ガス給湯器からお湯が出る仕組み
ガス給湯器とは、水をお湯に変化するためのエネルギーとしてガスを用いる給湯器です。
この章では、ガスでお湯が作られる仕組みを日常生活でよく利用する場面を例に挙げて解説します。
【図解】給湯器の内部構造・配管構造
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ガス給湯器は、その仕組みから「従来のガス給湯器」と「エコジョーズ(潜熱回収型)」の大きく2種類に分けられます。
従来のガス給湯器とエコジョーズの違いは、お湯を作るときに排出される排熱(熱い空気)の使い方に関する違いです。
ガスを燃焼させてお湯を作るときには水と一緒に空気も温められますが、従来のガス給湯器の場合はこの温まった空気を外に排出して捨てています。
しかし、エコジョーズはこの空気の熱を再利用して更に効率良くお湯を作る仕組みになっており、約10%のガス使用量削減効果が見込めます。
ガス給湯器からお湯が出る仕組み
ガス給湯器ではガスの点火によって金属のパイプが加熱され、そのパイプを通る水がお湯になります。
ガスの量を増やすと火力が上がり配管も熱くなるためお湯の温度が上がり、ガスの量を減らすと火力が下がり配管も冷めるため、お湯の温度も下がります。
この仕組みは「瞬間式」と言われ、ガス給湯器では圧倒的に多く使われている仕組みです。
水圧のロスが少なく水の給水圧に近い水が出せたり、お湯を貯める必要がないので給湯器事態を小さくできたり、湯切れを起こさないなどさまざまなメリットがあります。
ガス給湯器には、直接水を熱しているイメージがあるかもしれません。しかし、実際は水が通る配管の加熱量を調整することで水の温度を調整しています。
蛇口からお湯が出てくるまで
蛇口からお湯が出る仕組みはシンプルで、2つの装置が作動しています。
まず、給湯器の電源を入れることで作動する「安全装置」です。
この安全装置は人間でたとえるなら「脳」と同じ働きをしており、温度など設定された条件が行えるように管理しています。
次に、蛇口を捻ることで配管の中を水が通ったときに作動する「水量センサー」です。
プロペラのような部品が何回か回転することで水が通水されたことを感知し、ガスの燃焼動作を始めます。
そのため、少ししか蛇口を捻らない場合のように、通水量が少ないとお湯はできません。
この2つの装置が正常に作動することによって、蛇口からお湯が出るようになっています。
お風呂が設定温度になるまで
お風呂が設定温度になるには「お湯張り」と「追いだき」の2つの工程が必要です。
最初に「お湯張り機能」で浴槽の中にお湯を貯めます。
このとき、実は設定温度よりも少し低い温度でお湯が出ています。
浴槽の湯量はおよそ200リットルあるので、最初から設定温度でお湯を入れても貯まる頃には冷めてしまいます。
そのため、給湯効率等の観点から少し低い温度設定になっています。
貯めたお湯を設定温度にするのが「追いだき機能」です。
浴槽内のお湯の温度は給湯器内の水温計で管理されているため、設定温度になるまで自動で温めてくれます。
ガス給湯器で床暖房・浴室乾燥する仕組み
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ガス給湯器には、水からお湯をつくる給湯機能以外にもさまざまな使い方があります。
例えばガスで水を温めその熱エネルギーを利用する「ガス温水式浴室暖房乾燥機」は、80℃程度の熱湯を作った熱が暖房回路を通じて浴室に循環し、浴室の暖房や乾燥を行っています。
このほかよく使われているのが「ガス温水式床暖房」です。
これは床の下に温水用マットを敷いて、その中の配管にお湯を通して床面を温めています。
どちらもガス給湯器本来の機能とは少し離れているため通常の給湯器では実現が難しく、暖房機能付きの給湯器や追加設備により実現可能な機能になります。
また、専用の部材や建材や工事の施工技術なども関わってくるので注意が必要です。
給湯器の仕組みまとめ
給湯器が水からお湯を作る仕組みについて解説しました。
給湯器は、それぞれのエネルギーを燃焼させることで得られる熱を利用している機器です。
お湯を作る以外にも、床暖房に利用したり換気機能に利用したりと活用方法は多岐にわたります。
基本的にはこのエネルギーに料金が発生しているので、どのような使い方をしてもエネルギーの使用量に比例して、光熱費も高くなります。
そのため、給湯器を選ぶ際は「少ないエネルギーで多くの熱を発生させられること」に加え、お湯を作る以外の活用方法もお考えの方は「利用方法の幅広さ」もポイントになるでしょう。
お湯を作るための熱を生むのに必要なエネルギーと実際に作られる熱エネルギーの比率をエネルギー効率と言います。
給湯器のエネルギー効率は使用頻度や生活スタイルで変わるうえ、初期費用の導入コストなども考慮する必要があります。そのため、判断に迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
給湯器選びでお悩みの方は、リフォームのプロにご相談ください。
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給湯器の耐用年数注)は約10年です。また、メーカーには保有期間を定めている部品もあり、長期間使用の際に修理を受けられないケースもあります。
給湯器の交換費用は20万円以内に収まることが多いです。10年以上経つと故障の頻度も増えるため、一回の金額は修理の方が安くとも何度も修理を繰り返すよりも新しい機器に交換することをおすすめします。
注)各メーカーが定める、安全上支障なく使用できる標準使用期間を指します。