ユニットバスの定義とは?よくある勘違いやメリット・デメリットを解説!

ユニットバスの定義とは?よくある勘違いやメリット・デメリットを解説!

「ユニットバス」と聞くと、ホテルやワンルームマンションなどによくあるトイレと洗面ボウルが一体になった浴室をイメージする方も多いのではないでしょうか? ユニットバスは、もともとホテル建設の省力化を目的として開発されたため、そういうイメージが付いているようです。 しかし、実際はそれだけがユニットバスというわけではありません。 今回は正しいユニットバスの定義やメリット・デメリットについてご紹介します。

最終更新日:2024年05月30日公開日:2024年05月03日

目 次

ユニットバスの定義

「我が家はトイレと洗面台が独立しているからユニットバスではない」というお声を耳にすることがあります。
しかし、機能や設備の数でユニットバスなのかどうかを判断することはできません。

ユニットバスとは、あらかじめ工場で作り込まれた壁・床・天井・浴槽などを、現場で組み立てていく設備のことをいいます。

ユニットバスが普及する前は、コンクリートの壁にタイルを直接貼り付ける在来工法の浴室が一般的でした。
すでにある部屋の中へもう一つ部屋を組み立てるユニットバスは、壁と外側の壁の間に隙間があり、ユニットバスの壁を叩くと「コンコン」と中が空洞になっているような高い音がします。
それに対して在来工法の浴室には空洞がないので、壁を叩くと中身が詰まった鈍い音がします。

なおユニットバスをシステムバスと呼ぶこともあり、どちらも同じものです。

ユニットバスの種類

ユニットバス

1点ユニットバス

1点ユニットバスは、お風呂機能のみのユニットバスです。
一般的な家庭用のお風呂を想像したときに思い浮かぶのが1点ユニットバスでしょう。

室内には、浴槽と洗い場が設けられており、洗い場側にはシャワーが設置されています。
ファミリータイプのマンションや一戸建てに多く使われています。

2点ユニットバス

2点ユニットバスは、浴槽と洗い場の間に洗面ボウルが設置されているタイプのユニットバスです。

築年数の古いマンションやアパートなどで、独立した洗面台がない住宅によく設置されています。
浴室は狭くなりますが、設備がまとまっているので掃除の手間が減るメリットがあります。

3点ユニットバス

3点ユニットバスとは、「お風呂」「洗面ボウル」「トイレ」の3つの設備が1つにまとまったユニットバスのことです。
単身用の賃貸マンションやアパート、ビジネスホテルなどスペースに限りのある住宅などで採用されています。
「サニタリー」、「サニタリーユニット」と呼ばれることもあります。

ハーフユニットバス

ハーフユニットバスは、「浴槽」「床」「壁の下部のみ」が組み立て式になっているユニットバスです。
浴槽と洗い場の床がつながっているのが特徴です。
天井や壁上部は在来工法と同じで、コンクリートにタイルを直接貼り付ける造りとなっています。

ハーフユニットバスの機能は浴室のみで、洗面ボウルやトイレと一体になっているものはありません。

ユニットバスのメリット・デメリット

浴室

現在では主流になっているユニットバスですが、在来浴室と比較したときにメリットとデメリットがあります。

浴室タイプを選択する際に重要な事項ですので、しっかりと把握しておきましょう。

ユニットバスのメリット

施工や使用感、性能など、ユニットバスを利用するメリットをご紹介します。

現在も開発が続いている

ユニットバスは現在も多くの新築住宅に採用されており、それぞれの水回りメーカーが研究・開発を進めています。
そのため、新しい技術やトレンドを盛り込んだ製品が次々と発売されている点は大きなメリットです。

とくに注目すべき機能としては、日々のお手入れをサポートする浴槽の自動洗浄機能やラグジュアリーな入浴を演出する楽湯機能などです。
また、シャワーや水栓の節水効果も上がっており、環境に配慮したエコ製品も販売されています。

工期が短い

ユニットバスは1964年開催の東京オリンピックに向けたホテル建設の省力化を目的として開発されたこともあり、工期が短く済む特徴があります。

在来工法の浴室は、それぞれの現場に合わせた施工やコンクリートの乾燥期間を設けるため、3〜7日ほどの工期が必要です。
それに対してユニットバスは、現場に合った商品を工場へ発注し、届いたパーツを手順に沿って組み立てていくことで、施工にかかる時間を大幅に削減しています。
既存の浴室解体からユニットバス組み立てまで1日で完了するケースもあります。

断熱性が高い

気密性が高い上に、部屋の中にもう一つの部屋を組み立てる二重構造になっているため、外気の影響を受けにくく、断熱性に優れている点もユニットバスの大きなメリットです。

在来工法の浴室は、外部に面する壁に直接タイルを貼っているだけなので、外気の影響を受けます。
冬場はヒートショックの引き金となる危険性もあるでしょう。

地域によってはユニットバスの保温性能をさらに向上させるため、壁裏に断熱材を入れることもあります。

掃除しやすい

ユニットバスの特徴のひとつは壁です。
表面がツルツルとした一枚もののパネルで継ぎ目を極力なくしているため、汚れが付きにくく掃除がしやすいという特徴があります。
また、水滴を壊すパターンを刻んだ水はけの良い床材を採用することで、室内に湿気が残らないように設計されています。

近年は浴槽や床の自動洗浄機能を搭載した商品も発売されており、以前の浴室に比べて格段にお手入れがしやすくなっているので、共働きなどの忙しいご家庭におすすめです。

バリアフリーにしやすい

最新のユニットバスは、高齢者や障がい者に配慮したバリアフリーも充実しています。
ドア下の段差を解消し、床下へ浴槽を埋め込みまたぎの高さを低くして入浴時の転倒リスクが軽減するように設計されています。
また、壁付けの手すりや浴槽内ハンドグリップなどの補助具の用意も豊富です。

バリアフリーのユニットバスに必要なオプションを付ければ、サポートする側の負担軽減にもつながるため、介助を必要とする方と同居しているご家庭では導入の検討をおすすめします。

水漏れしにくい

ユニットバスは、在来工法の浴室に比べて水漏れしにくい特徴があります。

万が一漏水が発生しても、ユニットバスの浴槽下に設置された防水パンが、水を受けるため、建物構造部の被害は最小限にとどまるでしょう。
また、給水・給湯管や追いだき管には架橋ポリエチレン管と呼ばれる樹脂管を使用します。鉄管や銅管のような劣化が起きにくく、水漏れリスクも軽減します。

ただし、定期的なメンテナンスは必要です。

ユニットバスのデメリット

数々のメリットがあるユニットバスですが、在来浴室に馴染みのある方にとってはデメリットに感じることも存在します。

在来浴室からユニットバスへ交換すると狭くなる

部屋の中にもう一つの部屋を組み立てるというユニットバスの構造上、在来浴室からのリフォームでは、ほとんどのケースで浴室が狭くなります。
在来浴室のタイルを剥がし、モルタルの斫り(はつり)工事を実施することで多少は広げられる場合もありますが、費用や工期などを考慮すれば現実的ではありません。

また、既存の在来浴室がユニットバスの規格寸法より小さな空間の場合、ユニットバスを設置することができないこともあるため、専門業者による念入りな現場調査が重要です。

デザインやレイアウトの自由度が低い

ユニットバスは選択したシリーズの中からしか、商品を選ぶことができません。
そのため、浴槽だけこれを使うといった柔軟な対応ができないデメリットがあります。

仮に社外品の設備が設置できたとしても、改造はメーカー保証の対象外となるためおすすめはできません。

ただし、最近は各メーカーの品揃えも豊富になり、選べる壁柄なども増えているので、あまり問題にならないかもしれません。

通気性が悪く湿気がこもりやすい

ユニットバスは気密性が高く断熱性に優れている反面、通気性が悪く湿気がこもりやすいデメリットがあります。

使用していないときは換気扇を回し、窓やドアを開放して湿気がこもらないようにしておく必要があります。

しかし、最近のユニットバスは水滴を壊すためのパターンを刻んだ乾きやすい床材を採用するなど、少しずつ改善されているのも事実です。

ユニットバスを正しく理解して理想の浴室を手に入れよう

ユニットバスは「お風呂とトイレが一緒になっているもの」と勘違いされることが多いようですが、実はそうではありません。
住宅のタイプに合わせて「1点ユニットバス」「2点ユニットバス」「3点ユニットバス」が存在します。

近年主流となっているユニットバスには、新製品の開発や工事のしやすさなど、さまざまなメリットがありますが、ユニットバスにリフォームする場合、浴室が今より狭くなる可能性があります。

現在お使いの浴室タイプも考慮し、それぞれのご家庭に合った方法でリフォームすることが大切です。

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  • この記事の監修者

    「東京ガスの機器交換」コラム編集チーム

    給湯器・コンロといったガス機器だけでなく、レンジフード・トイレ・浴室といった水まわり機器の交換に役立つ情報を幅広く発信していきます