この記事でわかること
- 給湯器が凍結する原因がわかる!
- 給湯器の凍結の防止方法や効果的な対策がわかる!
- 給湯器が凍結してしまった際の対処法がわかる!
凍結を防止するには? 給湯器が凍結する原因

ガス給湯器には凍結を防止する機能が備わっており、本体内部は凍結しにくい構造になっています。しかし、給水や給湯、追いだき風呂の配管など、屋外に露出している部分は凍結する場合があります。
暖かい地域でも機器や配管内の水が凍結し、破損する恐れがあるため注意が必要です。ここでは、給湯器が凍結する原因をご紹介します。
排水管内の水温が0℃以下になったため

給湯器が凍結する原因のひとつが、本体や水道管が冷やされ、配管内の水温が氷点下まで低下することです。特に、1月や2月など寒さが厳しい時期に凍結が多く発生します。
外気温が-15℃を下回るような極端に寒い日や、給湯器が北側に設置されている場合は、配水管が冷たい外気に直接さらされるため、凍結のリスクが高まります。
また、断熱材が不十分な場合や、配管が露出している場合も、温度が急激に下がりやすく、凍結しやすい状況になります。
さらに、風が強い日には熱を奪われた配管の温度が下がることで、凍結の危険性が一層高くなります。地域によっては、数日間氷点下が続くこともあるため、凍結を防ぐための事前の対策が大切です。
排水管内の水の動きがないため
給湯器を使用せずに、配水管内の水が動かない状態が続くことも凍結の要因です。水は流れていて動きがある方が凍結しにくい性質があり、長時間使用しないと配水管内の水が滞留し、動きがなくなるため凍結しやすくなります。
特に就寝時や、旅行などで家を長期間空けて給湯器を使用しない場合には、配水管内の凍結に注意が必要です。
少量の水を定期的に流したり、水抜きを行ったりすることで、凍結のリスクを減らすことが可能です。
凍結防止のために知っておこう! 給湯器の凍結が起こりやすい部分
現在普及している給湯器の多くは、内部に配管を温めるためのヒーターが装備され、凍結対策がされています。凍結トラブルが起こるのは、給湯器本体よりも外から水を引く水道配管や給湯配管に多いです。
ここでは、給湯器の凍結が起こりやすい部分について解説します。
給水配管(水道管)
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冷たい水が通り、お湯が通らない給水配管や屋外に露出している水道管は、外気温の影響を直接受けやすく、もっとも凍結しやすい箇所です。
金属製の配管は熱伝導率が高いため、冷え込むと急速に温度が低下します。北向きの壁面や日陰などにある配管は特に注意が必要です。
また、断熱材が巻かれていない配管や、経年劣化で断熱効果が低下している配管も凍結のリスクが高まります。
給水機本体と配管の接続部分

給水機本体と配管の接続部分は、構造上外気に触れやすく、冷え込みやすい箇所です。接続部品は金属製であるため、周囲の配管よりも先に凍結することが多いです。
また、パッキンなどの劣化により隙間が生じていると、そこから冷気が入り込み、凍結を招くこともあります。
配管接続部は地面からの冷気も受けやすいため、注意する必要があります。定期的な点検で、接続部の状態を確認することが大切です。
追いだき配管と給湯配管
追いだき配管は、浴槽との間で水を循環させるための配管です。お湯が通るため比較的凍結しにくいものの、外気にさらされる部分があるため、凍らないとは限りません。
特に、浴槽に残った水が配管内で凍結する可能性があり、浴槽から給湯器へ戻る配管は水がたまりやすく、凍結のリスクがあります。
給湯配管は、灯油やガスなどの燃料を供給する配管ですが、内部に水分が混入していると、低温下で凍結する可能性があります。
寒冷地では、これらの配管も凍結対策を講じることが大切です。長期間使用しない場合は、配管内の水抜きを行うなど対策をとり、配管内の水が凍らないようにしましょう。
凍結防止の強い味方! 凍結防止ヒーターと自動ポンプを活用

多くの給湯器には、外気温が下がると機器内を自動保温するヒーター(給湯側)と自動ポンプ運転装置(風呂側)が作動する仕組みが搭載されています。例えば、リンナイ製の場合、機器周辺の温度が約3℃以下になるとこれらの機能が働きます。
ただし、この機能では給湯器に接続されたドレン配管や給水、給湯配管などは保護されません。
凍結防止ヒーターや自動ポンプを活用することで、配管の凍結を防ぐことが可能です。ここでは、凍結防止ヒーターと自動ポンプの活用方法をご紹介します。
凍結防止機能が作動するとリモコンにマークが表示される

給湯器は自動ポンプ運転を開始すると、リモコン画面にマークが表示されます。近年の製品であれば、気温が低下した際も自動で凍結防止機能が作動する機種も多いです。
この機能が作動すると、給湯器のリモコンに「雪だるま」や「雪の結晶」といった専用のマークが点灯したり、お知らせ表示がされたりします。
この表示が見られた場合は、凍結予防のためにヒーターが作動して配管を温め、ポンプが水を循環させていることを意味します。
お使いの給湯器にこのような機能が備わっているかは、取扱説明書で確認し、寒い日にはリモコンの表示をチェックするようにしましょう。表示がない場合は、設定や電源が正しく設定されているかを確認しましょう。
コンセントに電源プラグが差し込まれているか確認する

意外と見落としがちなのが、給湯器の電源プラグです。凍結防止機能は電気で作動するため、電源プラグが抜けた状態では、ヒーターもポンプも作動しません。
屋外に設置されている給湯器の場合、電源プラグが誤って抜けていたり、抜けやすい状態になっていたりすることがあります。
寒い冬が来る前に、給湯器の電源プラグが差し込まれているかを確認しておくことが大切です。また、タコ足配線になっていると接続不良が起きやすいため、プラグ周りの安全確認をしっかり行いましょう。
浴槽の残り湯が循環金具から5cm以上ある状態にする

追いだき機能付きの給湯器の場合、浴槽の残り湯を残しておき、そこから自動ポンプを作動させて凍結を防止することが可能です。循環器具とは、追いだき時にお湯が出てくる部分です。
ただし、残り湯が循環金具より5cm以下の高さでは、浴槽の水が循環せず、凍結防止機能が正しく作動しないことがあります。追いだきをするときにお湯が出てくる循環器具よりも、5cm以上の残り湯がある状態にしておきましょう。
凍結防止機能が作動すると、ウーンという作動音がします。もし、機器から大きな音が聞こえる場合は、浴槽内の水がなく、空運転をしている可能性があるため、確認してみてください。
凍結防止に効果的! 給湯器栓から湯を流し続ける

厳しい寒さが予想される日は、給湯器の防止対策として、少量の湯を流し続ける方法が効果的です。水を流し続けることで、給水・給湯管、バルブ類の凍結を防止することができます。
具体的には、1分間におよそ400ml(水の幅が約4mm)以上の水を流し続けましょう。浴槽で受けると経済的ですが、お風呂以外の台所や洗面所でも実施可能です。
手順は下記の通りです。
- 【手順2】でお湯にせず水を流すためにガス給湯器のリモコンの運転スイッチをオフにする。(リモコンがない場合は、ガス給湯器のガス栓をしっかりと閉める)
- お湯の出る蛇口から一分間に約 400 ミリリットル(約 4mm)の水を流し続ける
この方法は、気温が氷点下になる夜間や早朝に行うことがおすすめです。ただし、水道代やガス代がかかるため、長時間の連続使用は避け、気温が特に低い時間帯のみに限定するなど、状況に応じて行いましょう。
給湯器の配管周りを断熱材で保護して凍結防止

給湯器の凍結防止対策として、配管周りを断熱材で保護する方法も有効です。外気の影響を受けやすい配管を保護することで、内部の温度低下が緩やかになり、凍結のリスクを減らせます。
凍結防止用の資材は、ホームセンターや通販サイトなどで入手可能です。配管に直接巻き付ける保温テープや、配管を包み込む保温チューブなど、さまざまな断熱材があるため、配管の形状や設置場所にあわせて選びましょう。
取り付ける際は、隙間なくしっかりと配管を覆うことがポイントです。特に、配管の曲がり角や接続部分は冷気が入り込みやすいため、丁寧に巻き付けましょう。また、断熱材は時間が経つと劣化するため、定期的に点検し、必要に応じて交換することをおすすめします。
なお、断熱材を取り付けたとしても、給湯器の凍結防止ヒーターや自動ポンプを活用することや、お湯を流すなどの他の対策もあわせて行うことが重要です。
給湯器の凍結を防止する最終手段は水抜き
外気温が-15℃以下など極端に低くなる場合や、長期不在で電源プラグを抜く場合には、機器内の水を抜くことで凍結を予防することが可能です。
水を抜く際は、1.給湯側、2.風呂側の順で行いましょう。給湯器のどこに水抜き栓があるのか、凍結のリスクが高まる時期までに位置を確認しておきましょう。
ここでは、具体的な水抜きの方法をご紹介します。
給湯器の水抜きをする

給湯器の使用直後はお湯が高温になっているため、必ず給湯器が冷めてから行いましょう。
給湯器の水抜きは、以下の手順で行ってください。
- リモコンの運転スイッチを切る(その際、電源プラグは抜かないこと)
- ガス栓を閉める
- 給水元栓を閉める
- シャワーや台所水栓など、給湯栓をすべて開ける
- 給水・給湯の両方の水抜き栓を開ける
この給湯器の水抜きは、風呂側の水抜きをする前に行いましょう。
風呂側の水抜きをする

次に、風呂側の水抜きをします。風呂側の水抜きは、給湯器側の水抜きをしてから行うようにしてください。
風呂側の水抜きの手順は、以下の通りです。
- ガス栓と給水元栓が閉まっていることを確認する
- 浴槽の水を完全に排水する
- リモコンの運転スイッチを入れて「おいだき」を押す
- 循環金具から水またはお湯が出てきていることを確認する
- 排水確認後、リモコンの運転スイッチを切る
- 給湯器の風呂栓、ポンプ水抜き栓、戻水栓、風呂水抜き栓、中和器水抜きを開け、完全に排水する
- 電源プラグを抜く
機器内の水が排水されるため、次に使用するまでは給湯栓や水抜き栓は開けた状態にしておいてください。長時間使用しない場合は、機器内の全ての水が排水されたことを確認後、ポンプの水抜き栓を閉めましょう。
凍結防止対策をしても起こりうる? 凍結してしまった給湯器の症状

凍結防止対策をしたとしても、次のような凍結トラブルが起こることがあります。ここでは、「もしかしたら凍結?」と思うときに起こる主な症状をご紹介します。該当するものがないか、チェックしてみてください。
蛇口からお湯が出なくなる

給湯器が凍結したときの症状としてわかりやすいのが、蛇口からお湯が出なくなることです。
お湯側の蛇口を全開してもお湯が出てこない場合や、ポタポタとしか出てこない場合は、給水管や給湯管内部の水が凍り、水の通り道をふさいでいることが考えられます。
シングルレバーの場合は、水側に回すと水が出て、お湯側に回すと出ないまたはポタポタとしか出ない状態です。ツーハンドルレバーの場合は、お湯側からは何も出ない状態、もしくはポタポタとしか出ず、水側を開くと水が出る場合がこのケースに該当します。
ただし、お湯が出ない原因は凍結だけではありません。ガスが止まっていることや、給湯器の電源が入っていないといった可能性もあるため、他の原因がないか、確認してみましょう。
リモコンにエラー表示が出る
給湯器またはエネファームが凍結による影響を受けると、リモコンにエラーコードが表示される場合があります。
エラーコードはメーカーや機種によって異なります。まずは、お手元の説明書やメーカーのホームページなどで確認してみてください。
各社の代表的なエラーコードは、以下の通りです。
- ノーリツの給湯器の場合:「562」「632」「290」など
- パロマの給湯器の場合:「290」「29」「632」など
- リンナイの給湯器の場合:「562」「111」
説明書にエラーコードの意味と対処法が記載されているため、自己判断で無理に操作しようとせずに、説明書の指示に従って対応しましょう。場合によっては、メーカーや専門業者に相談することも検討してみてください。
水道管が破裂して漏水する

給湯器の凍結の症状で深刻なのが、水道管の破裂による漏水です。水は凍ると膨張して管に圧力がかかり、配管が破損することがあります。
まずは、慌てずに次の応急処置を行いましょう。
- 水道の元栓(止水栓)を閉め、メーターボックスを開け、バルブを時計回りに回すと水が止まる
- 破裂して水が漏れ出している部分にタオルを巻き、バケツでタオルからしみ出てくる水をバケツで受ける
- 応急処置をした上で、専門の業者やメーカーへ対応を依頼する
水道管の破裂は、家財の損害や近隣にも影響を与える可能性があります。長期間家を空ける場合は、必ず凍結対策を行いましょう。
給湯器が凍結してしまったときの対処方法
給湯器が凍結してしまった場合、対処法は解凍することです。解凍作業をする前に、以下のことを行っておきましょう。
- 台所リモコン、浴室リモコンの運転をオフにする
- 給湯器本体の電源プラグは抜かない
上記を行った上で、次の対処方法を実践してみてください。
凍結が自然に解凍されるのを待つ

給湯器が凍結した場合、気温の上昇による自然解凍を待つのが安全です。凍結した配管や部品に熱湯をかけるのは絶対に避けてください。急激な温度変化で配管が破損し、高額な修理費用が発生するほか、お湯が使えるようになるまでさらに時間がかかる可能性があります。
自然解凍で蛇口から水が出るようになったら、給湯器や周辺配管に水漏れがないか確認しましょう。もし水漏れがある場合は、凍結による配管破損が疑われます。給水バルブを閉め、速やかに専門業者やメーカーに対応を依頼してください。
凍結が原因の水漏れでは、給湯器の交換が必要になる場合もあります。無理な解凍作業を避け、専門家に任せることでさらなるトラブルを防ぎましょう。
すぐにお湯を出したいときは解凍する

給湯器が凍結した場合は、基本的には自然解凍でお湯が出るのを待つことが望ましいですが、応急処置として、下記の手順をご紹介します。
- ガス給湯器のリモコンの運転スイッチを切る(リモコンなしの場合:ガス給湯器のガス栓を閉める)
- 蛇口をお湯側にして少し開ける
- 凍結している配管・給水元栓の周りにタオル等を巻く
- タオルにぬるま湯(30~40℃)をゆっくりかける。その際、近くの電源コードやコンセントがぬれないように注意する(水道管が破裂する可能性があるため熱湯はNG)
- 水が流れたら、開けておいた蛇口を閉め、機器や配管からの水漏れがないかを確認する
- タオルを外し、配管・給水元栓周りの水分を乾いた布で拭き取る
ぬるま湯が配管にそのまま残っていると、再び凍結する可能性があるため、すべての水を丁寧に拭き取ることを徹底してください。
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給湯器の耐用年数注)は約10年です。また、メーカーには保有期間を定めている部品もあり、長期間使用の際に修理を受けられないケースもあります。
給湯器の交換費用は20万円以内に収まることが多いです。10年以上経つと故障の頻度も増えるため、一回の金額は修理の方が安くとも何度も修理を繰り返すよりも新しい機器に交換することをおすすめします。
注)各メーカーが定める、安全上支障なく使用できる標準使用期間を指します。
