この記事でわかること
- 卒FIT後の対応方法がわかる!
- 卒FIT後のそれぞれの選択肢のメリットがわかる!
- 自家消費に関する設備についてわかる!
太陽光発電に関わる制度!?「卒FIT」とはどういう意味?
「卒FIT」とは、FIT制度の買い取りが満了するという意味です。FIT制度は、2009年11月にスタートした、太陽光で発電した余剰電気の買取を国が保証する制度のこと。2019年11月から順次、買取期間満了を迎えます。
FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)について詳しく知りたい!
FITでは、発電設備の容量が10kW以上の場合には、発電した量すべてが買い取りの対象ですが、10kW未満の場合は、発電した量のうち、ご自宅で消費した後の余剰分が買取対象となります。一般的に個人のお宅がソーラーパネルを住宅の屋根に載せて発電するケースでは、ほとんどがこの余剰分買い取りの対象だと考えて良いでしょう。
買取価格は毎年見直されて、制度開始初期に比べると段々と安くなっています。2019年度の家庭用太陽光発電(10kW未満)の場合は単価24~26円と、前年より買取価格は1~2円安くなっています。
参考:資源エネルギー庁「固定価格買取制度 制度の概要」
我が家の場合はいつ満了?「卒FIT」を迎える時期とは?
売電開始年度 | 10kW未満 | 10kW未満 ダブル発電 | 10kW以上 | FIT満了年度 | |||
出力制御対応 機器設置義務 なし | 出力制御対応 機器設置義務 あり | 出力制御対応 機器設置義務 なし | 出力制御対応 機器設置義務 あり | 10kW未満 | 10kW以上 | ||
2015年度 | 33円 | 35円 | 27円 | 29円 | 29円|27円 | 2025年度 | 2035年度 |
2016年度 | 31円 | 33円 | 25円 | 27円 | 24円 | 2026年度 | 2036年度 |
2017年度 | 28円 | 30円 | 25円 | 27円 | 21円 | 2027年度 | 2037年度 |
2018年度 | 26円 | 28円 | 25円 | 27円 | 18円 | 2028年度 | 2038年度 |
2019年度 | 24円 | 26円 | 24円 | 26円 | 14円 | 2029年度 | 2039年度 |
2020年度 | 21円 | 13円 | 2030年度 | 2040年度 | |||
2021年度 | 19円 | 12円 | 2031年度 | 2041年度 | |||
2022年度 | 17円 | 11円 | 2032年度 | 2042年度 | |||
2023年度 | 16円 | 9.5円 | 2033年度 | 2043年度 | |||
2024年度 | 16円 | 10円 | 2034年度 | 2044年度 | |||
2025年度 | 15円 | 10円 | 2035年度 | 2045年度 |
参考:調達価格等算定委員会 (METI/経済産業省)
そもそもFIT制度は、太陽光発電システムの普及を目的に、再生可能エネルギーで発電した電力を10年間安定的に買い取ることを保証する国の制度です。しかし、いつ自分の家が「卒FIT」を迎えるのか気になる方もいるでしょう。
「卒FIT」は太陽光発電の設置後、10年の買い取り期間を経過すると自動的に迎えます。ただし、10kWhは20年間です。
例えば、2009年に太陽光発電を導入した場合、10kWh未満であれば10年間「1kWhあたり48円」の固定価格で買い取りが可能ですが、2019年に卒FITを迎えます。
FIT制度期間の満了が近づくと、電力会社から事前に通知が届きます。通知が届いたら、同じ会社で売電を継続するか、新たな会社と契約するかを検討しましょう。
卒FIT後は売電価格はどうなる?
卒FIT後も契約していた電力会社の継続利用は可能ですが、固定価格での買い取りはできなくなり、買取単価が大幅に下がります。
例えば、FIT期間中の買取単価が「42円/kWh」だった場合、卒FIT後は「10円/kWh」に下がり、年間で約133,458円、10年でおよそ110万円の売電収入が減少することになります。
そのため、卒FIT後もそのまま同じ電力会社で売電を継続していると、損をしてしまう可能性があります。売電価格が下落する理由は、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が買い取りに充てられなくなるためです。
なお、卒FIT後は、各電力会社が設定した買取価格になります。
卒FIT後の選択肢3つ
卒FIT後に太陽光発電の設備を撤去する選択もできますが、費用をかけて設置した設備を活用できる方法を選ぶ方が賢明です。
卒FIT後も太陽光発電は売電収入を得ることや、自宅で使用する電力として消費するのに役立ちます。ここからは、卒FIT後の次の3つの選択肢と、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
- 選択肢1.余剰電力の自家消費をする
- 選択肢2.売電先の電力会社を乗り換える
- 選択肢3.今契約をしている電力会社へ売電を続ける
【卒FIT後の選択肢1】余剰電力の自家消費をする
卒FIT後は、太陽光発電システムで作った電気を電力会社への売電から自家消費に切り替えることも一つの方法です。
自家消費とは、太陽光発電で作った電気を家庭用蓄電池にためて利用することを意味します。自家消費を始める場合は、家庭用蓄電池を導入する必要があります。自家消費の場合、売電収入は得られませんが、電気代の節約が見込めます。
家庭用蓄電池を導入することで、消費電力の少ない時間帯に発電した余剰電力をためておき、夜間や雨の日などの発電できない時間帯に自家消費することが可能です。
停電の際は、日中に太陽光発電の電気をためておき、必要なタイミングで消費できるなど、非常用電源としても活用できます。余剰電力を売るよりも経済的です。
余剰電力の自家消費のメリット
余剰電力の自家消費のメリットは、電気代の削減です。太陽光発電で作った電気を自宅で消費することで、購入する電気量が減るため、電気代を抑えられます。
昨今は、燃料価格の高騰から電気代が値上がりしている状況です。売電価格よりも電気代の単価のほうが高いため、自家消費による電気代の削減効果も高まります。
また、余剰電力の自家消費はCO₂排出削減にも繋がります。太陽光発電は発電時にCO₂を排出しないクリーンな電気です。自宅で使用する電気を太陽光発電でまかなうことで、環境保全や地球温暖化防止に貢献できるでしょう。
【卒FIT後の選択肢2】売電先の電力会社を乗り換える
卒FIT後に、売電先の電力会社を乗り換える方法も有効です。
2016年4月の電力全面自由化により、新規参入した新しい電力会社は「新電力」と呼ばれています。新電力の多くが余剰電力の買取サービスを行っており、売電先の選択肢も多いでしょう。最も高く買い取ってくれる新電力を探すこともおすすめです。
新電力に売電を行うことで、エリアの電力会社への売電を継続するよりも、高く買い取ってもらえる場合があります。これは、新電力は固定価格買取制度の買取価格に上乗せした価格である「プレミアム価格」で買い取っているためです。
ただし、新電力ごとにポリシーや料金メニュー内容、付随する条件が異なるため、Webで公開されている情報だけを参考にして選ぶのは少し危険かもしれません。
長期的に利用することになるため、新電力に買い取ってもらう場合は、慎重に選ぶようにしましょう。
売電先の電力会社を乗り換えるメリット
売電先の電力会社を乗り換えるメリットは、売電収入が増やせることです。新電力は、固定買取価格制度の売電単価より高い単価で買い取ったとしても、事業が成立します。そのため、上乗せしたプレミアム価格での買取が可能です。
また、よりお得なセットプランを用意している事業者も多く、売電と一緒に電気の契約や蓄電池を購入することで、買取価格が数円上がることもあります。
さらに、電気を売らずに寄付すれば、地域の特産品がもらえる料金メニューや、ポイントがもらえるタイプなど、独自の特典を提供している事業者も存在します。
売電先を変更することで、発電設備の投資回収が早まるというプラスの効果が期待できるでしょう。
卒FIT後の売電先電力会社の変更方法
卒FIT後に売電先の電力会社を変更する方法は、以下の通りです。
- 資源エネルギー庁のWebサイトなどで居住エリアで利用できる事業者を確認する
- 最新の受電地点特定番号と顧客番号が記載された「電気ご使用量のお知らせ」を準備する
- 変更先の電力会社に電話またはWebサイトで申し込む
- 変更先の電力会社にて、旧電力会社に対する解約手続きと契約切り替え申請手続きを行う
- 申し込みから約1ヶ月後に売電開始
これまで契約している電力会社への解約の連絡をする必要はありません。ただし、契約条件によっては変更の際に違約金や手数料を請求される場合があるため、契約内容を確認しておきましょう。
東京ガスは、太陽光発電した電力の買取価格が業界トップクラス!
東京ガスでも電気の買い取りサービスを受け付けています。ご家庭で使いきれなかった余剰電力を、蓄電池購入サポートプランの場合は「23円/kWh」、太陽光買い取りプランでは「10.5円/kWh」で買い取り可能です。
東京ガスとガスや電気の契約がない方でも、東京電力管内であれば契約できますので、ぜひチェックしてみてください。
【卒FIT後の選択肢3】今契約をしている電力会社へ売電を続ける
卒FIT後もFIT期間中と同じように、余った電力を電力会社に売る方法もあります。売電を継続する場合、売電先の電力会社や料金メニューを変更する必要がない場合がほとんどです。また、蓄電池を後付けするといった設備の変更もありません。
ただし、自動継続ではない電力会社の場合は、手続きが必要になります。放っておくと、無償で電力を提供し続けることになってしまったり、買取価格が下がってお得な料金メニューを選択する機会を逃してしまったりする可能性があるため、注意しましょう。
契約をしている電力会社へ売電を続けるメリット
卒FIT後も契約している電力会社に売電を続けるメリットは、新しい売電先を探す手間と時間がかからないことです。基本的に手続きも不要で、必要な場合でも継続手続きのみで済みます。
売電先が大手の東京電力や関西電力などであれば、契約が自動継続になっていることが多く、安心感もあるでしょう。
ただし、料金メニューが複数用意されている場合、買い取り価格や契約条件が異なる場合があります。電力会社のWebサイトなどを確認しておくことが大切です。
余剰電力の自家消費に関連する設備
太陽光発電の自家消費とは、発電した電力を自宅や企業で利用することです。自家消費することで、電気代を削減できるのがメリットです。
自家消費に関連する設備として、蓄電池やエコキュートが挙げられます。それぞれについて解説していきます。
蓄電池

余剰電力の自家消費に役立つのが、蓄電池です。蓄電池を利用することで、電気の自給自足を目指せます。日中に太陽光から発電した電力を家庭内で使用し、余った電気を蓄電気にためることが可能です。
太陽光の発電ができない早朝や夜間などの時間帯に、蓄電しておいた余剰電力を必要に応じて使用すれば、お得に電気を消費できます。
FIT満了後も太陽光発電の恩恵を受けることができるため、導入を検討してみてください。
エコキュート

卒FIT後に自家消費を行う場合、エコキュートの導入や連携も大切です。エコキュートとは、ヒートポンプ技術で空気の熱を利用して効率よくお湯を沸かす電気式給湯器のことを指します。太陽光発電と同じように脱炭素という点で優れた機器です。
FIT期間中は、沸きあげ時間を電気代が安い夜間に設定し、一度に大量のお湯を沸かしておき、そのお湯をキッチンやお風呂に使います。
卒FIT後は、沸き上げ時間を昼間に設定し、発電した電気を自家消費しましょう。エコキュートで自家消費することで、余った電力を有効活用でき、電気代の削減に繋がります。
すでにエコキュートを購入している方は、卒FIT後は沸き上げ時間を変更してみてください。
卒FIT後の太陽光発電の活用は東京ガスにおまかせ!
FIT終了後の選択肢としておすすめなのが、蓄電池を購入することです。蓄電池を導入することで、自家消費の効率が上がります。太陽光発電は昼間のみ電力を作りますが、蓄電池があると電力を蓄え、夜間や必要な時に使用できるようになります。
蓄電池購入について詳しく知りたい方は、下記を参照ください。
また、蓄電池があると、夜間にも太陽光発電システムの電力を使用できるため、電力会社から購入する電力量を減らすことができ、電気代の節約に繋がります。
さらに、電気を購入する際に電気が安い料金メニューに加入し、その時間帯に電気を購入してためておくなど、お得な買い方ができます。
東京ガスでは、卒FIT後の方向けに余剰電力の買取サービスを提供しています。蓄電池購入サポートプランを利用することで、半年間は最大「23円/kWh」で売電することが可能です。ぜひ検討してみてください。
東京ガスの太陽光電力買取サービスは最大23円/kWhで買い取り
東京ガスではFIT制度満了後に太陽光余剰電力の買い取りサービスを提供しています。
下記の2つの料金メニューからお選びいただけます。
- 太陽光買取プラン:10.5円/kWh
- 蓄電池買取サポートプラン:23円/kWh
太陽光買取プランはどんな方でも申し込み可能で、適用期間の限定もありません。
蓄電池買取サポートプランは、東京ガス指定の販売店にて、対象となる蓄電池機種の購入者限定で、半年間最大23円/kWhの買取単価が適用されます。
卒FIT後の選択肢として、ぜひご検討ください。