トイレの止水栓(元栓)とは
トイレのタンクや配管、便器から水漏れしている場合、応急処置として止水栓を閉める必要があります。そもそも止水栓とは、水道管とタンクとの間に取り付けられる栓で、水道管からの水の供給を止めたり、量を調整したりする役割を担っています。
止水栓を開け閉めするのはどんな時?
通常、トイレを利用する際は止水栓は開けた状態にしておきますが、以下のような場合に開け閉めを行います。
水漏れなどトラブル発生時
トイレ周りから水漏れが起きた場合、止水栓を閉めることで浸水など被害の拡大を防げます。また、タンク内部品の破損等で水が止まらないトラブルが起こった場合も、止水栓を閉めることで水を止めることができます。
修理や交換作業時
トイレの給水管や接続部のパーツ交換、トイレタンクの修理等を行う場合は、次善に止水栓を閉めて作業を行う必要があります。また、トイレの交換やタンクまわりの部品交換をする際にも止水栓を閉めて作業をします。
水道管の凍結防止
寒冷地では、冬季に水道管が凍結する可能性があるため、必要に応じて止水栓を閉めることがあります。
災害時
地震や洪水などの災害が発生した際に、水の供給を止めるために止水栓を閉めることがあります。
止水栓と元栓の違い
止水栓の他にもう1つ、トイレへの給水を止める栓があります。それは、建物全体に水を供給する元栓です。止水栓はトイレへの水の流れのみを止める栓ですが、元栓はトイレだけでなく、キッチンや洗面台、その他の蛇口への水の流れを止めてしまうものです。トイレの止水栓自体に不具合があったり、交換が必要になったりする場合は、元栓を使用して家全体の水の流れを調整します。
トイレの止水栓の種類
止水栓は大きく3つのタイプに分けられます。
閉めるためにマイナスドライバーが必要なタイプと必要ないタイプがあります。
外ネジ式タイプ
止水栓の突起部分がマイナスの溝になっており、サイズが合うマイナスドライバーを使って開閉する仕組みになっているタイプで、多くのトイレで採用されています。マイナスドライバーを溝に合わせて、時計回りに回して閉めることができます。
内ネジ式タイプ
マイナス溝が突出していない方式で、マイナスドライバーを円形の穴に差し込んで閉めるタイプです。外ネジ式タイプと比較して、やや作業がしにくいのが難点です。マイナスドライバーを溝に合わせて、時計回りに回して閉めます。
ハンドル式タイプ
水道の蛇口と同様にハンドルを回して栓を閉めるタイプです。道具は必要なく、手で回せるメリットがあります。同様に、時計回りに回すと栓が閉まります。
止水栓を閉める時に必要なもの
ハンドル式タイプは古いトイレに多く、温水洗浄便座(ウォシュレット注)やシャワートイレ注)など)付きの最近のトイレには、外ネジ式タイプの止水栓が多く採用されています。止水栓を閉め際は、マイナスドライバーを用意しておきましょう。
他に、手が汚れないためのゴム手袋、水で漏れた際に拭き取るぞうきんとバケツ、床や壁に水がはねた時のためのビニールシートもあれば準備は万全です。
【止水栓を閉める時の準備物】
- マイナスドライバー
- ゴム手袋
- ぞうきん、バケツ
- ビニールシート
トイレの止水栓の閉め方
次に止水栓の閉め方ですが、作業そのものは難しくありません。止水栓の位置を確認して、ドライバーや手で閉めると完了です。この時に回した回数を覚えておくようにしましょう。詳細については、以下で解説します。
1. 止水栓の位置を確認する
まずは止水栓の位置を確認しましょう。タンクがあるタイプのトイレ(タンクレストイレ以外)の場合は、トイレの壁や床からタンクの給水管につながる箇所に設置されているのが基本です。タンクの給水管を辿っていけば止水栓を見つけることができます。
一方、タンクがないタンクレストイレの場合は、止水栓自体が便器の内部に収納されていることが多いようです。便器のカバーを外して確認しなければならないため、見つけるまでに時間がかかるかもしれません。万が一の水漏れの際に、スムーズに止水栓を閉めて応急処置を取るために、普段から位置を確認しておくことをおすすめします。
2. 止水栓を閉める
止水栓の位置が確認できたら、次に止水栓のタイプを確認し止水栓を止めます。上記で解説したように止水栓には外ネジ式タイプ・内ネジ式タイプ・ハンドル式タイプがあります。
止水栓を閉める前に、温水洗浄便座(ウォシュレット注)やシャワートイレ注)など)がある便器の場合は、コンセントを抜いておくと安心です。また、タンクがあるタイプの場合は、タンク内の水を流しておくことで、止水栓が閉まっていることが確認できます。
外ネジ式タイプ・内ネジ式タイプの場合はマイナスドライバーを使って時計回りに回すと閉まります。ハンドル式タイプの場合はハンドルを手で時計回りに回して閉めてください。
ドライバーを何回回したか覚えておく
冒頭でも解説したように、止水栓には水を止める機能と同時に、タンクへの給水量を調整する機能が備わっています。止水栓を全開にすれば水量が増え、開閉度合いを調整することでタンクに流れる水の量をコントロールできる仕組みです。
そのため、止水栓を閉める際は、ドライバーやハンドルで何回回したかを覚えておく、またはメモしておくとよいでしょう。元の状態に戻す際、閉めた時と同じ回数だけ回せば、調整された水量にセッティングすることができます。
止水栓が固くて回らない時の対処法
古いトイレの場合、サビや水アカが原因で止水栓が固着して回せないケースがあります。固くて回らない止水栓は、過度な力を加えると破損や変形してしまう恐れがあるため、無理は禁物です。力任せに回したり、ネジ山の溝を潰してしまったりしないよう、くれぐれも注意しましょう。止水栓では水を止めらない時でも、水道の元栓を閉めることでトイレへの給水を止めることが可能です。水道の元栓の位置を確認して、ハンドルを回して閉めてください。
トイレの止水栓を閉めても水が出る場合の対処方法
トイレの止水栓を閉めても水が出る場合は、止水栓がしっかりと閉まっているか、閉める方向が誤っていないか、ハンドルやレバーが完全に締まっているかを確認します。また、止水栓の劣化や不具合、ゴムパッキンの劣化がないかも見てみましょう。
上記の確認を行っても問題が解決しない場合、それ以上無理に止水栓を操作せず、専門の水道業者に相談することをお勧めします。水漏れの応急処置は水道の元栓を締めることで対処しましょう。
トイレ止水栓の寿命、経年劣化について
止水栓の寿命は、使用条件や環境によって寿命が変わります。通常、10年程度は問題なく使用できることが多いですが、年数によらず劣化や故障が見られる場合は早期に交換することを推奨します。
止水栓の経年劣化の原因
止水栓は、水中のミネラル分や塩素等の影響で少しずつ劣化していきます。また、湿気が多い、温度変化が大きいなどの使用環境、限度を超えて締めこんでしまった等の使用状態も、内部部品に負担がかかり劣化の原因となり得ます。
劣化しやすい部品
ゴムパッキン
ゴムは時間の経過とともに劣化し、ひび割れや硬化を起こします。これにより、水漏れを引き起こすことがあります。
バルブ
開閉する際に摩耗し、動きがスムーズでなくなることがあります。
ナットや接続部分
締め付けが不十分で、水圧や振動によって緩むことがあり、これも水漏れの原因となります。
交換が必要になる症状
止水栓の交換を考えるべき具体的な症状は以下の通りです。
水漏れ
止水栓周辺から水漏れがある場合、パッキンやバルブが劣化している可能性があります。時間経過で悪化する恐れがあるため、早めの交換がお勧めです。
操作が硬い
止水栓の開閉がスムーズでない、あるいは硬くなっている場合、内部の部品が摩耗しているか問題があることが考えられます。無理に開閉すると配管破損につながるおそれがあるので、交換が推奨されます。
錆や腐食
外見に錆や腐食が見られる場合、内部にダメージがある可能性が高く、交換が推奨されます。
止水栓の定期点検
止水栓は通常開閉することはありませんが、定期的に点検を行っておくと安心です。特に10年を過ぎたら定期的に状態を確認し、気になる症状がある場合は、交換を検討することをお勧めします。
止水栓の開け方と注意点
配管の修理などが完了した後は、止水栓を開けて元通りにしなければなりません。マイナスドライバーを使って、ハンドル式の場合は手動で反時計回りに止水栓を回せば、水道管から給水できるようになります。
止水栓を閉める際に覚えておいた回数と同じだけ回すと、初期と同様に調整された水量に戻すことができます。止水栓を開きタンク内への給水が開始されたら、水漏れなどが起こっていないかを確認しましょう。
なお止水栓は開けすぎてしまうとタンク内への給水が多くなり、タンクからの水漏れにつながります。逆に閉めすぎてもタンク内への給水が少なく、流す際の水勢が弱くなってしまいますので、止水栓を回す回数は特に注意する必要があるのです。
止水栓から水漏れ!どう対処すれば良い?
止水栓本体や止水栓と接続された給水管などから水漏れが生じている場合は、給水フィルターの目づまりやパッキンの劣化が原因であると考えられます。水漏れが確認された際の対処方法は、給水フィルターの洗浄、パッキンの交換が一般的です。
専門の修理業者に依頼すれば、いずれの場合も対応してもらえますが、ご自分で修理・交換する際は、以下の手順で行うことが可能です。
【給水フィルターの洗浄手順】
- 水道の元栓を閉める
- 止水栓を閉める
- マイナスドライバーを使って給水フィルターキャップを開ける
- 給水フィルターを取り出し水洗いする
- 取り外した逆の手順で給水フィルターを取り付ける
- 止水栓と元栓を開けて給水を確認する
【ゴムパッキンの交換手順】
- 水道の元栓を閉める
- バケツを設置して配管内の残水を受ける
- 止水栓のナットを緩めて外す
- 止水栓内の三角パッキンを取り外す
- スピンドルを反時計回りに回して外す
- スピンドル下にあるコマパッキンを取り外す
- 交換用の新しいコマパッキンを設置する
- スピンドルを元通りにセットして閉める
- 新しい三角パッキンに交換
- 元の通りにナットを閉める
- 元栓・止水栓を開けて水漏れを確認
作業が難しい場合は修理を依頼しよう
止水栓の閉栓や水漏れの修理・交換作業は難しいと感じることもあるでしょう。その際は無理に作業せずに修理を依頼してください。
先述のように、止水栓の内部や配管との接続部分でサビや水アカによる固着が生じている可能性もあります。過度な力を加えることで、止水栓のマイナス溝をドライバーでナメてしまったり、配管そのものを傷付けたり変形させてしまったりするケースもあります。
変形した配管や接続部分が新たな水漏れの原因となった場合、さらに被害が拡大するリスクも想定されます。固着した止水栓の開栓やナットの取り外しには、専門の道具や工具が必要になる上、経験のある技術者でなければ対応が難しいケースも珍しくありません。自己判断による作業で破損や損傷が生じてしまうとトイレを使えない期間が長くなり、修理の費用も余計にかかるためくれぐれも無理をしないことが大切です。
修理を依頼する場合のポイント
部品の交換・修理を依頼する際には、症状やお使いのトイレのメーカー・種類などの詳細な情報を伝えておくとスムーズに修理作業が進みます。取扱説明書やトイレ本体に刻印されている型番などで確認可能です。
Webでご依頼される場合は、トラブルが起こっている場所やトイレの外観がわかる写真を添付したり、型番やトイレの使用年数なども記載するとよいでしょう。
修理を依頼する場合の作業時間の目安
修理にかかる時間に関しては症状や作業内容によって異なりますが、各種パッキン交換やトレイ内部の部品交換であれば1時間程度の作業時間で完了するケースが多いです。東京ガスでは、トイレをはじめとした水回りのトラブルに最短で当日の訪問日時から選ぶことができます。お困りの際はぜひ検討ください。
修理を依頼する場合の料金の目安
修理費用は症状や作業内容により異なります。部品や本体の交換をする場合は、部品費と本体代が修理費用に追加で発生し、出張費・作業料金・部品代でトータルの支払い金額が決まります。
以下、東京ガスの料金を紹介します。
- 各種パッキンの交換 / 9,900円(税込)
- タンク内部の部品交換修理 / 9,900円(税込)+部品費
- 便器周りの部品やタンク脱着を伴う部品の交換 / 16,500円(税込)+部品費
注)2024年6月1日現在の情報です。
止水栓の閉め方・開け方を理解してもしもの時に備えよう
トイレのトラブルで多い水漏れの応急処置は、まず止水栓を閉めてから作業を行います。配管の交換や修理はもちろん、給水フィルターの洗浄やパッキンの交換の際にも、止水栓を閉めて作業する必要があります。もしもの時にあわてることがないように、普段から止水栓の位置を確認して、開け閉めするための手順を理解しておくとよいでしょう。
また、止水栓自体が原因で水漏れが発生するケースも珍しくありません。原因が止水栓の内部に使われているパッキンの経年劣化であれば、適合するパーツを調達し、ご自身で交換作業も可能です。しかしパーツが分からない場合や作業に自信がない方は修理を依頼すると安心です。
東京ガスでも、トイレをはじめ水回りの修理サービスを提供しています。最短で当日の修理対応も可能で、豊富な実績や分かりやすい料金設定により、お客様から高評価をいただいています。修理予約はWebから簡単に行うことができますので、まずは気軽に問い合わせをしてみてください。
注)「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
注)「シャワートイレ」は株式会社LIXILの登録商標です。