キッチンの高さは何センチが選べる?
キッチンの高さはほとんどのメーカーで共通して「80cm」「85cm」「90cm」の3種類から選ぶことができ、一部では95センチの商品も存在します。
また、LIXILのリシェルでは間に「82.5cm」「87.5cm」と2.5cmきざみで商品展開しています。
他機種よりも選択肢が多いので、高さにこだわりたい方におすすめです。
キッチンの高さを最適にすべき理由
キッチンは長く使うものなので、快適に使い続けるためにも高さにはこだわりたいものです。
ワークトップの高さはキッチンの使い心地に直結するだけでなく、誤った高さを選ぶことで弊害を生むことがあります。
それでは、具体的な弊害を見ていきましょう。
腰痛・肩こりの原因になる
不適切な高さのキッチンで毎日作業をしていると、腰痛や肩こりを引き起こすことがあります。
シンクはワークトップよりも一段下がっているため、低すぎるキッチンを選択してしまうと洗い物をするときの腰への負担が大きくなり、腰痛につながることも少なくありません。
反対に、高すぎるキッチンは作業中に肩に力が入ってしまい、肩こりの原因となります。
毎日利用する設備だからこそ、適した高さを選択して身体への負担を最小限に抑えましょう。
包丁が使いづらい
キッチンの高さが高すぎると包丁が使いづらくなるので注意が必要です。
とくにキャベツやスイカなどの大きな野菜類や、かぼちゃのような固いものを切るときに力が入りづらくなります。
無理に力をかけようとすると滑ったり勢いが余ったりしてケガをする可能性もあり、とても危険です。
実際に調理をするときのイメージをして、安全に作業ができる高さのキッチンを選びましょう。
水はねする
ワークトップよりも一段低いシンクは、高さが低ければ低いほど水はねの影響が大きいです。
洗い物をするときは流し台に向かって前屈みの体勢となるため、低い位置での水はねは衣服のお腹部分を濡れやすくします。
先に説明したような肩こり・腰痛・ケガといった身体的なストレスはありませんが、洗い物で毎日衣服が濡れるのは精神的なストレスです。
余計なストレスを蓄積しないためにも、水はねの影響が少ない高さ選びが重要です。
キッチンの高さは身長をもとに計算する
キッチンの高さは、使う人の体型に合わせて選ぶ必要があり、2つの計算式を用います。
1つ目は身長から割り出す計算式です。
キッチンの高さ(cm)=身長(cm)÷2+5cm |
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この計算式は多くのメーカーでも推奨されているため、ご自身の身長を当てはめて計算してみることをおすすめします。
しかし、この式で計算したキッチンは、腕の長さを考慮していないため、合わない人もいるようです。
そのため、次の計算式も併用すると良いでしょう。
キッチンの高さ(cm)=肘高(cm)-10cm |
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この式は実際に作業をするときの腕の角度を考えた計算式なので、作業のしやすいキッチンに仕上げるための基準にできます。
これら2つの計算式は必ずしも同じ答えになるわけではないため、両方活用して間をとるなどして自分に合った高さ選びの目安にしましょう。
キッチンの高さ選びに迷ったら?
リフォームは大きな買物なので、いくら自分の体型に合う計算を試してみても、なかなか決められないものでしょう。
そこで、キッチンの高さで迷ったときに失敗しないための選び方をご紹介します。
より納得のいくキッチンリフォームのために参考にしてみてください。
「高め」のキッチンを選ぶ
キッチンの高さ選びで迷ったときは、「高め」のサイズを選ぶことをおすすめします。
理由は、低すぎるキッチンよりも高いキッチンの方が問題に対処しやすいからです。
具体的な対処法には、床に敷くキッチンマットやスリッパでご自身の身長を調整する方法があります。
しかし、選択したキッチンが低すぎた場合、シンクの底上げをして腰への負担を軽減することはできない上に、仮にできたとしても水はねの問題はより深刻化します。
高さで悩んだときは「高め」を意識すると良いでしょう。
使い慣れた既存のキッチンに合わせる
ご自身に合ったキッチンの高さを選びきれないときは、使い慣れた既存のキッチンの高さに合わせるのも失敗しないためのポイントです。
当たり前のことですが、現在お使いのキッチンと同じ高さの商品にすれば使い勝手はそれほど変わりません。
ただし、ブロックキッチンは昔の人の身長に合わせて設計されているため、80cmかそれ以下の高さが採用されていることが多いです。
既存がブロックキッチンの場合、平均身長の高い現代人には低すぎることがあるので注意しましょう。
キッチンの高さをどうしてもメーカー規格外の寸法にしたいとき
日本産業規格(JIS規格)によって各メーカーで取りそろえている「80cm」「85cm」「90cm」のキッチンですが、人によってはどれも合わないことがあります。
どうしても規格外の高さのキッチンにリフォームしたい方は、これからご紹介する方法を参考に設計してみてください。
キッチンを高くしたい場合
「85cmよりも少しだけ高くしたい」や「90cmよりも高くしたい」という方は、キッチンの下に架台を造作する方法があります。
規格品よりも自由に高さを設計することができるので、こだわりの高さを実現できるでしょう。
しかし、本来必要としないこれらの作業は、工事費用や工事期間に影響を与えるため、予算やスケジュールを考慮して決めてください。
また、キッチンを置く架台を平行に造作するのは、高い技術を要する作業なので、業者への相談も必要です。
キッチンを低くしたい場合
開き扉プランやLIXILのトレーボードプランは構造上、キャビネットの底部に10cmほどの台輪が設けられているので、台輪をカットすることで高さの調整ができます。
ただし、カットしすぎると扉を床に引きずってしまったり掃除機のヘッドがぶつかったりして台輪としての役割を果たせなくなるので注意が必要です。
また、メーカーによっては保証対象外となることもあるので、台輪カットは慎重におこないましょう。
キッチンの高さを上げるときのポイント
キッチンの高さに迷ったときは「高め」を意識することをおすすめしますが、既存のキッチンよりも高くするときには気をつけるべきポイントがあります。
現在お使いのキッチンよりも高さをアップしようと検討している方は参考にしてください。
レンジフードとコンロの離隔距離に注意
キッチンのワークトップの高さをあげて、レンジフードの高さを既存のままにする場合、火源とレンジフードの距離が近くなるので注意が必要です。
法令や条例によってレンジフードの下端と火源の距離は、80〜100cmにおさまるように設置しなければならないと定められています。
この決まりを無視すると法令や条例の違反になるだけでなく、火災のリスクも高まるので、必ず守るようにしてください。
フライパンや鍋が振りづらくないか
キッチンの高さをアップする場合、フライパンや鍋が振りづらくないかもチェックしておきましょう。
キッチンが高すぎると作業中に肩が上がってしまい、調理をしにくくなることがあります。
とくに、フライパンや鍋を扱う加熱機器は注意が必要です。
IHクッキングヒーターを採用する場合はゴトクがないのでワークトップと同じ高さでフライパンなどを振ることができますが、ガスコンロはゴトクがある分だけ高くなります。
この高さも考慮する必要があります。
吊り戸や吊り戸下の収納と水栓のハンドルがぶつからないか
キッチンの高さをアップし、さらに大きな吊り戸を設置したり吊り戸下へ水切り棚を設置したりする場合は、水栓のハンドルと干渉しないか確認しておく必要があります。
万が一、干渉してしまった場合は全開で水栓を使用することができないので、十分な水量を確保できないことがあります。
また、水栓だけでなく卓上食洗機などの家電製品の設置を検討している方は、高さ寸法や扉の開き方を事前に確認し、ほかのものと干渉しない設計を心がけましょう。
キッチンの高さで失敗したときの対処法
あらゆるケースを想定しても、優先事項の選択ミスや予想外のトラブルによって工事が終わってから失敗に気付くこともあります。
ここではキッチンの高さ選びで失敗したときの対処法をご紹介します。
キッチンが高すぎた場合
選択したキッチンが高すぎて肩こりや包丁の使いづらさを感じている場合は、以下の2点を試してみましょう。
- 厚めのキッチンマットを敷く
- スリッパを履く
これらは大きな費用をかけずに高さの調整ができるためおすすめです。
まれにキッチン前に踏み台や足場を設置しようとする方もいますが、包丁や熱い鍋を扱うキッチンではつまずいて大ケガをする恐れがあるので控えたほうが良いでしょう。
キッチンが低すぎた場合
キッチンの高さが低すぎて調理がしづらい場合は、以下の対処法があります。
- 厚めのまな板を使用する
- 大きなまな板の上に小さなまな板を重ねて使用する
ただし、まな板を2枚重ねて包丁を使用する際に、まな板同士がすべって手を切ることがあります。
濡らした布をはさむなどして、安全を確保した上で作業をおこないましょう。
また、鍋やフライパンなどは柄が上向きになっている器具を選ぶことで負担を軽減することができます。
ちょうどいい高さのキッチンを作ろう
キッチンのワークトップ(天板)の高さは身体への負担や使い勝手を考慮して慎重に選ぶようにしましょう。
身長や肘高などご自身の体型をもとに使いやすいキッチンの高さを計算する方法は以下の通りです。
- キッチンの高さ(cm)=身長(cm)÷2+5cm
- キッチンの高さ(cm)=肘高(cm)-10cm
これらの式で計算した寸法と法令や条例にもとづく離隔距離などの注意点を参考に、ご自身にとって理想の高さを見つけてください。
それでも高さを決めきれないときは購入を検討しているメーカーのショールームに足を運んで、実際に体験してみることもできます。