トイレの床から水漏れしている時の応急処置
トイレで起こるトラブルの中でも、水漏れは非常にやっかいな症状です。水漏れが発生する理由はさまざまあり、何が原因になっているかを特定するにも骨が折れます。長時間にわたって放置していると、床に水が溜まってしまったり、床材に大きなダメージが残ったりするため注意しなければなりません。何日もそのままにした場合、床が湿気ってしまう他、カビの発生にもつながるため、早期の対応が必要です。ここではトイレの床に水漏れがあった場合の応急処置について解説します。
1. 止水栓(止水バルブ)を閉める
トイレの床に水漏れが確認できた際は、まずは止水栓を閉めて、今以上に水漏れの量が増えないようにしましょう。止水栓は、トイレのタンク脇や便器の裏に設置されていることがほとんどです。マイナスドライバーで閉めるタイプとハンドルタイプがありますが、いずれの場合も時計回りで回すことで閉めることができます。
その際、どれぐらい回したかを覚えておくと良いでしょう。開栓する際に同じ回数だけ反時計回りに回すことで以前と同じだけの水量に戻せます。もし止水栓の位置が分からない場合は、家の水道の元栓から閉めてしまえば水漏れを止めることができます。元栓は、水道メーターの脇に設置されているのが一般的なため、普段から位置を確認しておけば、万一の際にも安心です。
2. 床をぞうきんで拭く
止水栓を閉めた後は、水がどこから漏れているのかを確認するためにも、漏れた水をぞうきんなどで拭き取りましょう。使い古した大きめのタオルがあれば最適です。拭き取った箇所が著しく湿っていたり、水分を含んで床材が膨張したりするなどのダメージを受けている場合は、ドライヤーを使って乾燥させてください。
窓を開けて換気を良くするなどして、湿気がトイレ内に留まらないようにしておくとさらに良いでしょう。もし、水漏れが汚水だった場合は、アルコールなどで除菌対策も行います。トイレ掃除用の使い捨て除菌シートがあれば手軽に除菌できるのでおすすめです。
3. 床を拭き取ったら乾いたぞうきんを敷き詰めておく
床の水を拭き取った後は乾いたぞうきんやタオルを敷き詰めておけば、床へのダメージを抑えられる場合があります。後述で詳しく説明しますが、結露などが原因の場合は、換気効率が改善されるまで継続して水滴が発生するため、対策しておくのが無難です。
トイレの床の水漏れ対処法
トイレの床に水漏れが確認できた際、原因を特定するには2つのポイントを見極める必要があります。1つは、便器本体や便器と床の境目から水漏れが発生しているかどうか。もう1つは、結露が原因で床に水濡れが発生している可能性です。便器と床の境目から水漏れが発生している場合は、便器と配管をつなぐ部分に何かしらの不具合が発生していることが考えられます。
場合によっては床材を剥がして修理する必要がある他、漏れた水による被害が拡大する可能性も高いため注意が必要です。一方、結露によって床に水が濡れている場合は、換気をしっかりと行うなどの対策で対処できるトラブルです。
便器と床の境目から水漏れ
便器と床の境目からの水漏れが確認できる場合は、便器本体に原因があることや排水管との接続部分に原因があることが疑われます。具体的には、便器の亀裂や、排水管の接続部分に使用しているパーツの劣化、変形です。非常に稀なケースですが、床下の配管から排水が溢れている可能性もあり、この場合は床材を剥がして原因を特定して修理対応するなど、大掛かりな作業が必要です。
結露
結露による水分が床に溜まっている場合は、故障ではありません。梅雨の時期やトイレ内で暖房器具を使用している時などに、便器内やタンク内の水温と室温との温度差で結露が生じて、水が床に滴り落ちてしまうことが原因です。修理対応は必要ありませんが、何かしらの対策を取っておくのが良いでしょう。
結露が起こりやすいトイレはカビが繁殖してしまう他、壁紙やクロスの剥がれなどが起こりやすくなる傾向があります。換気効率を改善するなど、湿気が溜まらないような工夫を考えてみてください。
床からの水漏れが確認できなかった場合に見るポイントと対処法
床から水が漏れているのではなく、床が水浸しになっている場合、その原因を特定するポイントについて紹介します。床下を通っている排水管に原因があり、床から水が漏れてくるケースもありますが、可能性としてはそれほど高くありません。それよりも、便器本体やトイレタンク、温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)、給水管、パイプ部分で起こるトラブルの方が発生頻度は高い傾向があります。
ここでは主に6つの原因を紹介するので、いずれの場合が当てはまるのか原因を見極める参考にしてみてください。
温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)からの水漏れ
温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)が原因で水漏れが発生することは、よくあるトラブルの1つです。単純な構造の便器やタンクと比べると温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)は複雑な造りになっているため、故障が発生しやすいと言えます。設置から数年が経過している場合に起こりやすいのが、温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)内部のゴム製パッキンが劣化や変形することで起こる水漏れです。
他にも給水フィルター、水抜き栓といったパーツ部分の劣化や変形が原因で水漏れが起こる可能性も高いです。こうした部品の劣化や変形が原因の場合は、洗浄したり、お使いの温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)の型式番号からパーツを特定して交換したりすることで症状を改善できます。
一方で、温水タンクやノズル部分などの故障が原因の場合は、ユニットごとの交換が必要になり、複雑な分解修理が伴うため、ご自分での対応は難しくなります。
温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)はトイレ内部に電子基板が搭載されていたり、電源と接続されていたりするため、メーカーでしか修理対応ができない場合が多いです。無理に分解などをしようとすると、メーカー保証が適用されなくなる恐れもあるため、ご自分で対応しようとはせず、メーカーに相談をするようにしましょう。
トイレタンクや便器からの水漏れ
トイレタンクや便器は水漏れが発生しやすく、原因もさまざまです。ここでは、トイレタンクや便器で水漏れが起こる主な原因を4つ紹介します。
1. トイレタンク内パーツの経年劣化
トイレタンク内部のパーツが経年によって劣化・変形していることが考えられます。トイレタンクの内部には、給水と排水を行うためのパーツが複雑に配置されていますが、常に水に浸かった状態であるため、劣化のスピードが早いことが弱点です。特にゴム製のパーツは経年劣化が避けられないため、耐用年数を超えた場合には、取り替え用のパーツを用意して交換する必要があります。
また、各パーツの接合部分のナットのゆるみが原因のケースもあります。トイレタンクから水が排水される際の振動や水圧によって徐々にナットがゆるみ、接合部分から水漏れが発生してしまうことが主な原因です。その場合は、ナットの締め直し・締め増しによって症状の改善が図れます。
2. 衝撃による陶器破損(ひび割れ)
便器やトイレタンクの多くは陶器で作られているため、強い衝撃には弱く、何かがぶつかったはずみで亀裂やひび割れが生じやすいです。破損してしまうと、破損箇所から便器内の水が漏れるため、便器に亀裂や破損がないかを目視で確認してみてください。
トイレタンクが破損してしまった際の対処方法としては、基本的にはトイレタンクの交換が必要です。陶器専用の補修材や接着剤での修理方法もありますが、荷重がかかる部分などでは強度不足によって同じ箇所から再び水漏れが起こりやすいため、応急の処置に留まります。
3. タンクと便器の間の大便器パッキンの劣化
トイレタンク底の大便器パッキンが劣化することで、トイレタンクと便器の設置部分から水漏れが発生します。大便器パッキンを交換するには、トイレタンクを取り外す必要があります。トイレタンクは重量があり、両手でしっかり持ち上げないと落として割ってしまうかもしれません。破損すると高額な修理費用が必要になりますので、ご自分で対処せず、修理を依頼するのがおすすめです。
4. 便器と排水管のフランジからの漏水
便器と床の隙間から水漏れが起きている時は、便器を床に固定するフランジの接着剤パテが劣化していることが原因です。フランジの接着剤パテを交換すれば直せますが、修理するには便器とトイレタンクを移動させなければいけません。便器とトイレタンクを同時に移動させるにはかなりの力が必要です。ご自分で行うと破損の原因にもなりますので、修理対応をしてもらいましょう。
給水パイプからの水漏れ
トイレタンクに給水している配管やパイプからの水漏れも、起こりがちなトラブルです。接合部分のゴム製パッキンの劣化やナットのゆるみが生じることで水漏れが発生します。
接合部のナットのゆるみであれば、締め直しや締め増しで水漏れを止めることができます。ゴム製パッキンの劣化の場合も、交換で対応可能です。ゴム製パッキンなどは、ホームセンターでも入手できる場合があります。
フラッシュバルブからの水漏れ
タンク内に溜めた水の勢いで洗浄するタンク式トイレとは違い、タンクを使わずに「フラッシュバルブ」という構造を用いて水流を生み出して洗浄するトイレがあります。フラッシュバルブ式トイレの場合、このフラッシュバルブ部分から水漏れが発生することがあります。
フラッシュバルブの内部には、水圧によって上下運動するピストンの役割を担うバルブがあり、水道管からの水を流す構造になっています。通常であれば水を流し終わった後、バルブが下へ押し下げられて自動で給水が止まりますが、この部分に不具合が発生して水漏れを起こすことがあります。この不具合が原因の場合は、フラッシュバルブの交換を行うため、修理を依頼しなければなりません。
排水管(床上排水の場合)からの水漏れ
汚水が通る排水管からの水漏れも起こりやすいトラブルです。一般的に排水管は非常に丈夫な造りになっていますが、経年劣化によるサビや亀裂が起こると、水漏れが発生します。その他には、通常の使い方をしていても、徐々に接合部がゆるんでしまったり、配管がズレたりすることで、配管同士の間にすき間ができて水が漏れてしまいます。さらに異物が詰まって上手く排水できずに水の流れが悪くなることも原因としてあり、早期の修理が必要です。
ご自分で水漏れを対処できるケースと注意点
さまざまな原因が考えられるトイレの水漏れトラブルですが、場合によってはご自分でも修理対応することが可能です。
ゴム製パッキンが劣化している場合
経年劣化等により止水栓のゴム製パッキンが劣化して水漏れの原因となっている場合は、同じ形のパッキンとモンキーレンチ、マイナスドライバーを用意すればご自分で交換することができます。一般的な交換手順は下記のとおりです。
- 水道の元栓を閉め、止水栓の位置をチェック
- 次に、モンキーレンチでナットと止水栓を取り外す
- パッキンを新しいものに交換する
- 先ほど外したナットと止水栓をもとに戻す
- 元栓を開けて水を流し、水漏れが発生していないか確認
ナットのゆるみが原因の場合
ナットがゆるんで水漏れしている場合も、ご自分で対応が可能です。レンチを使って締め直し・締め増しをしてください。注意する点として便器本体やトイレ本体と接合する箇所では、締め付けトルクをかけ過ぎないことです。陶器製の便器やタンクは強度が弱いため、閉め過ぎによって逆に破損させてしまう恐れがあります。適度に締め付けて、水漏れがないようであれば、必要以上に強く締め付けないようにしましょう。
温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)からの水漏れの場合
温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレなど)の水漏れは、フィルターや排水部分のパーツ交換で修理できる可能性があります。ご自分でできる範囲かどうかは、各メーカーの取扱説明書や、メーカーの公式サイトのマニュアルで必ず確認してください。電気系統に関わる部分で起こっている水漏れに関しては、分解修理はしないように気を付けましょう。複雑な造りになっているため、専門知識がないままの修理は危険です。またご自分の判断で分解してしまうことで、メーカーによる修理が受けられなくなることもありますので、十分にご注意ください。
以下の記事でも、応急処置や対処方法などをご紹介していますので、参考にしてみてください。
2024年05月31日
温水洗浄便座(ウォシュレット等)から水漏れ?応急処置や場所別の対処方法
ウォシュレットなどの温水洗浄便座は、日常的に使っていると水漏れを起こすことがあります。水漏れを確認した際は、まず応急処置を取りましょう。放置しているとトイレの床が水浸しになってしまい、後処理が大変になりかねません。 本記事では、温水洗浄便座の水漏れの対処方法を原因別にご紹介します。ご自分で対処するか修理を依頼するか判断する基準についても解説していますので参考にしてください。
トイレ床の交換が必要なケースとは?
トイレ床の水漏れを長期間放置してしまったり、気づかないままでいたりすると、床材に大きなダメージが残ってしまいます。カビが発生する他、床材や床下の構造体が水分によって腐食してしまいかねません。また湿度の高い状態が続くとシロアリ被害が発生する懸念もあり得ます。
トイレの床に多く使われているクッションフロアも水には弱く、ダメージの程度によっては交換も検討しなければなりません。クッションフロアを剥がして、床板素材にまで水の被害が広がっていないかを確認し、問題がなければクッションフロア自体の張り替えを行います。水漏れによる被害以外でも、クッションフロアは剥がれやひび割れが起こりやすいため、早めに交換するのがおすすめです。
うまくいかない時は無理をせず修理を依頼する
DIYでの作業に自信がない場合は、迷わずメーカーや専門業者に依頼するようにしましょう。例えばゴム製パッキンの交換であっても、タンクを取り外してから行わなければならない、といったようなケースもあり得ます。無理に作業をしてタンクや便器本体を傷つけたり破損させたりしてしまうと、余計な修理費用がかかってしまいかねません。
配管の修理に関しても同様です。トイレの修理は誰でも簡単にできるものではなく、強引な作業で便器本体やタンクを破損させてしまったりする可能性があります。また配管にも耐用年数があり、内部が錆びてしまって亀裂が入っていたり、脆くなっていたりする場合は、自力での交換作業は難しいです。ご自分の力ではうまくいかない場合は、無理をせずに修理を依頼するようにしましょう。
修理を依頼する場合のポイント
部品の交換・修理を依頼する際には、水漏れの症状やお使いのトイレのメーカー・種類などの詳細な情報を伝えておくとスムーズに修理作業が進みます。取扱説明書やトイレ本体に刻印されている型番などで確認可能です。
Webでご依頼される場合は、水漏れが起こっている場所やトイレの外観がわかる写真を添付したり、型番やトイレの使用年数なども記載するとよいでしょう。
修理を依頼する場合の作業時間の目安
修理にかかる時間に関しては症状や作業内容によって異なりますが、ボールタップなどの部品交換であれば1時間程度の作業時間で完了するケースが多いです。東京ガスでは、トイレをはじめとした水回りのトラブルに最短で当日の訪問日時から選ぶことができます。お困りの際はぜひ検討ください。
修理を依頼する場合の料金の目安
修理費用は症状や作業内容により異なります。部品や本体の交換をする場合は、部品費と本体代が修理費用に追加で発生し、出張費・作業料金・部品代でトータルの支払い金額が決まります。
便器や温水洗浄便座などは製品グレード、機能によって価格が大きく異なります。
以下、東京ガスの料金を紹介します。
- 各種パッキンの交換 / 9,900円(税込)
- トイレつまりの修理 / 9,900~40,700円(税込)
- タンク内部の部品交換修理 / 9,900円(税込)+部品費
- 便器周りの部品やタンク脱着を伴う部品の交換 / 16,500円(税込)+部品費
注)2024年6月1日現在の情報です。
まとめ
トイレの水漏れトラブル自体は決して珍しいものではありませんが、発見が遅れた場合には、床材の交換が必要になるなど、思わぬ出費が伴うため、注意が必要です。早期に水漏れに気づくためには、日常的な掃除が有効です。トイレを掃除する際に、パイプや床も一緒に拭き掃除することで、水漏れにもすぐに気づけるようになり、被害やダメージが拡大する前に対処できます。
また、梅雨の時期や暖房を使用する季節は換気をしっかりと意識するようにしましょう。便器やタンクに発生する結露を防ぐことでも、トイレの床を保護することができます。定期的な掃除やメンテナンスで、トイレがキレイなままの状態を保ちましょう。
注)「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
注)「シャワートイレ」は株式会社LIXILの登録商標です。