注意すべきトイレの症状2つ
トイレは住宅の水回りの中でも使用頻度が高く、トラブルが起こりやすい設備です。快適に使い続けるためにも、2つの症状に注意しましょう。
1. 封水の水位が低い
便器には、常に一定の水がたまるような仕組みが採用されています。この水を封水といいます。封水は、排水管の接続部分に水を留めておくことでふたのような役割を果たすため、排水管からニオイが上がってきたり害虫などが侵入したりするのを防いでくれます。この仕組みはトイレ以外にも、キッチンシンクや洗面台などの水回り設備にあります。
封水には適正な水位があり、必要以上に増えたり減ったりすることは望ましくありません。特に正常な水位よりも下がり、排水管につながる穴が覆いきれない状態になると、悪臭がトイレ内に充満する原因になってしまいます。
2. コポコポという音が鳴る
トイレの封水の水位が下がる症状と同様に、便器の底からコポコポという異音が発生する場合も注意が必要です。排水管に不具合があったりトイレタンクにトラブルが起こったりすることで、排水管内の空気が漏れてコポコポと異音が発生している可能性があります。排水管に不具合が起きていると想定されるので、早急に修理が必要になります。
【原因別】トイレの水位が下がりコポコポ鳴るときの対処方法
ここからは、トイレの水位が下がっている場合やコポコポと音が鳴っている際の具体的な対処方法を解説していきます。身近にある道具を使って解消できる場合もあるため、ぜひ試してみてください。
トイレのつまりが原因の場合
トイレットペーパーなどが便器の奥でつまってしまうと、水位が下がる原因になります。本来であれば、便器の底にたまるはずの封水をトイレットペーパーなどの異物が吸収してしまうことで、水位が下がるのです。代表的な対処方法は次の3つです。
バケツで水やお湯を流す
トイレのつまりを解消する方法としてまず試したいのが、バケツを使って水やお湯を便器に流し込む方法です。バケツにくんだ水の勢いで、排水管内の異物を取り除けば、適正な水位にまで戻すことができます。
まずは、バケツや大きめの容器を用意してください。蛇口から水をくみ、便器のボウル面をめがけて勢いよく流しましょう。コツはできるだけ高い位置から注ぎ、滝のように強い勢いにすることです。排水口につまったトイレットペーパーを水の勢いでほぐすイメージで流してください。あまり大量に水を入れると便器から溢れ出てしまうため、数回に分けて流し込みながら、つまりが解消されるかどうか様子を見るのがよいでしょう。
水では効果が得られない場合は、40℃~60℃のお湯を使うと改善できる場合があります。ただし、絶対に70℃を超えるような熱湯は使用しないでください。陶器製の便器は高温に弱く、熱湯によって割れてしまう可能性があります。40℃~60℃のお湯を数回に分けて流し込み、1時間ほど放置して、元通りの水位にまで戻るか確認しましょう。
スッポンを使ってつまりを解消する
水やお湯を使ってもつまりが解消できない場合は、スッポン(ラバーカップ)を使うのが効果的です。ラバーカップを排水口に密着させたら、ゆっくりとカップ内の空気を押し込んでください。その後勢いよく引き抜くと異物を吸いだすことができます。ポイントは上手く真空状態を作ることと、ラバーカップの先端が水に浸かっている状態で行うことです。トイレの水が跳ねて床を汚してしまうこともあるので、ビニールシートで床を覆っておくとよいでしょう。
ラバーカップを購入する際は、洋式用と和式用を間違わないようにしてください。先端部分(ゴム部分)が半球になっているお椀型のものは、和式用のラバーカップです。一方の洋式用は、ゴム部分に突起がある特殊な形状をしていて、口径が小さく深い洋式トイレの排水口に適しています。
異物を直接取り除く
ワイヤーブラシや真空式パイプクリーナーを使って、異物を直接取り除く方法も有効です。スッポン(ラバーカップ)ではうまく解消できない場合、ホームセンターなどで配管清掃用のワイヤーブラシや真空式パイプクリーナーを購入して、つまりの原因となっている異物を直接取り除いてみましょう。ただし、あまり配管の奥にまでワイヤーブラシを突っ込んでしまうと、今度は逆に抜けなくなってしまったりするため、作業は慎重に行ってください。あくまでも、ご自分でできる範囲の作業に留めておくのが望ましいです。
誘引現象が原因の場合
誘引現象が原因となって水位が下がることもあります。誘引現象とは、排水管に流れる水の勢いが強く、本来であれば便器内に留まるはずの封水まで排水されてしまう現象です。集合住宅など、複数の部屋で配管を共有している仕組みになっている建物で起こりやすいとされています。隣家のトイレで大量に排水した際に、排水管内の気圧が下がり、自宅トイレの封水も一緒に引き込まれてしまうのです。また、戸建て住宅であっても、トイレや浴室などで一斉に排水が行われると起こる可能性があります。近所で水道工事が行われている際にも、同様の現象が発生することもあるでしょう。
トイレの水を流す
誘引現象によって起こる封水切れは、水を流すことで解消できます。配管内の気圧が下がる現状は一時的なものです。水を流して通気されることで解消するケースがほとんどですが、頻繁に起こるようであれば通気ができる排水管を新たに設置するなどして解消しなければなりません。
戸建ての場合は修理を依頼する
家族が多く、生活に支障をきたすレベルで誘引現象が発生するようであれば、通気可能な配管を新たに設置して対処する方法もあります。戸建て住宅であれば、修理を依頼してみましょう。
賃貸の場合は管理会社に相談する
複数の部屋で配管を共有している集合住宅や、賃貸物件にお住まいの場合は、自己判断での工事は避けてください。排水管は共有設備の一部であるため、戸建て住宅とは違ってご自分の判断では工事できません。工事自体も大掛かりなものになるため、必ず管理会社や物件のオーナーに連絡して対処を依頼するようにしましょう。
流れる水量が少ないことが原因の場合
便器に溜まる封水は、トイレタンクにためられた水が流れ出たものです。そのため、タンクから流れる水量が少ないことが原因となっている可能性も考えられます。トイレタンク内には、水を流すためにいくつもの部品が使われていますが、経年劣化によって破損することが珍しくありません。一つでも部品が壊れると、他の部品との連動ができなくなって、故障したり正常に水が流れなくなったります。
トイレタンク内の故障した部品を交換する
トイレタンクの内部は、給水管からの水をためてレバー操作で流れ出るように、複雑な仕組みでできています。使用部品数も多いだけに、故障が起こりやすい箇所といえるでしょう。タンク内に既定の量まで水がたまれば、水道管からの給水が自動で止まりますが、水量を調整するボールタップや浮き球といった部品が劣化して損傷し、正常な位置まで水がたまらないといった不具合が起こります。
プラスチック(樹脂)やゴム素材が部品として使われているため、経年による劣化・損傷が避けらず、取り替え用の新しい部品への交換が必要になります。
トイレの修理を依頼する
ホームセンターなどでは、ボールタップや浮き球といった部品の汎用品が販売されているため、交換部品の調達そのものは難しくありませんが、狭いトイレ内で重たいタンクのふたを取り外して行う作業は大変です。また作業の前には、タンク内の水を抜いておくなどの事前準備も必要です。ご自分での修理が難しいと感じたら、修理を依頼するのがよいでしょう。タンクのふたをぶつけたりタンク本体に破損が生じたりすると、さらに修理費用がかかってしまいかねません。
便器の破損が原因の場合
トイレの水位が下がったりコポコポと異音が発生したりする封水切れの原因として、さらに考えられるのが便器本体の破損です。便器本体からの水漏れによって封水切れが起こり、異臭や異音が発生することがあります。上記で解説した他の理由に比べて、便器本体に原因がある故障の場合は深刻なケースが多く、大掛かりな交換作業が必要になります。破損箇所や水漏れ箇所を一時的に補修・修理しても完全には元に戻らず、継続して使用することが難しい場合がほとんどです。
トイレの修理業者に依頼する
便器本体の破損や、便器・排水管の接続部分からの水漏れなどが原因で封水切れが起きた場合、ご自分での修理は困難です。特に床下の便器と排水管の接続部分の修理などは、プロでないと手が出せない部分です。また便器を交換するとしても、不要になった便器を廃棄処分する必要があります。もろもろの費用を考えても、専門知識や技術を持った修理業者に依頼した方が良い場合もあります。ご自分での修理が難しいと判断した場合は、トイレ交換にも対応している修理業者へ連絡しましょう。
水の蒸発が原因の場合
封水切れは、蒸発によっても起こります。特に気温が高くなる夏場などには注意が必要です。長期間にわたって家を留守にした後などに封水切れが起こり、排水管からの悪臭がする場合があります。
トイレの水を流す
水の蒸発が原因で封水切れが発生した場合、トイレの水を流すことで適正な水位にまで回復させることができます。事前に封水切れを防ぎたい場合は、トイレを流した後に水をつぎ足して、意図的に封水の水位を上げておく方法が有効です。また、排水用の特殊蒸発防止剤を使う方法もあります。殺菌成分が配合されていて、封水の蒸発を防ぐと同時に、悪臭の発生も防いでくれる効果が期待できます。
トイレの水位が下がった原因に対して自分で対処する際の注意点
トイレの水位が下がる場合、ご自分でも対処することは可能です。ただし、あらかじめ作業する上での注意点を理解しておきましょう。また、トイレのつまりを解消しようとして、無理な作業を行うと排水管や便器を傷つけてしまうことがあるため、注意してください。
非水溶性(固形物)のものがつまっている場合はスッポンを使わない
スッポン(ラバーカップ)はトイレつまりの解消に有効ですが、場合によっては使わない方がよいケースもあることを理解しておきましょう。
スッポンの目的はつまっている異物を取り除くのではなく、押し流すことにあります。そのため、排泄物やトイレットペーパーなど水に溶けるもの以外が原因でつまりが起きている場合、スッポンによって排水口や排水管のさらに奥に異物を押し込んでしまい、事態が余計に悪化しかねません。
また、トイレ内に誤って生理用品や紙おむつのような吸水性ポリマーが使用されているものを流した場合も、押し込むような作業は控えてください。こうした固形物が排水管の内部に押し込まれると、亀裂やつなぎ目部分の変形を引き起こし、重大な水トラブルが発生してしまう恐れがあります。
ブラシなどを無理に突っ込まない
ブラシを配管に差し込んでつまりを解消したり、家庭用の高圧洗浄機に専用の配管清掃ノズルを付けて作業したりする場合、必要以上に奥へ突っ込まないように注意してください。配管は、上下左右に複雑に折れ曲がっているため、ブラシやノズルが途中で引っ掛かって抜けなくなるリスクがあります。こうした事態が起こりえることを十分に想定した上で、可能な範囲で慎重に作業するようにしましょう。
ご自分で対処するのが難しいと感じたら修理を依頼する
トイレの水位が下がっている原因が固形物のつまりなら、取り除くことで解消できます。ですが、排水管の奥に異物がつまってしまうと取り除くために大掛かりな工事が必要になり、必要以上の出費が発生します。トイレが使用できるようになるまで不便な生活も続いてしまうため、ご自分での作業が難しいと判断したら、プロに修理を依頼しましょう。
トイレの水位が減ったら修理を依頼して状態を確認してもらおう
ここまで解説してきたように、トイレの水位が下がる原因は実にさまざまです。ここでは修理を依頼する場合のポイントや作業時間・費用について解説します。
修理を依頼する場合のポイント
部品の交換・修理を依頼する際には、水漏れの症状やお使いのトイレのメーカー・種類などの詳細な情報を伝えておくとスムーズに修理作業が進みます。取扱説明書やトイレ本体に刻印されている型番などで確認可能です。
Webでご依頼される場合は、水漏れが起こっている場所やトイレの外観がわかる写真を添付したり、型番やトイレの使用年数なども記載するとよいでしょう。
修理を依頼する場合の作業時間の目安
修理にかかる時間に関しては症状や作業内容によって異なりますが、フロートバルブなどの部品交換であれば1時間程度の作業時間で完了するケースが多いです。
東京ガスでは、トイレをはじめとした水回りのトラブルに最短で当日の訪問日時から選ぶことができます。お困りの際はぜひ検討ください。
修理を依頼する場合の料金の目安
トイレの水位が下がってしまう不具合の修理依頼した場合、必要な費用は原因や修理方法によって異なります。ここでは、東京ガスの水回り修理サービスの費用をまとめましたので、実際に点検や修理を依頼する際の参考にしてみてください。
注)費用例は2024年6月1日現在の情報です。
【トイレつまりを解消する場合】
- 便器脱着を伴わないつまり除去/9,900円
- 便器脱着を伴うつまり除去/36,300円
注)上記に加えて、別途部品代がかかる場合があります。
【トイレタンクを修理する場合】
- タンク内部品交換/9,900円
- タンクまわり部品交換/9,900円
- タンク脱着を伴う部品交換/16,500円
注)上記に加えて、別途部品代がかかる場合があります。
上記の金額に加えて、ウォシュレット注)などの温水洗浄便座や専用リモコンなどの本体代金、および取付工事費用が加算される場合があります。またトイレの交換費用は、選択する製品のグレードや仕様によっても金額が異なります。費用の内訳や詳細については、見積もり時にお問い合わせください。
トイレの水位が低いのに気付いたら無理のない範囲で対処しよう
トイレの封水はよく考えられた仕組みになっていて、快適なトイレ環境を作り出す一役を担っています。そのため、封水の水位が下がると悪臭や害虫の侵入などの問題が発生しやすくなってしまします。もしご自宅のトイレの水位が下がっているようであれば、今回説明した内容に沿って原因を特定して対処してください。
またご自分の力だけでは原因が分からなかったり、対処が難しいと感じたりすることがあれば、ぜひプロの力を頼るようにしましょう。東京ガスでは、水回りのさまざまなトラブルに対応しています。電話でのご相談はもちろん、Webからも最短当日の訪問日から修理をご予約いただけます。高い技術力を持った修理スタッフが対応しますので、トイレでお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
注)「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。