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太陽光発電の「発電効率」や「変換効率」とは? 効率を低くする原因、発電効率を高めるためのポイントを紹介

太陽光発電は環境保護やエネルギー効率化の観点から注目されています。しかし、太陽光がどのくらいの割合で電気に変えられるのかという発電効率については専門用語で説明されることが多く、よくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では太陽光発電の発電効率に関する基礎知識、発電効率が低くなる原因、そして効率を上げるための実用的な方法を詳しくご紹介します。

最終更新日:2024年09月30日公開日:2024年04月10日

目 次

太陽光発電の「効率」とは?

太陽光発電の効率

太陽光発電の「効率」は、太陽光エネルギーを電気エネルギーにどれだけ変換できるか、その割合を示す用語です。
同じ面積のパネルであれば、効率が高いほど多くの電気を生成しているということになるため、パネル面積を基準とした指標、「モジュール変換効率」と「セル変換効率」が用いられることもあります。

太陽光発電の「モジュール変換効率」とは?

「モジュール変換効率」は太陽光パネル(太陽電池モジュール)が1平方メートルあたりどれだけの太陽エネルギーを電気エネルギーに変換できるかを示す指標です。

モジュール変換効率(%) = [モジュール公称最大出力(W)×100] ÷ [モジュール面積(㎡)×1,000(W/㎡)]

ここでいう「モジュール」とは、太陽光パネルのことを指します。

太陽光発電の「セル変換効率」とは?

太陽光パネルは小さな部品である「セル」が集まって作られています。そのため各セルの「変換効率」を指標とすることもあります。セル変換効率とは、一枚のセルが太陽光のエネルギーをどれだけ電気エネルギーに変えられるかをパーセンテージで表したものです。

セル変換効率(%) =出力電気エネルギー ÷ 太陽光エネルギー×100

通常、セル変換効率での算出値はモジュール変換効率よりも高くなる傾向にあります。業者から説明を受ける際なども、セル変換効率をモジュール変換効率と混同しないよう注意が必要です。

太陽光発電の「発電効率」とは?

太陽光発電の「発電効率」は、太陽光を電気エネルギーにどれだけ効率良く変換できるかを示す指標です。太陽光発電の一般的な発電効率は約20%とされています。これは太陽光エネルギーの全量のうち、実際に電気エネルギーに変換できる割合です。

一方で、日本の電源構成の約7割を占める火力発電のエネルギー変換効率は35~55%程度とされています。数字だけを見比べると太陽光発電のほうが、発電効率で劣っているように見えます。

しかし、エネルギーの収支を表す「エネルギーペイバックタイム(EPT)」という考え方をあてはめると、太陽光発電は非常にエネルギー効率のよい発電方法だといえます。

EPTとは、発電設備の製造から運用終了までにかかるエネルギーを、どのくらいの期間で回収できるかを示す指標です。太陽光発電は火力発電のような燃料が不要である反面、太陽光パネルの製造時と廃棄時にエネルギーを必要としますが、このエネルギーはわずか数年の太陽光発電の運用で回収可能です。

一方、火力発電は燃料の採掘や輸送などの工程で永続的にエネルギーを必要とするため、発電に要するエネルギーを完全に回収することは不可能です。

こうした考え方からも、火力発電と太陽光発電は一概に効率を比較することはできません。ただ、EPTが短く環境への負荷が低いことからも、太陽光発電は非常にメリットのある発電方法であることは間違いないでしょう。

太陽光発電の発電効率が悪くなってしまう原因とは?

太陽光発電の発電効率が悪くなってしまう原因

太陽光発電の発電効率が低下する主な原因は「日射量不足」「高い気温」「メンテナンス不足」、および「経年劣化」です。これらの要因はシステムの性能などに影響し、発電の効率が落ちてしまいます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

日射量不足

太陽光発電システムの発電量は日射量に大きく依存します。晴れている日中は日射量が豊富で発電量が増えますが、曇りや霧の日、また朝夕のように太陽の位置が低いときは日射量が減少し、発電量も減少します。そして、日差しがほとんどない雨天や夜間は発電できません。

日射量不足による発電量の減少は一時的な事象です。天候が改善すれば発電量も回復します。天候回復後も発電量が増加しない場合は異なる原因も考えられるので、設備の点検が必要です。

高い気温

高い気温は太陽光発電システムの発電効率を低下させる要因の一つです。太陽光パネルの表面温度は気温によって変化しますが、一般的に表面温度が25℃を超えると1℃の上昇につき発電量が約0.4〜0.5%ずつ低下していきます。これは太陽光パネル内部の半導体が高温に強くないという性質が原因です。そのため、気温が高い夏は日照時間が長くても発電効率が落ちてしまいます。太陽光パネルを設置する時には風通しを良くするなどの対策を図りましょう。

メンテナンス不足

太陽光パネルのメンテナンス不足は発電効率に直接影響します。太陽光パネル表面が汚れていたり、内部にダメージがある場合は、太陽光の吸収が阻害されて発電量が低下します。発電効率を低下させないためには定期的な点検や清掃を行ってパネルの性能を維持することが有効です。

専門知識を必要とする点検は専門業者にしかできませんが、清掃なら自身で行えると考える方もいるかもしれません。しかし、屋根に設置した太陽光パネルを自身で清掃することは危険を伴い、最悪の場合、太陽光パネルを破損してしまうリスクもあります。点検や清掃は専門業者に依頼することをおすすめします。

経年劣化

太陽光パネルは経年劣化により発電効率が低下します。劣化の進行はメーカーや製品によって異なりますが、平均的には年間約0.5%程度の発電効率低下があると考えられます。

劣化原因は太陽光の強さや気温、パネルの品質などさまざまで、劣化の進行度合いは設置している地域の気候や環境条件によっても変わる可能性があります。太陽光パネルは寿命の長い製品ではありますが、経年劣化は避けられないため、設置から年数がたって発電量が著しく低下した場合は、専門業者に相談しましょう。

太陽光発電の発電効率を高めるには?

太陽光発電のメンテナンス

太陽光発電の発電効率を向上させるには、パネルの設置角度調整、周囲の環境改善、適切なメンテナンスが重要です。具体的にどのような方法で発電の効率化を図ればよいのかを解説します。

太陽光パネルの設置条件を意識する

太陽光パネルの発電効率を最大化するためには、その設置条件に特に注意を払う必要があります。以下のポイントを意識しましょう。

  • 日射量
    太陽光パネルは、一日を通して最大限の日射量を受けることができる場所に設置することが理想です。高い建物や木などの影に影響されないような日射量の多い場所が望ましいため、周囲の障害物が動かせる場合、もしくは木々の伐採で対処できる場合は早期に実施します。
  • 設置方位と角度
    太陽光パネルの設置方向や角度も重要です。基本的には、太陽の動きに合わせて最適な方位(通常は真南)に向けて設置されます。また、太陽光パネルの傾斜角度も太陽の位置に合わせて調整すると発電効率が向上します。理想的な角度は一般に30度程度とされていますが、周囲に動かせない障害物がある場合は個別に調整しましょう。発電量データの記録や計測モニターの活用を図り、最適な方位と角度を見つけ出します。
  • 温度
    先述のように、高温はパネルの発電効率を低下させると同時に経年劣化を早める原因ともなるので、夏季でも温度が上がりにくい位置を選んで設置することが大切です。適切な空間を確保し、通風を良くするなどの工夫をしましょう。
  • パネルの汚れ
    表面が汚れていると、太陽光パネルは能力を十分発揮できなくなるため注意が必要です。例えば、気づかないうちに鳥のふんや落ち葉、ちりやほこりなどが付着して太陽光の吸収が阻害されることもあります。汚れにくい場所というのは難しいですが、落ち葉などはある程度はあらかじめ想像がつくため、設置場所を選ぶ時には考慮するとよいでしょう。

以上のポイントを意識していくことで、太陽光パネルの発電効率を向上させることができます。設置段階で決まる要素も多いので、専門の業者とよく相談して設置計画を立てることが重要です。

品質の高い太陽光パネルを選ぶ

発電効率を向上させるためには太陽光パネルの選定も慎重に行う必要があります。高品質で発電効率の高いパネルを選ぶことで発電量が多くなり、長期間にわたって安定した発電が期待できます。

また、屋根の形状やサイズに合わせてパネルを選択することも大切です。最近では、さまざまな形状のパネルが販売されているので、設置可能な面積を最大限に生かせるように考えましょう。

定期的にメンテナンスを行う

太陽光パネルは外部環境にさらされるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。
数年ごとに点検を行い、効率的な発電を維持していきましょう。
また、定期的なメンテナンスに加えて、台風や積雪の後は稼働状況をしっかり確認し、必要であれば清掃、修理なども行いましょう。

発電量モニターを活用する

太陽光発電システムのパフォーマンスを最適に保つためには、発電量モニターの記録データを活用することが大切です。
例えば、発電量の推移を確認することで、時間や天候、季節による変動を理解することができます。また、機器の故障や劣化、外部環境からの影響を受けているかなどを早期に発見する手がかりにもなるでしょう。

家庭用太陽光発電システムでは発電量モニターの設置は必須ではありませんが、このような理由からも設置をおすすめします。

まとめ

太陽光発電の導入を検討している方、すでに導入されている方にとって、発電の効率化は重要なテーマです。パネルの選定や設置位置などは設置後の変更が難しいので、これから導入する方は専門家のアドバイスなどを参考に慎重にご検討ください。

すでに導入されていて発電効率が低いことが気になっている方は、太陽光パネルの周囲の木々や障害物の除去、定期的な清掃などで発電効率が高まる可能性もあるので試してみてはいかがでしょうか。また専門業者に相談することで発電効率を低下させている原因が判明して適切な対策をとれることもあるため、安心できる業者に頼るのもおすすめです。

東京ガスでは太陽光発電のプロが無料相談を受け付けており、効率の良い太陽光パネルの選定はもちろん、最適な角度での太陽光パネルの設置もサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • この記事の監修者

    東京ガスの太陽光発電サービス コラム編集チーム

    太陽光発電・蓄電池の仕組み、メリットから設置、メンテナンスなど幅広いトピックを解説します。みなさまの太陽光発電・蓄電池選びに役立つ情報を発信していきますのでぜひご活用ください!