この記事でわかること
- 蓄電池と太陽光発電によるダブル発電についてわかる!
- 発電から売電までの流れがわかる!
- ダブル発電のメリットやデメリットがわかる!
蓄電池の電力は売電できる?

蓄電池は電力をためておくための装置のため、基本的には蓄電池単体を導入しても売電はできません。売電できるのは、太陽光発電で発電した電力です。
太陽光発電と蓄電池をセットで導入している場合、太陽光発電により発電された電力は蓄電池にたまっていきます。太陽光発電により作られた電力は売電が可能です。
ダブル発電とは?

ダブル発電とは、エネルギーを生み出す創エネ機器を導入し、10kW未満の太陽光発電とガスなどのエネルギーを併用して発電を行うシステムです。この創エネ機器には、エネルギーを創り出す「エネファーム」やエネルギーをためる「蓄電池」も含まれています。
蓄電池にはダブル発電に対応しているタイプと、そうでないタイプがあります。なお、ダブル発電に対し、売電中は放電できないタイプの蓄電池を使用した発電は、シングル発電といいます。
ダブル発電に対応している蓄電池は、売電をしながら放電が可能です。ダブル発電は余剰電力量が増えるため、安い夜間電力を蓄電して昼間に消費し、余らせた電力を売電するといった使い方も可能です。これを公平にするため、従来のFIT制度では、シングル発電の買取価格に対し、ダブル発電の価格を下げる対策がとられていました。
蓄電池と太陽光発電の発電から売電までの流れ
蓄電池と太陽光発電を利用した場合の発電から売電までの流れは、以下のとおりです。
- 太陽光発電で発電する
- 発電した電気を自家消費する
- 自家消費できない電力は蓄電池に蓄えられる
- 蓄電池の容量が満タンになったら、余剰電力が売電される
順を追って解説します。
1.太陽光発電で発電する

蓄電池と太陽光発電のダブル発電で売電するためには、まず太陽光発電で電気を発電する必要があります。太陽光発電による電気の発電は、日光があたる日中の晴れた時間のみ可能です。そのため、発電量は日射量に比例します。

発電量は、太陽光発電の容量により変動します。一般的な住宅用の太陽光発電の容量は10kW未満です。容量別の1日あたりの発電量の目安は、下表のとおりです。
容量 | 1日あたりの発電量 |
---|---|
1kW | 2.7kWh |
2kW | 5.5kWh |
3kW | 8.2kWh |
5kW | 13.7kWh |
9kW | 24.7kWh |
ただし、この発電量はあくまでも目安です。このほか、日射量や地域・季節・ソーラーパネルの向き・ソーラーパネルの仕様によっても発電量は変動します。
2.発電した電気を自家消費する

太陽光発電で発電した電力は、売電や蓄電される前にまず自家消費されます。太陽光発電の出力容量が10kW以下の住宅は、自動的に「余剰売電」が適用されているためです。余剰売電とは、太陽光発電で発電された電気を自家消費したあと、家庭で使いきれない分を電力会社に売電することを指します。
売電の方法には余剰売電の他に、発電した電力を全て売る「全量売電」があります。全量売電は出力や容量の関係で、発電設備の設置容量が50kW以上の大規模な太陽光発電設備がある工場や集合住宅が対象です。 一般的な住宅の場合、太陽光発電の容量は「4〜5kW」が最適といわれており、10kW以下の住宅がほとんどです。そのため、家庭における売電方法はほとんどが余剰売電です。
3.自家消費できない電力は蓄電池に蓄えられる

太陽光発電で発電した電力で使いきれない分は、蓄電池に蓄えられます。太陽光発電により発電された電気は、そのままでは蓄電池に蓄えられないため、パワーコンディショナと呼ばれる機器により蓄電できる形に変換されます。
設定により、蓄電池に蓄えるのではなく、優先的に売電することも可能です。しかし、売電価格よりも電力会社から買う電力の方が高いため、蓄電池に蓄えておき、発電できないタイミングで自家消費する方が基本的にお得でしょう。
4.蓄電池の容量が満タンになったら、余剰電力が売電される

蓄電池の容量が一杯になったら、その後に発電された余剰電力は電力会社に売電されます。2024年度までの買取単価は10kW未満が16円でしたが、2025年度からは15円と1円安くなる予定です。
日没後に太陽光発電ができなくなると、蓄電池にためた電力が使用されます。蓄電池の容量が空になったら、電力会社から電気を買う必要があります。
参照:資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー」
蓄電池と太陽光発電でのダブル発電のメリット
蓄電池と太陽光発電でダブル発電をするメリットは、以下の4点です。
- 売電量を増やしつつ電気代の節約ができる
- 緊急時の非常用電源として使える
- 太陽光発電の発電量が少ないときの買電量を抑えられる
- 蓄電と売電の切り替えができる
それぞれのメリットを具体的に解説します。
売電量を増やしつつ電気代の節約ができる

ダブル発電は、余剰電力を多く生み出し、売電量を増やすことが可能です。太陽光発電の売電をする時間帯に、蓄電池にためた電気も放電することで、売電量をさらに増加させる効果を「押し上げ効果」といいます。
また通常、太陽光発電は、売電よりも自家消費が優先されます。ダブル発電は、夜間に購入する電力量を減らし、電気代を節約する効果も期待できます。日没後は、太陽光による発電ができないため、自家発電した電力を使うことはできません。しかし、蓄電池と組み合わせることで、太陽光発電の余剰電力が増える昼間に蓄えた電気を夜間にも使うことが可能です。
緊急時の非常用電源として使える

蓄電池があることで、停電などで電力供給が途絶えても、時間帯や天気にかかわらず電気を使うことが可能です。太陽光発電のみを導入している場合は、日光が当たる晴れた日中しか発電できないため、日没後や悪天候のときは電力を使えません。
ダブル発電であれば、日中に電力を自家消費しながら蓄電池に余剰電力を蓄えられるため、夜間に電気を使うことも可能なのです。
蓄電池には、前もって設定した部屋や電化製品に電力を供給する「特定負荷型」と、家全体に電力を供給する「全負荷型」の2種類があります。全負荷型のほうが利便性は高いものの、導入費用が高い傾向にあります。蓄電池をこれから導入する方は、蓄電池の種類も踏まえて検討しましょう。
太陽光発電の発電量が少ないときの買電量を抑えられる

太陽光発電は夜間や天候が悪いときに、発電量が少なくなります。発電量が少ないときに蓄電池にためた電力を使うことで、電力会社からの買電量を抑えることが可能です。
特に、夜間の電気代が安い料金メニューを契約している方は、日中の電気代が高いため、蓄電池とセットのダブル発電で電気代を節約できる可能性が高まります。
また、夜間の安い時間帯に蓄電池に電力を蓄えておき、日中の高い時間帯に蓄電池の電力を利用するといった使い方も可能です。
蓄電と売電の切り替えができる

蓄電池には、売電を優先するモードと蓄電池の充電を優先するモードが搭載されています。
オムロンは3つ、シャープは6つ、京セラは5つです。
オムロン
タイプ | 特長 |
---|---|
経済モード | 太陽光発電の売電を優先するモード |
安心モード | 停電や災害に備えて、常に一定の充電量を残しておくモード |
グリーンモード | 太陽光発電での蓄電池充電を優先するモード |
シャープ
タイプ | 特長 |
---|---|
経済性モード(自動) | 夜間に充電を行い、夜間以外の買電中に放電するモード |
経済性モード(時刻指定) | 夜間以外で放電開始時刻を設定するモード |
クリーンモード(夜間充電なし) | 太陽光発電の余剰電力で充電を行い、買電中に放電するモード |
クリーンモード(夜間充電あり) | 太陽光発電の余剰電力または夜間に充電を行い、夜間以外の買電中に放電するモード |
充電モード | 太陽光発電での蓄電池充電を優先するモード |
ECHONET Lite機器専用モード | ECHONET Lite 対応機器から充電・放電の制御を受け付けるモード(手動での切り替えは不可) |
京セラ
タイプ | 特長 |
---|---|
自家消費モード | 太陽光発電システムで発電した電気を日中に家庭内で使用して、高い単価での買電を抑えるモード |
売電優先モード | 昼間に太陽光発電システムで発電した電力を売電するモード |
おまかせ運転モード | 状況に応じて売電や充電を自動で制御するモード |
強制充電モード | 充電を優先して蓄電池の電力で台風などの災害に備えるモード |
非常時運転モード | 停電時に太陽光発電と蓄電池のシステムが連携し、家庭内の非常用コンセントまたは家庭内全体に電気を供給する運転モード |
蓄電池の種類により使用できるモードの有無が異なります。リモコン画面やHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の画面で切り替えが可能です。
蓄電池と太陽光発電のデメリット

蓄電池と太陽光発電を設置する際は、以下の3点に注意が必要です。
- 設置スペースが必要
- 導入費用がかかる
- 寿命がある
蓄電池は地上にコンクリート基礎で設置するのが一般的です。設置スペースが必要なため、事前に設置場所を検討しておきましょう。
また、導入時の初期費用も考慮する必要があります。太陽光発電の容量によりますが、機器本体と工事費をあわせて200〜400万円と考えておきましょう。太陽光発電の設置費用は、1kWあたり20~40万円程度が相場です。
さらに、将来的に設備の交換が必要になる点も踏まえて導入しましょう。
蓄電池×太陽光発電の電力を売電する際の注意点
蓄電池と太陽光発電のダブル発電で作った電力を売電する際の注意点は、以下の4つです。
- 放電中は買電が発生する
- 卒FIT後の買取単価が電力会社によって異なる
- ダブル発電に対応していない蓄電池は押し上げ効果がない
- 蓄電池の充電時間は商品によって異なる
それぞれの注意点について詳しく紹介します。
放電中は買電が発生する

蓄電池から送電線への電力の逆潮流を防止するために、蓄電池の放電中には常に少量の買電が発生します。常に0.1kW前後買電しており、不足分が蓄電池からの放電でまかなわれる仕組みです。
蓄電池の種類によっては、充電した電力を売電できないタイプもあるため注意しましょう。
卒FIT後の買取単価が電力会社によって異なる


太陽光発電を今後導入する場合、卒FIT後の買取単価が電力会社によって異なります。
FIT認定とは、電力会社が一定期間、一定価格で電力の買い取りを認めてもらうことです。例えば2024年度にFIT認定を取得し太陽光発電を設置した場合、2034年度までの10年間、1kWhあたり16円で買い取ってもらえます。
卒FITとは、FIT制度の買取期間が満了することです。FIT終了後は大幅な売電収入減が予想されます。2010〜2024年の買取価格の推移は以下のとおりです。

参考:資源エネルギー庁「過去の買取価格・期間等(2012年度~2023年度)」
急な売電収入減にあせらないために、契約している電力会社に、卒FIT後の買取価格を確認しておきましょう。
東京ガスでは、卒FIT後のご家庭に向けた3つのプランを用意しています。特に、卒FITを機に蓄電池システムを導入しようと考えている方には、FIT期間中よりも魅力的な価格で余剰電力を買い取ってもらえるプランもありますので、ぜひ検討してみてください。
ダブル発電に対応していない蓄電池は押し上げ効果がない

蓄電池のなかには、押し上げ効果のないものがあります。シングル発電対応の蓄電池は、蓄えられている分の電力は売電に回さないため押し上げ効果がありません。
押し上げ効果がないものは太陽光発電の電力しか売電できないため、売電量を増やす効果が期待できません。蓄電池の中には、シングル発電とダブル発電を切り替えできるタイプもあるため、購入前に検討が必要です。
蓄電池の充電時間は商品によって異なる

蓄電池の充電時間の目安は、下表のとおりです。
蓄電容量 | 充電時間 |
---|---|
4.2kWh | 約3時間 |
9.8kWh | 約6時間 |
12kWh | 約8時間 |
蓄電池は、基本的に1時間あたり約1.5kWh〜2.0kWh充電できます。急速型であれば1時間あたり約4.0kWh充電することが可能です。ただし上記の表はあくまでも目安で、実際の充電時間は商品によって異なります。入力電力を確認して、希望の速度の蓄電池を選びましょう。
充電時間は「蓄電容量÷入力電力=充電時間」で求められます。つまり、蓄電容量が大きいとフル充電できるまでの時間がかかり、入力電力が大きいほど充電時間が短くなります。
蓄電池は東京ガスにおまかせ!

蓄電池の導入には、お住まいの地域ごとの補助金を活用することで初期費用を抑えられます。
たとえば、東京都内の戸建住宅に蓄電池(9.9kWh)を設置した場合、東京都から118.8万円の補助金を受領できます注1, 2)。
東京ガスの専門スタッフが対応いたしますので、まずはお気軽に資料請求や無料訪問相談をお申し込みください。
注1) 補助金の正式名称は東京都の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」です。補助金には受給条件・予算枠があり、支給されない場合や上限金額での支給がされない場合があります。
注2) 本内容は東京都の2025年2月19日報道発表資料を基に試算したものです。詳しくはこちらをご参照ください。令和7年度の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」の補助メニューは、令和7年第一回都議会定例会で予算案が可決・成立した場合に確定します。令和7年度の要綱は未確定のため、令和7年度の要綱の基準、条件に従って算定した場合には金額が異なることがあります。
東京ガスが選ばれる「3つの安心」
安心1. ご自宅にピッタリのプランのご提案
東京ガスでは、様々な種類の蓄電池を取り扱っています。ご家庭の電気利用状況などをヒアリングしたうえで、最適な蓄電池をおすすめいたします。気になる導入効果のシミュレーションも、おまかせください。
安心2. 補助金申請もサポート
提携店では補助金申請注3) の手続きも全力サポート。申請の複雑な手順も、経験豊富なスタッフがわかりやすくご案内いたします。
注3) 補助金の制度・手続きによりお客さまにご対応いただく場合やご支援できない場合がございます。
安心3. 万が一の故障に備える、保証制度が充実
設置した太陽光発電に不具合や故障があった場合は、東京ガスの専門スタッフが責任をもって対応します。また、メーカーによる長期保証制度があり、保証期間内であれば無償での交換対応が可能です。注4)
注4) 保証期間は10~15年、保証期間や内容はメーカーによって異なります。故意による故障など、交換対応範囲外となる場合がございます。火災、風水害、地震、落雷、台風、噴火、津波などの天災地変に起因する損害、飛来物や盗難による損害などは保証対象外です。
まとめ
東京ガスでは、電気代節約や停電対策をお考えの方へ、ご家庭にあった蓄電池をご提案します。以下は東京ガスでおすすめしている蓄電池の一例です。
メーカー | オムロン | 京セラ | シャープ |
---|---|---|---|
主な機種 | 型式:KP-BU98B-S | 型式:EGS-LM0550 | 型式:JH-WBPDA650 |
ご相談は無料で受け付けております。蓄電池の導入を検討されている方は、ぜひお気軽に東京ガスにご相談ください。