この記事でわかること
- パワーコンディショナの役割がわかる!
- パワーコンディショナの寿命や主な故障の原因がわかる!
- パワーコンディショナを選ぶ際のポイントがわかる!
パワーコンディショナとは?

パワーコンディショナとは、太陽光発電システムを構成する機器のひとつです。太陽光パネルで作った電気を、家庭やオフィスで使用できる電気に変換する役割を持ちます。
電気には「交流」と「直流」の2つの種類があります。交流の電気は、普段電力会社から購入している電気で、一般的な電化製品はこちらに対応しています。一方、直流の電気は太陽光発電で作られる電気ですが、こちらは電化製品に使うことができません。
パワーコンディショナは、電化製品で使えない直流の電気を、使うことのできる交流の電気に変換する装置です。これを設置することで、太陽光発電の電気を、普段の生活で利用できるようになります。
パワーコンディショナ(パワコン)の役割
パワーコンディショナの役割としては、「太陽光発電システムの発電量を最大化する」と「売電する電気の電圧を調整する」と「トラブル時に系統を保護する」と「停電時に自立運転するパワコンもある」の4つが挙げられます。
太陽光発電システムの発電量を最大化する

太陽光発電は、時期や天候、日照時間によって発電量が変わります。特に曇りの場合は、電圧と電流の変動が大きくなり発電量が安定しないため、想定した電力が得られなくなります。天候に左右されずに発電量を最大化する機能がMPPT(最大電力点追従制御)です。
MPPT(最大電力点追従制御)は、天候によって変化する電圧と電流から、発電量が最大になる電圧と電流の組み合わせを自動調節して発電量を維持できるようにする働きがあります。
売電する電気の電圧を調整する

パワーコンディショナは、電圧状況に合わせて売電する電気の電圧を調整する逆潮流制御機能があります。電気は電圧の高い方から低い方へ流れる特性があります。そのため、太陽光パネルで発電した電気を送電して売電するには、高い電圧に調整しなければなりません。このような電圧調整の役割をパワーコンディショナが担っています。異常が発生した場合は、パワーコンディショナが出力を遮断し、自宅の家電製品や電気系統を守って事故を防止します。
トラブル時に系統を保護する

パワーコンディショナには、系統側や自家設備側に異常が発生した場合に、保護するためにつながりを遮断する系統連系保護機能があります。売電するには、自宅と外の電線をつなぐ系統連系が必要です。トラブルが発生した際は、まわりに影響を及ぼす可能性があるため、出力を遮断して太陽光発電システムを電気系統から切り離す必要があります。異常が発生すると、パワーコンディショナが出力を遮断して自宅の家電製品や電気系統を守って事故を防ぎます。
停電時に自立運転するパワコンもある

パワーコンディショナには、停電により電力会社からの電力供給が停止した際に、自動や手動で太陽光発電や蓄電池からの電気に切り替える自立運転機能があります。自立運転機能が搭載されているパワーコンディショナは、1,500W程度の電力を使えるように設計されています。そのため、冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器やパソコンなどの小型家電は、1,500Wを超えない範囲で同時に複数の台数を使用可能です。
パワーコンディショナ(パワコン)の寿命はどのくらい?

パワーコンディショナの寿命は、一般的に10〜15年程度とされています。太陽光パネルの寿命は25~30年程度なので、通常はパワーコンディショナのほうが先に寿命を迎えることになるでしょう。
パワーコンディショナは、経年劣化が進むと故障や性能低下が起こりやすくなります。設置から10年以上経過したら、必要に応じて修理や部品交換などを実施してください。
また、パワーコンディショナの不具合を早期に検知するためには、日常点検、定期点検が大切です。
日常点検は月1回程度が理想です。異常を示すランプが点灯していないか、エラーコードが出ていないかを確認したり、通風口に付着した汚れやほこりを取り除いたりします。詳細な方法は、メーカーのホームページや機器の取扱説明書をご確認ください。
定期点検は4年に1回以上を目安に、専門業者に行ってもらいましょう。
パワーコンディショナ(パワコン)の主な故障の原因

パワーコンディショナの主な故障原因としては、「経年劣化」と「天候」の2つが挙げられます。
経年劣化
パワーコンディショナは、発電開始から10年間が経過すると、急激に性能が劣化するといわれます。パワーコンディショナはコンデンサー、フィルタ、冷却ファンなど多くの部品が使われており、長期的な使用によりそれらの性能が劣化していきます。
経年劣化による故障を防ぐためには、定期的な点検で劣化の兆候を早期に発見し、対処することが大切です。経年劣化の速度はパワーコンディショナの設置環境によっても異なります。日々の発電量なども参考にして、劣化が早いと感じる時などは専門業者に相談してみましょう。
天候
パワーコンディショナの故障原因の多くは経年劣化ですが、天候によって故障することもあります。代表的なのが、落雷によって故障するケースです。
太陽光発電システムに直接雷が落ちる場合だけでなく、近隣に落雷した場合でも影響を受ける場合があります。パワーコンディショナには落雷などによる過電流や過電圧から機器を保護するための機構が備わっていますが、それでも許容量を超えた負荷がかかった場合は、故障してしまう可能性があります。
パワーコンディショナ(パワコン)が故障したときに起こる症状
パワーコンディショナ(パワコン)が故障したときに起こる症状は、以下の通りです。
- 発電量が落ちる
- エラーコードが表示される
- 表示が消える
- モーターなどの異音が出る
- 定期的に運転停止が起きる
発電量が落ちているようなら、パワーコンディショナ(パワコン)の故障が考えられます。発電量が表示されているところに英数字のエラーコードが表示されたり、表示が消えていたりする場合も故障の可能性が高いです。また、モーターなどの異音や定期的に運転停止がおきるような場合がないか確認しましょう。
パワーコンディショナ(パワコン)の故障時の対処方法

パワーコンディショナ(パワコン)の故障時の対処方法には、修理と交換があります。
こちらでは、それぞれのメリット・デメリットと費用の目安を紹介します。
修理のメリット・デメリットと費用の目安
修理のメリットやデメリット、費用の目安は以下の通りです。
メリット | デメリット |
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調査と修理にかかる費用の目安は15万〜40万円ほどです。修理するかどうかは、機器保証書やメーカーに確認して検討した方が良いでしょう。
交換のメリット・デメリットと費用の目安
交換のメリットやデメリット、費用の目安は以下の通りです。
メリット | デメリット |
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パワコンの交換費用は部品購入や施工代を含めて30~40万円程度です。比較的費用がかかるとはいえ、大幅に性能が上がることが期待できるだけでなく、経年劣化による故障のリスクが軽減します。
パワーコンディショナ(パワコン)を選ぶ際のポイント
パワーコンディショナを選ぶ際は、どのようなポイントがあるでしょうか。
こちらでは、選ぶポイントを紹介します。
東京ガスでは、パワーコンディショナの選び方の相談も受け付けています。パワーコンディショナの選び方がわからない方は、ご相談ください。
変換効率
パワーコンディショナの変換効率は、直流の交流の電気に変換するエネルギー効率の良さを表します。電気は変換する際にどうしても損失が発生するため、変換効率は100%ではなく、およそ95%〜98%といわれています。変換効率が高いパワーコンディショナほど、発電したエネルギーを有効的に活用していることになるのです。
最大定格出力

パワーコンディショナの最大定格出力は、出力できる最大電力値を表します。パワーコンディショナの最大定格出力を超えた分の電力は変換できません。そのため、太陽光モジュールがパワーコンディショナの最大定格出力を超えると、超えた分の電力は変換できずに無駄になってしまいます。
価格
パワーコンディショナの価格は、定格出力(容量)、性能、メーカーなどによって大きく異なります。
経済産業省の資料によれば、太陽光発電システムの導入費用は発電容量1kWあたり26.1万円で、そのうちパワーコンディショナが占める設備費用は4.2万円となっています。発電容量3~5kW程度の太陽光発電システムの場合、パワーコンディショナの費用相場は12.6万~21.0万円程度といえるでしょう。
ただし、先述のとおり製品ごとに価格は大きく異なるため、定格出力3~5kWのパワーコンディショナであっても、30万~50万円台の製品も実際に販売されています。
価格の比較をする際には、単にパワーコンディショナ本体の価格だけでなく、設置工事費や将来の交換費用も考慮に入れることが大切です。太陽光発電システムは長期にわたって運用するため、パワーコンディショナも保守・メンテナンスコストや、部品交換費用なども含めた、長期的な視点で選択することが求められます。
特に、本体価格が安価なモデルの場合は、メーカーの実績や信頼性、変換効率、保証条件などをしっかり調べた上で比較検討しましょう。
タイプ:単機能/ハイブリッド/トライブリッド
タイプは、主に太陽光発電システムと蓄電池の併用を検討している方が、パワーコンディショナを選ぶ際に重要となるポイントです。
パワーコンディショナには、「単機能」「ハイブリッド」「トライブリッド」といったタイプがあります。ニーズに合うタイプを選択しましょう。
以下にそれぞれの特長をまとめてみました。
タイプ | メリット | デメリット |
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単機能 |
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ハイブリッド |
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トライブリッド |
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- 単機能タイプ
太陽光発電においては、太陽光パネルで発電した直流電力を交流電力に変換する機能に特化したパワーコンディショナのことをいいます。太陽光発電システムのみであれば、単機能タイプのパワーコンディショナで機能的には十分です。比較的安価なため、太陽光発電システムの初期費用を抑えたい方には魅力的な選択肢でしょう。
一方で、単機能タイプの場合、1台で太陽光発電システムと蓄電池の両方と連携することはできません。それぞれと連携するためのパワーコンディショナが必要となるため、2台のパワーコンディショナを使用する必要があります。
ただ、太陽光発電システムや蓄電池それぞれに適したパワーコンディショナを選択できるため、機器間の相性を気にすることが少ない、といったメリットもあります。 - ハイブリッドタイプ
1台で太陽光発電と蓄電池の両方と接続できるタイプです。パワーコンディショナが1台で済むため、太陽光発電と蓄電池のシステム全体をコンパクトに構成できる点がメリットです。また機器の数が少なくなり、機器同士の電気交換も少なくなるため、変換過程などで発生する電力ロスも抑えることができます。
ただし、後から蓄電池を導入するケースなどでは、ハイブリッドタイプのパワーコンディショナと相性のよい蓄電池を選ばないと、思うような性能を発揮できない場合があります。また、蓄電池の後付けにより、保証条件から外れてしまうことも考えられます。
蓄電池の後付けを考えている方は、プロに相談をしながら、計画的にパワーコンディショナを選ぶことが大切です。 - トライブリッドタイプ
トライブリッドタイプなら、太陽光発電、蓄電池、追加の発電源(例えばEV)と統合的に制御することができます。さまざまな発電源の組み合わせにより、より高いエネルギー効率と安定性を目指す場合は、このタイプを選択するとよいでしょう。
設置場所:屋内/屋外
パワーコンディショナには、屋内設置型と屋外設置型があります。
東京ガスでは屋内設置型と屋外設置型の両方を取り扱っていますが、天候の影響を受けず長持ちしやすい点、ブレーカーの近くに設置でき送電時のロスを防ぎやすい点などから、基本的には屋内設置型のパワーコンディショナを推奨しています。また、屋内設置型には機器本体の「自立運転コンセント」を利用できる点もメリットのひとつです。
自立運転コンセントとは、災害などによる停電時に、太陽光発電システムや蓄電池の電源を利用できるようにするコンセントのこと。屋内設置型のパワーコンディショナは本体から利用できますが、屋外設置型の場合は屋内のどこかに自立運転コンセントの設置工事が必要となります。
サイズ
パワーコンディショナのサイズも、価格と同様に定格出力(容量)や性能、メーカーなどによって異なります。ただ、基本的にパワーコンディショナのサイズは、定格出力と比例すると考えてよいでしょう。パワーコンディショナには通風口などがあるため、周囲にスペースを確保しておくことが必要です。屋内設置型を検討する際は、設置スペースに対して適切なサイズの製品を選ぶことがポイントです。
まとめ
パワーコンディショナは、太陽光パネルから送られる直流電力を家庭やビルで使用できる交流電力に変換する重要な装置であり、過電流や過電圧から太陽光発電システムを守る役割も果たします。
太陽光発電システムを長期にわたり安全に運用するためには、パワーコンディショナについて理解し、トラブルに備えることが大切です。
クリーンエネルギーを生み出す太陽光発電システムは、今後ますます重要性を増していきます。この機会に、太陽光発電システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。