レンジフードとは?
台所やキッチンには、プロペラ型の換気扇やフードで囲まれた換気扇など、必ず1つは換気設備が設置されています。
これは、建築基準法において、ガスコンロなどの加熱機器を使用する場合、必ず換気設備を設けなければならないと定められているからです。
レンジフードは、換気設備の1つで、汚れた空気を吸引して屋外に排気するためのファンと吸気をスムーズにするためのフードを一体化させた機器のことを指します。
コンロの上部にコンロを覆うようにフードを設置するため、調理の臭いや煙、油分を効率よく吸い込み排気することができ、キッチンを汚さず、快適な空間を保つことができます。
スリム型やブーツ型など様々な形状のレンジフードがあり、それぞれの状況や必要な機能によって選べます。
レンジフードの機能
レンジフードの主な機能は、ガスコンロなどの加熱機器を使用した際に発生する油煙や汚れた空気を効率よく吸い込んで排気する機能です。
キッチンにレンジフードがないと油や汚れが排出されず、家の天井や床、壁にまで汚れが付着します。
その状態で放置してしまうと家の劣化を早めてしまいますので、レンジフードなどの換気設備はキッチンに欠かせないものなのです。
排気の仕組みとしては、レンジフードがファンを回転させることで汚れた空気を吸引し、ダクトを通して汚れた空気を排出します。
レンジフード内部にはフィルターが付いており、汚れた空気に含まれる油をキャッチしてくれるため、ファンやダクトへの汚れの付着を軽減しています。
また、換気扇をフードで覆うことで、吸引力が上がり効率よく煙や匂いを排出できます。
レンジフードと換気扇の違い
レンジフードと換気扇の大きな違いは使用されているファンと排気の仕方の2つです。
レンジフードにはシロッコファンというファンの使用が主流で、換気扇はプロペラファンというファンが使用されています。
また、レンジフードには排気用のダクトがついており、吸い込んだ空気をダクトを通して排気します。
換気扇は壁に設置するため、吸い込んだ空気を直接屋外に排気します。
プロペラファンの方が吸い込む力が大きいとされているため、換気扇の方がより強力に排気をする傾向にありますが、動作時の音が大きく、設置場所が限られます。
それに比べ、レンジフードはダクトを通して排気するため、設置場所の自由度が高く、見た目もスッキリしているものが多いです。
複雑な構造をしている製品もあるため掃除がしにくい場合もありますが、機能性に優れた製品も多いことから、レンジフードが人気を集めています。
レンジフードの種類
レンジフードの取付けタイプは、正面壁、天井、横壁の3パターンがあり、キッチン自体のタイプによって使い分けがされています。
まとめると以下の通りです。
特徴 | |
---|---|
壁取付けタイプ |
|
天井取付けタイプ |
|
横壁取付けタイプ |
|
壁面取付けタイプ
一般的なI型キッチン、L型キッチンで採用されるレンジフードです。
キッチンに向かって正面の壁に設置します。
一般的でメジャーなタイプのため、種類・商品数の豊富さが特徴です。
天井取付けタイプ
主にアイランドキッチンに採用されるレンジフードです。
壁に取り付けではなく、天井から吊るして設置されています。
一般的な壁面取付けタイプとは一風変わった、開放的でおしゃれな空間を演出できます。
横壁取付けタイプ
主にペニンシュラキッチンで採用されるレンジフードです。
キッチン自体が横壁に面しているので、レンジフードも横壁に面しています。
アイランドキッチンと同様、開放的でおしゃれな空間を演出できます。
また、ペニンシュラキッチンは省スペースさも魅力です。
形状別
ここからはレンジフードの形状とそのメリット・デメリットをご紹介します。
機能性に加えて、レンジフード選びで大切な見た目を左右するポイントもあるのでしっかりと確認していきましょう。
特徴 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
スリム型 | デザイン性が高い | 最新機能が豊富 | 金額が高い |
ブーツ型(深型) | シンプルな形状 | 金額が安い | 最新機能がない |
フード型(浅型) | コンパクト | 対応性が高い | 音が大きい |
スリム型(薄型)
まずご紹介するのは、スリム型のレンジフードです。
スリム型レンジフードは、凹凸が少ない内面形状のため、油汚れが付着しにくく、お手入れがしやすい形状が特徴です。
各メーカーが開発に力を入れており、フィルターレスや自動洗浄などの最新機能を備えている機種もあります。
また、正面を覆っている前幕板は現場に合わせて加工できるタイプもあり、施工性が高く、はデザイン性にも優れています。
スタイリッシュな見た目から、インテリアとしても人気が高いです。
昔ながらのプロペラファンの上に取り付けることも可能なので、プロペラファンの交換を検討中の方にもおすすめです。
しかし、高機能を備えている機種になると、費用が高くなりがちなのがデメリットです。
予算やライフスタイルのバランスを見て、必要な機能を選択する必要もあるでしょう。
ブーツ型(深型)
ブーツ型レンジフードは、国内普及率が高く、スタンダード型とも呼ばれます。
ガスコンロに向かって大きく口を開いたような見た目をしており、見慣れているという人も多いのではないでしょうか。
ブーツ型のレンジフードの特徴は、集煙力が高く、換気機能に優れている点です。
また、手前部分が天井に向かって反り上がるような形状をしているため、取付位置が低くなっても頭をぶつけにくくなっています。
一方でデメリットとしては、機能性が充実した機種が少な目です。
形状と機能のシンプルさから、リーズナブルな機種が多い傾向にあります。
予算を抑えたい方や、付帯する機能へのこだわりが少ない方におすすめです。
ファルコン型
ファルコン型のレンジフードは側面が曲線状になっている商品です。
従来では、低い位置に設置されている換気扇とレンジフードの取り替えは難しいとされていましたが、ファルコン型のレンジフードであれば取り替えることができるため、さまざまな住宅に対応可能な商品といえます。
コンロとの距離が近く排煙しやすいだけでなく、低い位置にファンがあるため、比較的掃除がしやすいというメリットがあります。
しかし、スリム型と比べると複雑な形状をしていることから掃除がしにくく、優れている点もそれほどないため、新築住宅で使われることはまずありません。
フラット型
フラット型のレンジフードは、浅型レンジフードとも呼ばれ、上下に薄く浅い形状をしていることから、天井が低い場合によく用いられます。
天井が低い場合や、キッチンが狭い場合など、コンパクトで省スペースなレンジフードを探している方には、フラット型がおすすめです。
ただし、フラット型は定期的にフィルターとファンの掃除が必要な上、構造が複雑なため、内部の掃除を試みてもどこを掃除したらいいのか分からない場合があります。
掃除を行う際には必ず取扱説明書を確認しながら作業を進めましょう。
内部の構造が気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
2024年10月03日
レンジフードの構造とは?仕組みや部品の名称も詳しく解説!
ご家庭でお使いのレンジフードは、長年使い続けると換気能力が低下します。 原因はレンジフードの劣化による寿命や故障によるものまでさまざまです。 しかし、日常の掃除では手の届かない部分までていねいに掃除をすることで、購入時に近い換気能力を取り戻せることもります。 本記事では、レンジフードの仕組みや構造、部品の名称をご紹介しています。
ファンの種類別
レンジフードには形状やサイズがさまざまありますが、排気ファンの種類も豊富です。
排気ファンは住宅の構造や立地によって向き不向きがあるため、排気ファンの特徴もしっかりチェックしておきましょう。
シロッコファン
スリム型、ブーツ型に採用されているのがシロッコファンです。
シロッコファンの出口にダクトを接続し、天井裏などを通して建物外部へ排気する構造になっています。
ファンから排気口までの距離が遠いので外風の影響を受けにくい特徴があります。
また、送風機としての機能が高く、空気を押し出す力が強いです。
そのため、排気量を一定に保つことができます。
外気の影響を受けにくい特徴から、集合住宅や高層マンションなどで採用されることが多いです。
ターボファン
ターボファンは、シロッコファンと似た構造をしていますが、羽のカタチや向きに違いがあります。
羽の数がシロッコファンよりも少ないので、薄型のファンが作ることができ、これがフード型レンジフード特有のコンパクトな本体を実現しています。
他にも、外風の影響を受けづらい、安価という点からコスパを重視の方には、ターボファンが選ばれる場合があります。
一方で、他の排気ファンと比べて換気音が大きいのはデメリットです。
なお、ターボファンはフラット型のレンジフードのみで使用され、原則フラット型への交換しかできません。
フラット型には高機能な機種がなく、新しく設置する場合にはおすすめしません。
プロペラファン
プロペラファンは扇風機の羽のような排気ファンで、四角く開口された壁に埋め込むようにして設置されています。
排気を運ぶためのダクトはないので、屋外へ直接排気しています。
風量が大きく、換気能力が高いので、古くからよく使われているタイプです。
ただし、気密性の高いマンションなどでは換気能力が落ちてしまうので、戸建てや団地、アパートで採用されるケースが多いです。
また、壁に直接取り付けられていることから、特に風の強い日などは室内へ外気の吹き込みを起こしてしまうのがデメリットといえます。
既存の排気ファンがプロペラファンの場合は、次に取り付ける商品もプロペラファンになるケースがほとんどですが、四角い開口を塞ぎ、ダクトスペースを作れればシロッコファンへの交換も可能です。
レンジフードとは?のまとめ
レンジフードについて紹介しました。
レンジフードは掃除がしやすいものや機能が豊富なもの、デザインを追求しているものなど、数多くの製品が販売されています。
そのどれもが従来の換気扇よりも大きなメリットを持っています。
交換を検討する場合にはキッチンや家の状況によって設置できない形状があるため、自己判断はせず、必ず現場の確認をしてもらった上で機器の選定をしましょう。
最新のレンジフードの機能や、お手入れについて知りたい方は、これらの記事も参考にしてください。
2024年10月04日
台所のレンジフードの掃除方法を徹底解説!
調理のたびに使用するレンジフードは、家の中でも汚れやすい設備のひとつです。 特に油汚れは、そのままにしておくと汚れが固着して、換気能力が下がったり故障したりする原因となります。 レンジフードを長く安心して使い続けるためには、正しい方法で定期的に掃除をしましょう。 この記事ではレンジフードの掃除に必要なものと正しい洗い方を紹介します。 レンジフードの分解の手順についても解説していますので、掃除方法がわからない方はぜひ最後までご覧ください。
おうちの機器なら、東京ガスの機器交換!
レンジフードの交換目安は約10年です。また、メーカーには保有期間を定めている部品もあり、長期間使用の際に修理を受けられないケースもあります。
レンジフードの交換費用は15万円以内に収まることが多いです。10年以上経つと故障の頻度も増えるため、一回の金額は修理の方が安くとも何度も修理を繰り返すよりも新しい機器に交換することをおすすめします。