太陽光

太陽光発電システムの仕組みや知っておくべき知識をわかりやすく解説

SDGsの観点からも、クリーンエネルギーとして改めて注目されている太陽光発電。大規模施設だけでなく、一般住宅や商業ビルなどで目にする機会も増えています。身近なものになってきた太陽光発電ですが、その仕組みやメリットなど、あまり知られていない部分も少なくありません。この記事では、太陽光発電の基本的な仕組みを説明するとともに、その長所まで分かりやすく解説します。

最終更新日:2024年09月30日公開日:2024年04月10日

目 次

太陽光発電の仕組み

太陽の光からどうして電気が生まれるのか、その仕組みを正確に説明できる人はそれほど多くないのではないでしょうか。どんな機器が必要で、どのように電気を生みしているのかといった太陽光発電の仕組みや機器の構造の説明とともに、実際にどれくらいの電気が生み出せるのかといった基礎知識を押さえましょう。

太陽光発電に必要な機器の構成

太陽光発電というと、屋根の上に設置された黒色や青色などのパネル状のものを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、太陽光発電にはパネル以外にも必要な機器がいくつかあります。太陽光発電に必要な機器とその概要を説明します。

  • 太陽電池モジュール
    多くの人が太陽光発電の装置としてイメージするパネルのことです。太陽電池モジュールの他にもさまざまな呼び名があり、ソーラーパネルや太陽光発電パネルなどとも呼ばれます。

    パネルの内部には、太陽光から電気を発生させるための半導体が入っています。
    この半導体にも種類がありシリコン系や化合物系などがあります。シリコン系は太陽光発電でもっとも一般的な半導体として知られています。化合物系は次世代太陽電池材料としても注目されており、高温時の出力ロスが比較的抑えられているのが特長です。

  • パワーコンディショナ
    太陽光で発電して得られた電気を、家庭内の電気製品などで使用できるようにするための「変換装置」です。

    太陽光で発電される電気は、電流や電圧が変化しない「直流」という流れ方をしています。一方、実際に私たちが家庭内で使用するのは、電流や電圧が周期的に変化している「交流」です。そのため、直流を交流に変換するための装置が必要になります。
    パワーコンディショナは、太陽光発電で得られた電気を使用できる電気にするという重要な役割を担っています。

  • 分電盤
    名前の通り、電気を分けるための機器で、パワーコンディショナで変換された交流の電気を家屋内の各コンセントまで届けます。
    また、電力会社と売電・買電する際も、分電盤を介して電気のやりとりをします。

  • 架台
    太陽電池モジュールを設置するための台で、パネルが太陽光を効果的に受けられるように設置します。

  • 発電モニター
    発電量や売電の状況、家庭内で電力がどのくらい使われているかなど、システムの状況を確認できるモニターです。

  • 接続ユニット(接続箱)
    太陽電池モジュールからの配線をまとめてパワーコンディショナに送るための装置ですが、接続ユニットの機能はパワーコンディショナに内蔵されていることもあります。

太陽光を電気に変える仕組み

太陽光発電システムは、太陽の光が半導体に当たると半導体内部の電子が動き出すという特性を利用しています。

太陽光発電システムに用いられる半導体は、太陽光を受ける表側に「n型半導体」、裏側に「p型半導体」というものが貼り合わされています。
その接合面に太陽光が当たると電子(-)と正孔(+)が発生し、電子は表面に、正孔は裏面に引き寄せられるようになります。この時、表面と裏面を電線でつなぐと、表面(+)から裏面(-)へと電流が流れ、エネルギーを取り出すことができるのです。

シリコン系半導体の太陽光発電のイメージ

太陽光発電のイメージ

実はこの仕組みは乾電池と似ています。乾電池の両電極から電線をつなぐと豆電球が点灯するように、太陽電池モジュールの電極から電線をつなぐことで電気が流れると考えてください。

太陽光で作ることができる電気の量

太陽光で作ることができる電気の量は、発電容量のほか、設置場所や季節、天候などさまざまな要因で変動します。目安として、発電容量1kWあたり年間約1,000kWhの発電量と考えた場合、4~5kWの容量の太陽電池モジュールを設置すれば、一般家庭の平均年間電力消費量4,716kWhはだいたいまかなえるという計算になります。

ただし、発電容量が大きくなるほど設置面積も大きくなることも考慮しなければなりません。例えば、容量4kWなら25~40㎡の面積が必要です。

参考:太陽光発電協会「表示ガイドライン(2023 年度)」

太陽光発電の5つの長所

太陽光発電の長所

太陽光発電の代表的な長所について説明します。

1. 環境にやさしい

太陽光発電の最大の特長として、非常にクリーンなエネルギーであることが挙げられます。

太陽光発電で年間1,000kWhの電力を得るために排出する二酸化炭素(CO2)は約17~48g/kWhです。火力発電では約690g/kWhを排出するといわれるため、違いは圧倒的です。

また、火力発電のように、発電時に二酸化炭素や硫黄酸化物、窒素酸化物など大気を汚染してしまう物質を発生させることがなく、原子力発電に比べると災害時のリスクも低いといえます。

加えて、太陽光発電システムは耐用年数が長く、使用を終えても構成材料の大部分がリサイクルできることも環境にやさしいと言われる理由です。

参考:クール・ネット東京「太陽光発電システム(太陽光発電システムとは)」

2. 故障しにくい

一般に、可動部分が多いものは、そのぶん故障や劣化が進みやすい傾向があります。その点、太陽光発電システムは可動部分が少ないため、家電などと比べても長寿命といわれています。

また、太陽電池モジュールに使用されている半導体は半永久的に発電し続けます。ただし、パネルをつなぐ電線やフレームなどは経年劣化や故障する場合もあるので、推奨時期に定期メンテナンスを受けて、永く使いましょう。

3. 災害時も安心

災害などで停電が起きたとき、太陽光発電システムは非常用電源として活躍してくれます。

停電時に「自立運転」というモードに切り替えることで、発電した電力を家庭内の非常用コンセントで使用できるようになります。

ただし、太陽光発電のみで蓄電池を使っていない場合は、発電した電力を蓄えておくことができないため、日が出ている間で発電した量の電力しか使えない点には注意しましょう。

蓄電池とは、太陽光発電で作り出した電気をためておくことができる装置を指します。
夜間に起こる停電や、数日にわたって停電するような災害に備えるには蓄電池も合わせて導入することをおすすめします。
また、夜間や停電時でなくとも、悪天候で十分な太陽光が得られない時にも蓄えた電気を使えるので安心です。

4. 発電して余った電力を売電できる

自家発電した電力で余った分は、電力会社に売却(売電)することができます。
家庭内では使い切れなかった電力を無駄にすることなく、収入に変えることができるのは魅力です。

5. 蓄電池と併用できる

太陽光発電は、エネルギー源である太陽が出ていない間は発電することができません。そのため使用電力をまかなえないときは電力会社から電気を買う(買電)することになりますが、蓄電池を併用して電気料金を節約している家庭も少なくありません。

日照時間が減ってしまう梅雨時や、日暮れ以降の夜間などには、蓄電池から電気を供給することで電力会社から買う電力を減らすことができます。

太陽光発電の短所

太陽光発電の費用

多くのメリットがある太陽光発電ですが、導入を決める前に知っておくべき短所もあります。
例えば、設置に向いていない環境があること、初期費用が高額なこと、発電で得られる電力が日照時間などに左右されることなどです。

設置を希望する屋根が北向きであったり、小さかったり、陸屋根や特殊な屋根材の場合は、太陽光発電システムを取り入れるメリットが少ないかもしれません。

そして、設置面積などによって異なりますが、一般住宅で太陽光発電システムを設置した場合、設備費用と工事費用を合わせて発電容量1kWあたり20~40万円程度かかります。
初期費用については、電力会社から買電せずに自家発電することでの電気代の節約や、余剰分は売電できるため、長期的な観点では回収できる可能性もあります。

また、お住まいの地域によっては自治体の補助金が設けられており、初期費用を軽減できる場合もあるので、利用できるかどうか調べてみましょう。

まとめ

太陽光発電の仕組みを知ることで、その長所や短所の理解が進み、納得のいく選択ができるようになるでしょう。くらしに豊かさと安心感を与えてくれるクリーンエネルギー、太陽光を取り入れてみてはいかがでしょうか。

東京ガスでは太陽光発電のプロが無料相談を受け付けており、お客さまに納得して太陽光発電システムを導入できるようにサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • この記事の監修者

    東京ガスの太陽光発電サービス コラム編集チーム

    太陽光発電・蓄電池の仕組み、メリットから設置、メンテナンスなど幅広いトピックを解説します。みなさまの太陽光発電・蓄電池選びに役立つ情報を発信していきますのでぜひご活用ください!