間は10年間です。

卒FITとはFIT制度が満了すること

FIT制度の適用期間は、10kWh未満の太陽光発電の場合で10年間と定められており、この期間が満了しFIT制度の適用が終了することを卒FITといいます

卒FITを迎えると、発電した電力の買取価格は優遇価格ではなくなり、通常の価格に移行します。

なお、FIT制度は2009年11月に始まった「太陽光余剰電力買取制度」を引き継いだ制度です。この制度を利用して住宅用太陽光発電を設置した方は、順次卒FITが訪れている状況です。卒FIT後の電力利用方法や売電対策については、事前に検討しておきましょう。

卒FITの家計への影響は?

卒FITを迎えると、通常よりも高い価格での買取が終了し売電収入が減少します。これまで多くの売電収入を得ていた場合、卒FITが家計に影響を及ぼす可能性があるでしょう。

2025年に卒FITを迎えるご家庭を例に挙げると、導入当時の買取価格は33円/1kWh(出力制御対応機器設置義務なし)だったのが、卒FIT後は7〜9円/1kWh程度での買取となることが多いです。

年間の発電量が3,000kWhで卒FIT後の買取価格が7円/1kWhだった場合、卒FIT前の収入99,000円から卒FIT後には21,000円となり、年間で78,000円の収入減少です。

上記のような影響を軽減するためには、適切な対策を講じる必要があるでしょう。

太陽光発電の卒FITを迎えたらどうする?

卒FIT後に電力を有効活用するためには、以下の2つの方法がおすすめです。

  • 蓄電池を導入する
  • 買取価格が高い電力会社に売電する

それぞれの方法について、詳しく解説します。

蓄電池を導入する

卒FIT後に発電した電気を有効活用する方法の一つが、蓄電池の導入です。

蓄電池を使用すると、日中に発電した余剰電力を夜間や早朝に利用して、自家消費できます。電力会社からの購入電力を抑えられるため、電気代の節約につながるでしょう。

また、災害時や停電時には蓄電池にためた電力を利用できるため、防災対策としても効果的です。

ただし、蓄電池の種類により使える電気量が異なる点や、設置場所の制約がある点に注意が必要です。さらに、放充電回数には寿命があり、一定期間たつと交換が必要となるため、製品を選ぶ際は性能や耐久性を十分確認しましょう。

買取価格が高い電力会社に売電する

買取価格の変化について_PC
買取価格の変化について_SP

卒FIT後は、買取価格の高い電力会社に売電先を切り替えるのもおすすめです。卒FIT後には電力会社を自由に変更できるため、買取価格や条件を比較して、ご家庭に合う新電力会社に買い取ってもらうことが可能です。

とくに新電力会社は、買取価格が従来の契約会社よりも高く設定されているケースがあるため、検討してみる価値があるでしょう。新電力会社とは、2016年の電力自由化以降に新規参入した電気小売事業者を指します。

例えば、東京ガスの「太陽光買取プラン」では10.5円/1kWh、「蓄電池購入サポートプラン」の場合は最大23円/1kWhでの買取が可能です。

FIT期間中の電力会社を継続するよりもおトクになる可能性がありますので、ぜひ東京ガスへの売電をご検討ください。

FIT制度の今後の課題

FIT制度の今後の課題

FIT制度には国民による賦課金の負担抑制、調達期間終了後の環境整備といった課題があります。それぞれ詳しく解説していきます。

国民による賦課金の負担抑制

世界的なエネルギー価格の高騰などにより、大手電力会社は電気代の値上げを継続する考えを示しています。こうした電気代の高騰が家計にのしかかるなか、再エネ賦課金の国民負担の調整は、今後もFIT制度が向き合っていく課題といえるでしょう。

なお、FIT制度では電力の需給状況を踏まえ「調達価格の目標の見直し」「2017年より入札制度を導入」「2022年よりフィード・イン・プレミアム(FIP)制度を導入」といった方策により国民負担の抑制を図っています。

再エネ賦課金については、2022年度は3.45円/1kWhだったところ、2023年度には1.40円/1kWhへと単価が引き下げられています。再エネ賦課金の単価引き下げは、FIT制度の開始以来初めてのことです。

調達期間終了後の環境整備

現行のFIT制度では、発電容量10kW未満の太陽光発電の調達期間は「10年」です。2009年に開始した前身の余剰電力買取制度も同様で、2019年11月以降は調達期間が終了した個人や企業が増え続けている状況です。

再エネによる発電を拡大していくためには、卒FIT後も安定的に運用され続けることが重要であるため、経済産業省では調達期間終了後の選択肢の提示や、余剰電力の買取を行っている事業者の情報提供などを行っています。

さらに、2024年4月1日からは太陽光発電システムへの追加投資(増設・更新)に対して、既存部分とは別に新たに買取価格が適用される法改正が施行されます。

卒FIT後の太陽光発電の活用は東京ガスにおまかせ!

卒FITを迎えた後の余剰電力の有効活用には、蓄電池の購入がおすすめです。日中に発電した余剰電力を蓄電池に蓄えることで、夜間や悪天候時、さらに災害時にも電力を活用できます。これにより、電力会社からの購入電力を減らし、電気料金を節約することも可能です。

東京ガスでは、蓄電池の購入をご検討中の方に向けて、無料相談サービスを実施しています。

さらに、東京ガスでは、卒FITを迎えた方を対象とした余剰電力の買取サービスも行っています。「蓄電池購入サポートプラン」の場合、半年間は最大23円/1kWhで買取しています。

なお、上記のプランは指定の販売店で対象の蓄電池を購入した方が対象です。余剰電力を有効活用したい方は、ぜひ東京ガスをご検討ください。

東京ガスの太陽光電力買取サービスは最大23円/1kWhで買い取り

卒FITを迎える方には、東京ガスの太陽光電力買取サービスがおすすめです。

東京ガスが指定する販売店で対象の商品を購入した方に向けた「蓄電池購入サポートプラン」をご契約いただくと、最大23円/1kWhで買取可能です。

なお、上記のプランは、東京都(島嶼地域を除く)や神奈川県、山梨県などの一部の地域でサービスを提供しています。

解約手数料や違約金は不要で、Webから簡単にお申し込みいただけますので、この機会にぜひ東京ガスの太陽光電力買取サービスをご検討ください。

  • この記事の監修者

    東京ガスの太陽光発電サービス コラム編集チーム

    太陽光発電・蓄電池の仕組み、メリットから設置、メンテナンスなど幅広いトピックを解説します。みなさまの太陽光発電・蓄電池選びに役立つ情報を発信していきますのでぜひご活用ください!

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