給湯器が凍結する原因
給湯器は、本体内部や配管を通水もしくは水を循環させて使用しています。多くの給湯器は家の外に設置しているため、外気温や降雪の影響を受けやすいです。ここでは、給湯器が凍結する主な原因を見ていきましょう。
凍結してしまう原因
給湯器が凍結する主な原因は、気温低下と、水が流れていないことが挙げられます。
水は0℃を下回ると氷に変化します。そのため、外気温が0℃以下になると給湯器本体や水道管が冷え、配管内にある水が凍ってしまいます。
外気温が0℃以下になっても、水道管内で水が動いて流れている状態であれば、給湯器の使用中に凍結するリスクは低いです。そのため、夜間や長期間使用しないときなどは水道管の水が流れ続ける工夫をしないと中に水がたまり、凍結しやすくなります。
給湯器の凍結しやすい箇所と凍結時の症状
凍りやすい箇所
給湯器本体内や追い焚き配管の水は凍結防止機能が備わっているため、凍結防止機能が働けば通常の低温では滅多に凍結することはありませんが、給湯器に接続されている外側の配管にて凍結が起こる可能性があります。
給湯器には主に以下の4つの配管があります。それぞれの特長をみていきましょう。
- 給水配管・給水元栓
- 給湯配管
- 追い焚き配管
- ドレン配管(エコジョーズのみ)
①給水配管・給水元栓
給水配管・給水元栓は、外気温の影響を受けて水温が下がりやすくなります。特に、給水配管と給湯器本体をつなぐ給水元栓部分は金属製なので、熱伝導度が大きく水温が下がりやすいため、凍結しやすいです。
②給湯配管
給湯配管はその名の通り住戸内にお湯を供給する配管です。給水配管より高温のお湯が通りますが、長時間お湯を使用していない場合は、給水配管と同様に凍結する可能性があります。
③追い焚き配管
追い焚き配管は基本的に凍結防止機能を動作させることで凍結を予防できますが、電源プラグを抜いてしまう、浴槽に水が溜まっていないと正常に動作せず凍結が起こる可能性があります。特に中に水が残った状態で長時間使用しておらず、夜間など外気温が極端に下がったタイミングなどは注意が必要です。
④ドレン配管
ドレン配管は、省エネ性能の高い給湯器(エコジョーズ)特有の配管です。エコジョーズは排気中の潜熱を回収して省エネ性能を高めた給湯器ですが、潜熱を利用する過程でドレン水が発生します。このドレン水を排水するドレン配管の中が凍結するとドレン水が排出されず内部にたまり、センサーが反応して、給湯器の燃焼が停止してしまいます。
給湯器が凍結してしまった場合の対処法
お湯の出る蛇口からお湯も水も出なくなった場合には、給湯器または接続されている配管が凍結した可能性があります。
ここでは、給湯器が凍結した際の対処法について見ていきましょう。
気温上昇を待つ、水漏れ確認
給湯器の凍結が考えられる場合は、給湯器のリモコンをオフにし、気温上昇による自然解凍を待ちましょう。ただし給湯器の電源プラグはコンセントから抜かないでください。給湯器内部の凍結防止機能が働かなくなるためです。
気温が0℃以上になると、凍結した水が自然に溶け始めます。日中、気温が高い時間帯に給湯栓から水が出るようになれば凍結解消のサインです。
また、凍結が解消されたら、水漏れが起きていないか確認してください。凍結によって配管が破損している可能性があるためです。
配管が破損してしまった場合は修理を依頼する必要がありますが、凍結している状態だと配管が破裂しているかどうか、他に故障原因があるのかの判断が難しいため、まずは自然解凍をお待ちいただくことを推奨しています。
早くお湯を出したい! 自分でできる応急処置方法
給水元栓が凍結して動かない場合、ぬるま湯とタオルを使った応急処置もあります。
但し、給湯器のメーカーや機種によっては推奨していない場合もあるので、必ずお使いの給湯器メーカーのホームページや取扱い説明書を確認して実施するようにしてください。
【ぬるま湯を使った解凍方法】
- リモコンスイッチで給湯器の電源をOFFにする
- 給湯器本体の電源プラグはコンセントに差したままで、ガス栓を閉める
- お湯の蛇口を少し開けて、解凍後に水が出る状態にしておく
- 給湯器の給水栓の周辺にタオルを巻き付け、40℃以下のぬるま湯をかける
- 開放しておいた蛇口から水が出れば解凍完了
- タオルを外し、再凍結を避けるため周辺の水をしっかりと拭き取っておく
自然解凍がなかなか進まない場合など人肌程度のぬるま湯をかけることで、凍結した水が溶けて解凍しやすくなりますが、熱湯をかけると逆に配管が破損する恐れがあるため、慎重に温度管理をするようにしましょう。また、給水元栓以外は凍結箇所の特定が難しいため、自然解凍を待つようにしましょう。
給湯器の凍結時に絶対にやってはいけないこと
給湯器の凍結時にやってはいけないことは、以下の2点です。
①配管に熱湯をかける
凍結した給湯器に熱湯をかけると、配管・栓が破損するおそれがあります。また、配管や栓に熱湯をかけると急激な熱膨張により破裂する可能性もありますので、絶対にやめてください。
②給湯器本体に布などを巻き付ける
給湯器本体に布などを巻き付けるのも故障の原因となることがあるため絶対にやめましょう。給湯器が不完全燃焼を起こし、一酸化炭素など有害物質が発生するリスクや、布などが熱で燃えてしまうおそれもあるため大変危険です。
自分でできる給湯器の凍結防止方法
給湯器や配管の凍結を防ぐため、ご自分でできる凍結防止方法を紹介します。寒さが本格化する前に凍結防止対策を実施しましょう。
給湯器本体や追い焚き配管の凍結防止
給湯器本体や追い焚き配管の凍結を防止するために、給湯器には以下の2つの凍結防止機能が備わっています。
寒さが本格化する前に給湯器に備わっている凍結防止機能がしっかり作動できるようにしておくことが非常に重要です。そのためには電源コンセントを抜かない、浴槽の水を捨てないなどの幾つかの注意点がありますので以下でご説明します。
- 自動ポンプ運転
- 凍結防止ヒーター
①自動ポンプ運転
追いだき機能付きふろがまの配管に自動で水を循環させることで給湯器が凍結を防止する機能です。気温が5℃以下になり、かつ、浴槽の水が循環アダプター(水とお湯の出入り口)よりも上に残っていれば自動的に作動します。
給湯器の電源プラグをコンセントに差し込んだ状態で、浴槽の残り湯が循環アダプターよりも5cm以上となるようにしてください。
凍結防止機能が動作している場合、リモコンに図のようなマーク注)が表示されます。
注)マークは機種により異なります。詳細は取扱説明書をご確認ください。
②凍結防止ヒーター
ヒーターで給湯器内部の配管をあたためることで凍結を防止します。気温が低下すると自動的に作動するため特別な手順は必要ありません。ただし電源プラグが抜けていると自動ポンプヒーターともに作動しなくなるため、凍結の恐れがあるときは給湯器の電源プラグを抜かないように注意しましょう。
給水配管や給湯配管の凍結防止方法
ガス給湯器の給水・給湯・追いだきふろ配管等の凍結予防方法は以下の手順で行います。
①給湯器のスイッチをOFFもしくはガスの元栓を閉める
リモコンがある給湯器の場合、スイッチをOFFにしてください。リモコンがない場合は、ガス元栓を閉めましょう。
②蛇口から細く水を流し続ける
次に、お湯の出る方の蛇口をひねり少量の水を流し続けます。水の量はおおよそ1分間に400ミリリットル分を目安にしてください。浴槽に水がたまるようにしておけば、水を有効活用できます。サーモ付きやシングルレバー混合水栓の場合は、お湯の温度を一番高い設定にします。再びお湯を使い始める際に、お湯の設定を調整するのを忘れないよう、注意しましょう。
長期間使用しない場合は、給湯器の水抜きも有効
旅行や帰省などで長期間家を空ける場合は、給湯器をそのままにしておくと凍結のリスクが高まります。先述の予防策を実施するのも難しいので、別の対応が必要です。そこで有効なのが、給湯器の水抜きです。
給湯器の水抜きを行う際は、取扱説明書で手順を確認してください。また、給湯器の水抜きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
2024年10月08日
給湯器の水抜きは必要?水抜き方法やそれ以外の凍結防止策や凍結したときの対処法を紹介
寒い冬の朝に蛇口をひねってもお湯が出てこない場合、給湯器や配管内の水が凍結している可能性があります。凍結を予防するためには給湯器を水抜きする方法がありますが、これまでに水抜きをしたことがない方も多いでしょう。そこで本記事では、給湯器の水抜きの基本的な手順や水抜きをした後に再び給湯器を使う方法を解説します。水抜き以外の凍結防止策も併せて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
給湯器以外の機器の凍結時の症状と対処方法
給湯器以外の機器も、水道管や配管が露出している部分は凍結する可能性があります。凍結すると、機器の故障や破損につながるおそれがあるため、具体的な症状や対処方法を理解しておきましょう。
エネファーム
エネファームも凍結防止運転機能が備わっていますが、給湯器と同様に各種配管は凍結のリスクがあります。
エネファームが凍結しやすい箇所は、以下のとおりです。
- 給水配管
- 追い焚き配管
- ドレン配管
配管が凍結すると、お湯が出なくなったり、エラーコードが表示されたりすることがあります。
【症状】
エネファームの凍結時の症状は、以下のとおりです。
- お湯が出ない:基本的には給湯器と同じくお湯が使えない症状が出ます
- エラーコードが表示される:エラーコードによって対処方法が異なるため、取扱説明書で詳細を確認してください
【対処方法】
給湯器と同様、気温の上昇を待ちましょう。ただし、エラーコードによっては対処が気温上昇で解消できないケースもあるため、まずは取扱説明書を確認してください。
小型湯沸器
小型湯沸器も給湯器と同様に、外気温の影響によって凍結する可能性があります。キッチンなど屋内に設置した場合でも、近くに窓があったり暖房が付いていない状態だったりすると、凍結するおそれがあるため注意が必要です。急な気温低下など凍結の恐れがある場合は、お使いのメーカーの取扱説明書をお読みいただき水抜き等の必要な処置をしましょう。
【凍結時の症状・対処方法】
お湯が出ない場合や、水量調節ハンドルがいつもよりも回りにくいと感じた場合、凍結の可能性があります。無理に使用すると器具が破損するおそれがあるため、異常を感じたら使用を中止し、気温(室温)上昇を待つようにしましょう。
お湯などで配管を温めて解凍しようとすると配管の破損の原因となるため、控えましょう。
気温上昇を待っても改善しない場合は修理を依頼
気温が上昇しても給湯器やエネファーム、小型湯沸器の症状が改善しない場合、機器が故障している可能性があります。
凍結による故障は、配管の破損や機器内部の部品の損傷など、さまざまな形で発生します。これらの故障は、自分で修理するのが難しく、専門的な知識と技術を持つ専門業者による修理が必要です。凍結による症状が改善しない場合は、早急に連絡して修理を依頼しましょう。
修理を依頼する場合のポイント
賃貸住宅の場合は大家や管理会社へ事前に相談する
賃貸の物件 (マンション・アパート)に住んでいる場合は、管理会社や大家さんに事前連絡をしましょう。賃貸物件では、通常の使用で給湯器が故障したのであれば、修理費用は管理会社や大家の方の負担になるケースが多いからです。
まずはトラブルや不具合の症状を管理会社や大家さんに連絡して、指示に応じた対処を取るようにしてください。自己判断で修理してしまうと、契約違反となって無用なトラブルを招いてしまうこともあるので、注意しましょう。
修理を依頼する場合の作業時間の目安
給湯器の修理にかかる時間は、症状や作業内容によって異なります。
メーカーから交換用部品を取り寄せて対応する場合は、在庫の確認や調達までに1週間程度の時間が必要となるケースもありますが、部品在庫がある場合や汎用性の高いパッキン・配管等の交換で済む場合は、訪問当日に2~3時間程度で作業完了するケースが多いです。
東京ガスでは、給湯器をはじめとしたガス機器のトラブルに最短で当日ご訪問し対応いたします。お困りの際はぜひ検討ください。
修理を依頼する場合の料金の目安
ガス機器の修理費用は、出張費、故障診断料、技術料、部品代で構成されるのが一般的です。故障箇所によって作業内容や費用が異なるため、まずは故障箇所の診断・見積もりを依頼しましょう。
料金の目安としては、東京ガスにてふろ給湯器の部品交換修理をいただいたうち、25,000円以下で納まるケースは7割以上、25,000円を超えるケースは3割以下となっています。注)
注)2022年度のガスふろ給湯器における部品交換時の修理費用(東京ガスグループ調べ)
冬の寒さ対策をしっかり行って給湯器や配管の凍結を防ごう
冬季は気温が下がり、給湯器や配管が凍結する可能性があります。給湯器や配管が凍結すると、お湯が出なくなったり機器が故障したりすることがあります。
給湯器や配管の凍結を防ぐためには凍結防止機能を有効にする、給水栓を少しずつ開ける、給湯器の水抜きを行うなどの対策が有効です。給湯器が凍結してしまった場合は気温上昇を待つか、専門業者に修理を依頼しましょう。
早く凍結を解消したいと思うあまり、熱湯をしようしたり取扱説明書に記載のない対処法を行ったりしてしまうと、かえって不具合を悪化させかねません。給湯器の修理は、故障の内容や範囲により費用が大きく異なる場合があります。ご自身での対処で症状が改善しない場合は、早急に点検や修理を依頼しましょう。
東京ガスでは24時間365日、給湯器の「Web故障診断・修理ご予約」を承っております。冬場の給湯器の調子がいつもと違うな、と思ったらお気軽にご利用ください。